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モバイルサービス市場は途上国がけん引=ラクダに乗ってP2P送金?【湯川】

 調査会社Informa Telecoms & Mediaは、世界のモバイル付加価値サービスの市場は2009年の2000億ドルから2014年には3400億ドルに脹れ上がり、そのうち中国、インド、インドネシア、南アフリカ、ナイジェリア、エジプトなどの途上国の占める割合が36%に達するという報告書をリリースした。

 興味深いことに途上国では、モバイルペイメントや、P2P送金、農業情報サービスなど、先進国でも普及していないような新しいタイプのモバイルサービスの普及が始まっているという。

 そうした新しいサービスの例として、ケニアのSafaricomが提供するユーザー間送金サービスのM-PESAや、China Mobileの農業情報サービスのRural Information Service、南アフリカのMTNが提供するPlease Call Me” サービス、バングラデシュのGrameenPhoneが提供するCellBazaarサービスなどを挙げている。


 ケニアのSafaricomが提供するユーザー間送金サービスのM-PESAを利用するには、まずSafaricomのエージェントのところにいって口座を開設し、口座に現金を振り込むとエージェントが電子マネーをユーザーの携帯電話に送金してくれる。あとは送金したい相手の電話番号とPINを入力し、電子マネーを送金する。電子マネーを受け取ったユーザーはエージェントのところで現金化するか、他のユーザーに電子マネーを送金できるという。paypalのようなものだ。


 南アフリカのMTNが提供するPlease Call Meサービスは、携帯電話の電話番号を送信するサービス。相手に固定電話など通話料の安い方法で掛け直してもらうことで携帯電話の比較的高額の通話料を発生させなくてすむサービスだ。

 バングラデシュのGrameenPhoneが提供するCellBazaarは、携帯電話を使ったバザー。個人間がモノやサービスを簡単に売買できるオンライン市場のようなものだ。どのようなものが売られているのかサイトにアクセスしてみた。電化製品が多いが自動車やバイクなども売買されている。米や芋、小麦などの売買もある。

蛇足:オレはこう思う

サービス紹介のウェブページ上に、ラクダの上から携帯電話を使ってユーザー間送金している写真を使っているところに微妙にうけた。w

 そういえば、アフリカの狩猟民族がGPSケータイで仲間と連絡を取りながら獲物を追い詰めるという話をだれかから聞いたことがある。すごい話だなあ。

 途上国のライフスタイルがモバイル機器の普及で大きく変わろうとしているわけだ。モバイルインターネット革命が途上国に及ぼす影響は、先進国の比ではない。先進国が何十年もかけて構築してきた社会インフラがなくても、モバイル機器を使って一足飛びに情報化社会へ飛び込むことができるわけだ。
すごくないか、これ。

 Facebookがユーザー5億人突破という発表を今週中にも行うみたいだけど、世界の人口は68億人。Facebookが世界を席巻する勢いで快進撃を続けているといわれるが、まだ世界の10分の1の人口にもリーチできていない。インターネットはつながる人が増えれば増えるほど、その可能性は幾何学に拡大する。Facebookが大きな変革を起こしているのは事実だけど、モバイルインターネットが途上国で引き起こしている変革のほうが圧倒的にすごい話なのかもしれない。

 世界に貢献するということは、何も欧米で流行る最先端サービスを作ることだけじゃない。つくづくそう思う。

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