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ジャーナリズム、冬の時代?米Huffington Postは成長続けてますけど

 米政治系ブログメディアサイトHuffington Postが月間ユニークビジター数で4000万人に達したことが分かった。同サイトの共同創業者Jonah Peretti氏がTwitter上で明らかにした。

 Huffington Postはギリシャ系米国人のコラムニストArianna Huffington女史が中心になって2005年に創設。最初は、同女史の「お遊びのプロジェクト」程度に見られていたという。

 米国では政治環境が激変する際には政治サイトへのアクセスが集中するので、Huffington Postも2008年の選挙以降はアクセスも低下すると見られていたが、その後も順調に成長を続けているようだ。


 Wall Street JournalのAll Things Digitalによると、最近新設された「テクノロジー」「スポーツ」のコーナーも人気でサイト全体のアクセスの1割を占めるほどになっているという。「コメディ」「スタイル」「エンタテインメント」などのコーナーもアクセスを順調に伸ばしているもよう。

 従業員100人という比較的小規模な体制でこれだけのアクセスを集めることができるのは、コンテンツよりも技術に労力を集中させているから。例えばヘルスケアなど、1つのテーマを取り上げるコーナーでは、民主党議員、共和党議員、ヘルスケア専門家のTwitterフィードを集めて、3つのコラムに集約して見せるなど、最新の技術をうまく取り入れる工夫を続けている。【関連記事:ツイッターでメディアを作る= Huffington Postの場合米の陸軍基地の銃乱射事件をHuffington Postがtwitterで報じている

 こうした取り組みについて新聞関係者は、「他人の情報を勝手に利用している」と批判する。しかしインターネットは、いろんな人の情報や知恵が有機的に結びつき、それがさらなる情報や知恵を生み出す。相乗効果どころか、人類の知恵を爆発的に増大させる仕組みだ。それがネットの最大の価値である。新聞関係者は、ネットを新聞販売店網に代わる情報配信ルートとしか受け止めていないから、ネットの価値を引き出せないでいるのだ。

 新聞関係者は外国の新聞社がどうしているのか調べるのに熱心だ。わたし自身、過去半年ほどの間に、韓国や中東、東南アジアの新聞関係者の視察団の勉強会に駆り出されたことがある。今月は東欧の新聞関係者との会合がある。日本の新聞関係者も韓国や米国に視察に行っているみたいだ。業績が悪いといいながら、海外視察する余裕はあるようだ。

 しかしそうした視察団が見て回るのは、同じ新聞業界だけ。意見を聞くのは新聞関係者からだけだ。どうして答えを新聞業界の中だけに求めるのだろう。わたしが視察団を組むのなら、Google、Appleを視察する行程を組む。Google、Appleの考えがチンプンカンプンというのなら、少なくともHuffington Postぐらいはしっかり研究すべきだろう。

 ニュース離れが起こっているというのはウソである。Huffington Postはアクセスを伸ばしている。活字離れが起こっているというのはウソである。Twitterを流し読むユーザーは、これまで以上に莫大な活字に接している。今起こっているのは、凝り固まった発想から脱却できないメディア関係者から読者が離れていっているだけのことである。

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