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時仲ハジメさん(33)ソフトウエア企画・設計
英語の勉強を始めた理由は、自らの鎖国状態を解きたい、日本にとらわれずに活躍したいと思ったからです。世界全体の中での日本語圏は小さく、英語圏のほうが圧倒的に大きく多様です。競争は激しいですが、チャンスもその分大きいと感じています。日本の社会や景気がよくなれば、日本人の私の生活も相対的によくなるだろうと祈って暮らす、それは日本に依存過多でリスクが大きい生き方のように思います。
現在日本はまだ相対的に豊かなので国外市場に特に目を向けずとも、国内のみで充分ではといった話を聞きますが、海外ではネイティブスピーカーでなくても、英語を使って懸命に仕事をしている人が本当に沢山います。アジアでもヨーロッパでも、展示会などで各国の人と話をするたびに強く感じます。もちろんこれは、私たち日本人でも出来ることだと思っています。
仕事以外の個人の面でも、文化の違いを感じる瞬間がとても好きなので、将来的には日本を拠点に各国の人と関わりながら世界中の好きな地域からネットを介してコラボレーションしながら自身は転々と移り住む。そんなスタイルの生活ができればと思っています。世界的なソーシャルネットワークの拡大や、モバイルインターネットの普及など大きな後押しがありますが、その真価を生かすためにも、英語力が必要になると思っています。
英語を学ぼうと思ったのは、9年前の2001年に大学を出て社会人になってからでした。最初はネイティブスピーカーの先生に、マン・ツー・マンで教えてもらっていました。ネットでネイティブの先生を紹介してもらうサービスを使って実際に会って先生を決めました。デンマーク人の男性で、技術者ではないですが、PC系の会話に興味を持って話せる方でした。毎週末の土曜日に2時間。1時間4000円でしたから1回8000円。1年半くらい続けました。先生が遠くに引越してしまうということで、終了しました。
当時は新卒で英語を職場使うわけでもなかったので、私にとって結構大きな投資額でした。しかし、はじめてマン・ツー・マンで英会話を学んだことで、大きな2つの気付きがありました。1つは中学、高校で習ったレベルの英語でもあまり困ることなく話せると分かったこと。もう1つは、英語を話す恥ずかしささえ克服すれば、飛躍的に英語力が伸ばせると分かったこと。であれば、自分で再度基礎から勉強しようとそのとき思いました。
TOEICもそのころみ受け始めました。当初は520点ぐらいだったと思います。半年間だけ本気でやってみようと思って頑張った時期があり、当時620 点から730点に上がりました。ここ数年受けていませんが、iPhoneを使った学習や毎朝Skype英会話を行っている現在だともう少しいと思います。
TOEICの学習としては次のように取り組みました。まずそれなりに点を取るには、基本語彙として2000語くらいが必要と聞いて、「TOEICテストにでる順英単語」と「TOEICテストにでる順英熟語」という本を買って勉強しました。
タイトル通り、統計的にみてTOEICによく出る順に英単語・熟語がリストアップされている本です。まず前から順に見て、分かる単語を線で消して行くという作業をしました。そのページの単語全部を知っていれば、ページ番号に斜線を入れて消します。これを毎朝通勤電車で頭から、覚えていないものだけを順に確認していきます。効率よく覚えられますし、毎朝スタートするページが後に行くのが分かって励みになります。なかなか覚えられないものは、メールの件名に単語をいれて、本分に意味をペーストしてケータイに送っておいて、暇な時にチェックしていました。
単語帳のようなものですので、今だとiPhoneの英和辞典アプリを引いて、ブックマークに入れると思います。
そんな風に出現頻度順に勉強していると、2週間くらい経ったとき、英語の文章を読むのにつまることがかなり減っている自分に気付きました。「読めてるんだ!」と、すごくうれしかったのを覚えています。
TOEIC用の学習中は知らない単語が出たら、辞書ではなく、『でる順英単語/熟語』で調べていました。技術系の英単語でもまず、同書で調べます。もちろん載っていないこともしばしばあります。載ってなかったら非常に気になるのですが、あえて覚えないことにしていました。基礎が出来るまで効率よく勉強するにはこういう思い切りも大事かと思います。
単語を覚えてくると、英語を聞いても理解出来るようになってきました。ここでリスニング学習を始めました。これは質と量で教材を分けて学習しました。
