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飲み会のみならず、会議や交流会、名刺交換、同窓会、送別会、偶然の出会い・・・私たちは日々さまざまな出会いや交流の機会を迎えている。興味深い話、共感したこと、その場の素晴らしい盛り上がを忘れまいとするのだけれど、海の藻屑のように消えてしまうことが多い。
名刺交換をしなくても、またFacebookで集合写真に参加者のタグを付与するなどの手間をかけなくても、誰もが簡単に “その場で交流した人達” や “その場の盛り上がり” を軸にグループ形成することができたら素晴らしいではないか。
NECビッグローブが10月28日に公開した「RingReef」は、まさにそれを実現してくれそうなコミュニケーションサービスなのだ。iPhoneおよびAndroid対応アプリを使って、その場にいる人達を半自動でグループ化。グループでのチャットはもちろん、その時の想い出を写真アルバムとしてアーカイブしてくれる機能を持つ。同社いわくRingReefのグループは、海に浮ぶサンゴが集まって形成された珊瑚礁のようなもの。それらが活発に形成され、ゆくゆくは環礁という大きな円になるという発想である。
ソーシャルネットワーク以前の交流をグループ化
RingReefは、人が集まりグループを形成することを大きなミッションとしている。Facebookを筆頭としたソーシャルメディアのように個人と個人の関係情報を保持するというよりは、上手にSNS連携で手軽にログインし、フレンドリストから知り合いを招待しすみやかに利用開始できるようにすることで「何かのテーマで集まっている」という状態を固定化することに主眼を置いている。
使い初めてみると、グループを「Reef(珊瑚)」としたシンプルなグループチャットであるということがわかる。現時点のバージョンでは、テキストメッセージにはGPS情報および写真付与することができるというくらいで特別な機能があるわけではなく、ネイバー「LINE」などと比較するとリリースしたてとはいえ見劣りする面もあるというのが正直なところ。しかし、そもそも “チャット” をすることだけが目的のサービスではないということが次第に分かってくる。
その場の想い出をコンテンツ化
明らかに他のグループチャットと異なるのが「写真アルバム」の機能だ。チャットをする中で投稿した写真は、そのグループ内の共通アルバムに保存される。例えば、同窓会など思い出に残るイベントでは、その時撮った写真をシェアしたいもの。RingReefであれば、その時、参加していた人をグループにまとめ、メッセージのやりとりをしながら、共有したスナップを自動でアルバムにしてくれるのだ。
「その場」をより確実にキャッチする
では、グループ「Reef」はどうやって作成するか。シンプルに「Reefを作る」を実行してからメンバーをSNSなどから参加させる方法もあるが、RingReefならではの機能に「I’m here」というものがある。これは、その場にいる人のサーチはGPS機能を使った位置情報を基本としたもので、周りに使っている人が少ない場合は、的確に検出してくれる。ここでサーチできたメンバーはそのままタイトルを付けてグループ(Reef)にすることができる。RingReefを象徴とする機能である。
現在リリースされているバージョンではGPS検出のみだが、将来的には周囲の音声を検出したり、同時に同じジェスチャーをしたりとより “その場にいる人だけ” を検出できるような技術を順次実装していくという。
Reefという名で呼ばれるグループは、Facebookなどそれとは異なり、アドホックでいいという前提がある。もちろんアルバムなど記念の残したいものなどは何らかの方法でアーカイブできるようになっていくようだが、「今週は○○のテーマをちょっと考えてみよう」とか「ちょっとだけブレストしよう」とか一時的に発生する議論の流れなどをキャッチアップするために利用されるシーンを強くイメージしており、ゆくゆくは不活性Reefの削除などの機能も実装していきたい考えだ。
RingReefプロジェクトは、NECビッグローブのインターネットサービスプロバイダ以外の大きな潮流の一環として投入されたもので、2012年末までに1000万人のユニークユーザーを獲得したい考えだ。開発チームの一部は、スタートアップ熱の高い米サンフランシスコのコワーキングスペースに常駐し、最先端開発現場の空気やノウハウを吸収しつつ、世界レベルで展開できる体制へと邁進していく考えだという。
【関連URL】
・RingReef
http://ringreef.com/
RingReefの企画が浮上したのは2011年4月で、10名体制で開発を開始したのが同年7月。そして10月末のリリースというスピーディな流れで誕生。アプリを利用すると試行錯誤や修正に次ぐ修正の痕跡が見え隠れしているが、コンセプトが明確になりつつあるので、このスピード感を維持することで、いずれ強力な1メッセージを持つサービスへと進化するのではないかという印象を受けた。サンフランシスコのコワーキングとのコネクションを持つことがどのような成果を生むのか、よくわからない部分もあるのだが、やはり現地の人々のITサービスへの感度の高さは日本の比ではないので、チーム全体の経験値を大幅にアップさせてくれるのは間違いなさそうだ。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。emacs使い。イベントオーガナイザー・DJ・作詞家。 / VANGUARD、ソーシャルアプリ部、ラボメン募集! TechWave Labs主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。