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6月8日に出版されたThe Facebook Effect: The Inside Story of the Company That Is Connecting the World(David Kirkpatrick著)の中で、Facebookの「気がかりな競合社(worrisome rival)」としてmixiが取り上げられている。
本の中で著者は「Facebookは引き続き有力なライバルと対峙しなければならない」とした上で、「Myspaceはもはやライバルではない」としている。MyspaceはSNSというより音楽や娯楽のポータルを目指しているからだという。
その一方で「気がかり」なのは、1つの国で独占的なシェアを持つSNS。その筆頭として、日本のmixiが取り上げられている。ほかにはブラジルで人気のOrkutや中国のRenrenにも触れている。
FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏は、複数のSNSを使いこなすユーザーがほとんどいないことに、早い時点で気がついたという。ほとんどのユーザーにとって最も活発に利用するSNSが1つあるだけで、いずれほとんどのSNSは1つのSNSに統合される運命にあると、同氏は考えている。
このため特定の国の中で独占的な地位にいるSNSの牙城を切り崩していくことが戦略的に不可欠、というのが同氏の考えのようだ。
そこで、日本では携帯電話からFacebook上でブログを書けたり簡単に操作できるような仕組みを近くリリースするという。Facebookの特徴を維持しながらも、日本の匿名性文化に配慮した方法を検討しているようだ。
また広告営業面でも日本に広告部隊を近く設置するとしている。
Facebookの幹部が「mixiをなんとかしないといけないな」と語った、と書いてあるわけではない。あくまでも著者であるDavid Kirkpatrick氏が「気がかりな競合社」と評しただけの話だ。
だが本書を読むと著者がかなり親密に同社幹部と付き合っていることが分かる。密着取材したことがうかがえる内容になっている。ということは、表現はどうであれ、Facebookがmixiを含む数社からその国のSNSの首位の座を奪う必要があると考えていることは間違いないだろう。
Facebookがどの程度本気で日本市場に参入してくるのか、ということを知る上で重要な情報だと思って紹介した。
しかしそれ以上に僕が気になったのが、すべてのSNSは1つに統合されるというMark Zuckerberg氏の考えだ。
僕はこれまで複数のSNSが存在しうると考えていた。そのほうが自然だとさえ考えてきた。
人間には幾つもの顔がある。僕の場合なら、職業人としての顔、夫としての顔、父親としての顔、学生時代の友人の間での顔がある。どれも紛れもなく自分自身だ。うそをついているわけではないし、演技しているわけでもない。特定の人に対して自分のある一部分だけを表現しているだけだ。
妻や息子には僕が酔っ払ったときのTweetとかはあまり読んでもらいたくないし、学生時代の友人との飲み会に参加してもらいたくない。
これが自然だと思っていた。
なので複数のSNSを使い分けている。
しかしMark Zuckerberg氏は、複数の顔を持たないほうがいいと考えている。そのほうが人も社会もオープンで正直になると考えているようだ。しかもそれは考えというより彼の信念、もしくは今後の情報化社会に関する予言のようにも聞こえる。
僕は、この部分に非常に興味を持った。
社会の常識が変化しているのだろうか。
Facebookはその変化を早めているのだろうか。
プライバシーに関する考え方は、明らかに変化してきている。欧米でその変化の触媒になっているのはFacebookだろう。日本ではTwitterだ。
Twitterユーザーは明らかにプライバシーに対する態度が変化してきている。これまで匿名で顔出しNGの人が、自分の写真や本名を自分のブログに公開するのをよく目にするようになった。匿名を続けている人でも、リアルな会合に頻繁に出席することによってTwitterユーザーの輪の中ではその人のハンドルネームが実名と同じくらいに人物を特定する記号になっている場合が増えている。
情報化社会って、本当にMark Zuckerberg氏の考える方向に変化していくのだろうか。ちょっと考えてみたい。
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