質のリスニング教材は精読用にNHKラジオの「実践ビジネス英語」を選びました。放送や最新号を待つと学習スピードが遅いので、Amazonで中古バックナンバーをまとめて1年分買ってiPodに入れ、通勤で学習しました。1話分5分程度を3回聞いて、どういう会話か自分なりに把握したあとに、テキストを読みます。そしてまた3回聴きます。ときには自分の理解と全然違う話だったりするのですが、連続したストーリーも楽しめて効果がありました。1日3話分やっていました。新しいもの1話と1週間以上前の復習を2話分。復習でスムーズに理解出来ると実感があり、モチベーションを保って続けられました。
リスニング学習の中でも、知らない単語があると「でる順英単語」のそのページにメモ書きます。「日付」とこういう場面でこんな感じに使うという「利用シーン」を書きます。こうすることで単語学習時にその単語に出会ったとき、あの話のあのシーンだと思い出し記憶が強化されます。
量のヒアリング教材は、英語のPodcastを空き時間に常に聞きました。これらは、日本語の詳細なテキストもないので、耳を慣らしたり、技術用語を拾うために聞いていて一つ一つ正しく意味を理解する作業は行っていません。とにかく日頃英語を使わない状況でたくさんの英語に触れるために聞きます。
役に立った実感があるものをいくつかご紹介します。
・ESL Podcast
第二言語としての英語学習用のPodcastでゆっくり話してくれるため聞き取りやすいです。
また、iPhoneやiPod Touchで聞くと、その時のメイン部分の英語スクリプトが同時に表示できとても便利です。
有料会員になると、説明を含めたすべての英語スクリプトがダウンロード出来るようになります。
・Business English Pod
交渉や、上司とのやりとり、雇用に関する会話などとてもリアルなビジネス英会話学習番組です。
定期的に動画でのボキャブラリ強化レッスンもあり、かなり濃い内容になっています。
メインのストーリーには質問が設定されていて、内容の理解度チェックができます。
こちらも、英語スクリプトが表示できます。また、有料会員になるとより多くの学習資料にアクセスできます。
・CNET News Daily Podcast
毎日のITニュースをネイティブのスピードで聞きます。
このスピードに慣れると、TOEICのリスニング問題は余裕を持って聞けるようになります。
また、毎日なので新しい話題を興味を持って聞けます。
・Business Week-Technology & You
IT関連の話題を識者にテレフォンインタビューしながら話す5分程度のPodcastです。
毎回色々な癖をもった語り手が出て、聞き取りにくい通話環境も含め多様なリスニング練習になります。
また、インタビュー形式なので口語での会話や、質問の仕方など気づきが見つかることも多々あります。
他にはIT関連の最新ニュースなどに興味がある場合、TechCrunchなどのITブログのヘッドラインニュースもお勧めです。1話が1時間前後と長いEngadgetやgdgtのPodcastは、砕けたネイティブの会話で進むため生の表現が聞けますが、上級者向けかもしれません。私は正直ついていけておらず、まだチャレンジ中です。
米国の最新技術系のニュースをPodcastで聞いて、同じ内容のことが日本語のブログに書かれていたりすると、あのPodcastで言って話題だと日々分かるのがうれしいです。これで記憶が補強されるので、そのとき出ていた単語やフレーズをより強く覚えられるという効果も期待できます。
現在は仕事の中で海外の開発パートナーと話すため英語を話さないといけない場面が、しばしばあります。ソフトウェアの製品企画、ライセンシングやローカライズなどで、ドイツやインド、もちろんアメリカなど様々な海外の人と話すことになります。この場合TOEIC向けの学習より、英会話が重要になってきます。しかし昨年までは、まだまだ生活の中で英語を使う時間が多くありませんでした。海外の展示会に出展した際や、仕事の中で一部で英語を使っただけという程度です。
