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電子書籍リーダーとしてのiPadの可能性は、オープンかどうかにかかっている【湯川】

 iPadはゲーム機でもあり、音楽やビデオと楽しむ新しい形のメディアでもあるのだろうが、個人的には電子書籍リーダーとしての機能に期待している。

 Apple自体がiPadに搭載するiBooksの機能としては、音声読み上げ機能や辞書機能も搭載されるようだ。(関連記事:iBooksに音声読み上げ、辞書機能=「manga」カテゴリーも)気になるのは、他社の電子書籍リーダーが搭載されるのかどうかということ。New York Timesによると、Amazon.comや大手書店チェーンのBarnes & Nobleなどが電子書籍リーダーを開発中らしいが、開発用にiPadを貸し与えられているわけでもなく、Appleに認可されるのかどうかはまだ分からない。Appleは自社開発製品と競合しそうな他社アプリを認可しないという話を耳にすることがあるが、もし電子書籍リーダーに関しても同様の方針を貫くのであれば、iPadは非常につまらない電子書籍リーダーのままで終わってしまうだろう。一方で他社の電子書籍リーダーのオープンなイノベーションを認めれば、本を読むというエクスペリエンスは大きく進化することになるだろう。

 わたしが特に期待するのは、ソーシャルな機能の追加である。ウェブページのソーシャルブックマークのように本の中のブックマークがほかの読者と共有できれば、重要な箇所がわかりやすくなる。わかりにくい記述に関して、他の読者のノートや解説が役に立つようになるかもしれない。


 英語の本でも読者が協力し合って翻訳、解説することで、英語が得意でない人でも読めるようになるのではなかろうか。

 わたしは今後、世界中の知的活動はますます英語で行われるようになり英語ができる人とそうでない人の情報格差が拡大するのではないかと考えている。デジタルデバイドならぬイングリッシュデバイドの状況が進行するような気がしてならない。そんな中、電子書籍リーダーの進化で、多くの人にとって英語の本が身近な存在になってくれればと思う。

 どう考えても日本の出版業界が新しい時代へ自ら積極的に移行しそうにないから、その間に英語の本を読むというライフスタイルが広がりそうな予感もある。

 英語の本を読むための機能を充実させた電子書籍リーダーのアプリは、どこが開発することになるのだろう。日本のベンチャー企業がいち早く開発するのだろうか。日本のAmazonやGoogle辺りがすぐにでも開発しそうな気もするので、ベンチャーが開発してもすぐに追い越されるような気もする。

 ちなみに米Amazonが開発中の電子書籍リーダーのアプリのスクリーンショットを自社サイト内で公開している。

 kindleやPC向けKindle、kindle for iPhoneとの同期も可能。iPhoneのようなタブレットで読んでいたあと、出先でkindle for iPhoneを立ち上げると、タブレットで読んでいたいページから開くようになる。画面の明るさや、フォントの大きさ、背景の色などの調整が可能で、ページをめくるような動作も実装しているという。(ページめくりはおもしろいとは思うけど、個人的には要らないなあ)

 トップページはこんな感じ。

 kindle storeは、やはり画面が大きくなるので、当然ながらiPhoneよりは見やすそうだ。

 まあ当然という程度の機能しか載ってなさそうだが、それでももともとkindleを買おうかどうか迷っていたので、iPadがますます欲しくなった。でもこのアプリのおかげでkindleって売れなくなるような気がする。

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