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AppleがiTunes内で提供する音楽ソーシャルネットワーク(SNS)の「Ping」がTwitterと連携するようになった。Pingで「いいね!」投票したりコメントすると、上の画面のようにiTunesストアへのリンク付ツィートが自動で投稿される。ビッグプレイヤーの提携だけに手放しで喜んでいる人が大半だと思うが、ReadWriteWebなどのように「つまらない」と酷評するメディアも多い。
確かに、これまでのTwitterの提携はGoogleやBing、Current.tvなどのようにサービスを深く連携し新しい価値を生み出すようなものが多かったので、単にPingアクティビティをリンク付きでツィートするだけの話に「音楽の発掘をもっと」..とかは言い過ぎのように思える。確かに、単にPingとTwitter双方のソーシャルグラフを交錯させるだけでも便利だし両者にとってビジネス的な利点はあるのだろうが、もう少し工夫のしようがなかったのかという印象だ。
というのも、Appleは過去、Facebookとの連携を希望していたのに交渉が決裂したといわれており、その結果、Twitterに流れたのではないかと考えられるからだ。PingのボタンはFacebookと同じ「いいね!」(Like!)だったりする。この動向に詳しい湯川さんの記事には「FacebookConnet機能を使って勝手にFacebookのデータを利用としたが、FacebookがAppleからのアクセスをブロックしたという」ことが書かれている。
Pingはスタート直後の48時間に100万人の登録ユーザーを獲得した。それ以降の数字は明らかになっていない。仮に順調に成長したとしても、Facebookの強力なソーシャルグラフ網には及ばない。しかし、PCからスマートフォン、AppleTV、そして新領域のデバイスとしてiPadを投入したAppleにとって、ソーシャルグラフの充実はサービスやデバイスの魅力向上になるだけでなく、iTunes Storeの売上に大きな影響を及ぼすなどの期待から早期の基盤整理が望まれていたに違いない。
そうなると、なぜAppleはSNSとしては中途半端なPingを投入し、いわゆる一般的なSNSを提供しなかったのかという点が疑問になる。Apple製品やiTunesファンユーザーが使用するSNS/マイクロブログがあれば、相当強固なコミュニティになったような気すらする。競争の激しいSNSには参入しないでパートナーシップで波及効果を得るといってしまうと簡単だが、Facebookとの交渉決裂の先にTwitterと提供したことには「その先」があるような気がする。
■ 関連URL
・Twitter + Ping = Discovering More Music
http://blog.twitter.com/2010/11/twitter-ping-discovering-more-music.html
Facebookの魅力はそのソーシャルグラフ網だけでなく、オープンソーシャル戦略や「いいね!」ボタン展開などがあると思う。AppleのTwitter提携は苦肉の策ではなく、Twitterもいずれその方向のサービスを投入するということを暗に示していると思う。
十代からメディアクリエイターとして企画設計からマーケティングまでマルチな才能を発揮。週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で活躍。雑誌ライターとして90年代を疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスの起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導する。
数年間の休眠後、現在TechWaveのスタッフライター1号機として活動する他、書籍などを中心に執筆活動および講演活動を展開。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。DJやイベントオーガナイザー。スタートアッププロジェクトのアドバイザー等として活動。ユニークな経験、独自の情報ツール等を武器に、徐々にフルスロットル状態へ。
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