それでは英会話のチャンスが圧倒的に足りないと思い、今年から格安で外国人とSkypeでのマン・ツー・マン英会話レッスンを受けるサービスを使い始めました。この手のサービスを行っている会社は最近増えていて、レアジョブというサービスが有名ですが、私は、毎朝定期的にレッスンがしたかったため、これが可能な「English Teacher Online」という先生が11人くらいの小さなサービスを使っています。ここはプリペイドでポイントを買って、これを使って先生を予約をする仕組みです。ポイントをたくさん買えば25分で198円。最も少なく買うと350円。最近予約が出来ない25分100円~のコースも出来たようです。
私は毎朝7:00から50分毎日使っているので、1カ月で12000円前後です。プリペイドのポイントの有効期限は2カ月ですが、毎日予約すると1回の購入分を使い切れます。キャンセルは24時間前までは無料なので、先生を決めて毎朝分予約しています。私が主に習っているのは先生はフィリピン人の24歳の女性です。色々な先生と会話してIT関連の話で最も盛り上がれた先生を選びました。
毎朝となると、出張や帰省などで自宅以外にいるの時のSkypeを利用出来る環境確保が重要になります。iPhoneに無料のSkypeアプリを入れておくことで無線LAN環境だけ確保すれば、十分です。スピーカホンモードでも利用できますし、周りが気になる場合はiPhone同梱のイヤホンマイクを使えばOK。その場を無線LANスポットにするPoketWifiがあれば、散歩しながらでも可能です。
数か月続けた実感として頭がさえている朝の時間帯に、50分間英語で話し続けるのはとても効果的です。下手するとその日の全会話量のなかでも多くの集中力を割り当てることになり、いやでも英語で考える習慣がつきます。分からない単語は、iPhoneアプリのウィズダム英和・和英辞典で調べてブックマークして、ときどき確認しています。無料の「英辞朗ontheWeb」も文例などが多くとてもいいアプリなのですが、オフラインで利用出来ないため、海外での利用も想定してこちらをメインにしています。
これ以外では、ソースネクストの「超字幕」というPCソフトを週に2・3回程度、夜にやっています。昔から映画DVDを英語字幕で見るなどの学習手法がありますが、これをPCでより効率的に行うものです。字幕にマウスを乗せるだけで辞書が引けますし、気になるフレーズや単語をブックマークでき、再生速度を変えたり、巻き戻し、再生などが簡単にできます。映画の字幕の一部が伏字になってタイピングしていく学習ゲームのようなものも入っています。ブックマークした単語は単語帳に登録され、これがiPhoneと同期出来るのでいつでも復習できます。定価は映画1本3500円前後ですが、ダウンロード版だと特価で980円で出ていることがあります。私のペースだと1本の映画を全部勉強し終わるのに、2週間以上ぐらいかかるのでお手頃な教材だと思います。
個人的な感想ですが、世の中で色々な英語学習方法が提案されていますが、一番重要なことは続けることだと思います。自分の好みに合った方法をみつけ、モチベーションを維持しつつ続けられるなら、必ず上達すると思います。英語学習に終わりはありません。とにかく自分に合って続けられる楽しい方法を探し、続けることです。その中でiPhoneは非常に安い投資でした。これで英語学習環境のほとんどすべてが持ち運べるようになりました。持ち運べるということはいつでも使えて、継続出来るということです。
この本を読んでいる方々はすでにiPhoneをお持ちの方も多いと思います。あとは、やる気を持って始めるだけです。最後にとっておきの動画を紹介します。少し古いですが、大変有名な動画でやる気が出ます。YouTubeで「Did you know」という動画シリーズを検索してぜひ見て下さい。現在の産業革命のなかで世界がフラットになっていく様が短い動画で紹介されていてかなりグッときます。有志が日本語化されたものも見つかると思います。現在バージョン4.0まであり、個人的には3.0が一番好きです。みなさんも英語学習がんばって、一緒に自らを開国しましょう!
TechWaveの理念、目標である「世界との架け橋になる」に沿って、電子書籍、紙の書籍の両方で英語の勉強法表に関する本を執筆しました。(関連記事:TechWaveは世界との架け橋を目指します : TechWave)
電子書籍のほうは「TechWave英語学習法」、紙の書籍のほうは「iPad英語学習法」というタイトルになりました。電子書籍のほうは、最初「iPhone的英語学習法」というタイトルでAppleに申請していたのですが、「iPhone」という登録商標を商品名に使えないということで却下されたので、「TechWave英語学習法」とタイトルを変えて申請し直しました。タイトルは違いますが、中身はほぼ同じです。