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インキュベイトファンドは2月15日、「Incubate Camp 3rd Kickoff Event」を開催。起業家や予備軍計70名弱が集まった。およそ3時間に渡る濃密な内容を、大学3年生の石山さんがレポートしてくれたので紹介しよう。
『ベンチャーは打席を増やせ』
最初のセッションは、株式会社gumiの代表取締役社長 国光宏尚氏をスピーカーに迎え、インキュベイトファンド代表パートナー の本間真彦氏との対談形式で展開された。講演冒頭より「今までで最も生々しい話をする」との国光節全開で始まった。
まずは既に映画や家庭用ゲーム市場を大きく超えているモバイルのソーシャルゲーム市場の市場規模とその成長の勢いについて、その市場を巡って国内外のゲームメーカー勢と日本のベンチャー勢が熾烈な争いを繰り広げている現状を語った。国光氏はこの市場でgumiが一定の成功を収めた理由を2つ挙げている。
1. プラットフォームに寄り切ること
当時SAPとしての特徴はどこもさほど無かった。その中で差別化戦略はプラットフォームに寄って行くことがあり愚直に実行していった点を語った。
2. あくまで規模を追求したこと
ソーシャルゲームに関わらず、競争に買っていくためには打席と打率が勝負である。打率がコントローラブルでは無いことを考えれば打席を増やす必要がある。そのために資金調達を実施すると共に規模を拡大した。また、資金量の話になると大企業の参入がよく議論になるが、「大企業は資金量が、一見多いようだが、限られた予算枠内での勝負しかかけてくることは無い」とし、十分にベンチャーが資金量においても勝てるとgumiの20億円の資金調達を実例に挙げながら語った。
今後に関しては「世界一を取る」と強い言葉で述べ、今年はアジアや北米などへと大きく海外展開していくことを宣言した。また、今後のインターネットの中心となるといわれているモバイル市場においては、現在ソーシャルゲームのナンバーワン企業と言われるZyngaすら利益を出せていないことを挙げ、十分に日本企業にチャンスがあり “打倒Zynga” そして世界一奪取という目標を実現することを強く語った。
2年前、gumiはたった5人の組織だったが、今や180名を超えるまでに成長した。国光氏は大きな失敗に関しては「そんなにない」と述べながらも、「シリコンバレーから学ぶのはテクニカルな投資契約などでは無く志の持ち方」だと述べた。シリコンバレーの起業家には共通して、自社のサービスをより多くの人間に届けることなど、日本の起業家にありがちな社長としてのこだわりなどでは無く志が大きいとして、見習うべしとしている。
サービスリリースから苦難の時代を超えて
第2部は「事業立ち上げの現場、サービス開発の視点」をテーマとしたパネルディスカッション形式で、パネラーとして コミュニティファクトリー 代表取締役社長 松本龍祐氏 氏、コーチ・ユナイテッド 代表取締役社長 有安伸宏 氏、ビヨンド 代表取締役社長 一谷 幸一氏が登壇。モデレーターはインキュベイトファンド代表パートナー 和田圭祐氏が務め「起業のきっかけとゴールを振り返ること」というお題から始まった。
松本氏:当時行っていたSNSやコミュニティサービスの企画を自分の得意分野として、起業に踏み切った。今にもつながる自身のゴールとしては「大きなソーシャルプラットフォームを立ち上げること」である。
一谷氏:前職サイバーエージェントのVC部門在籍時に仕事を通じて多くの起業家との出会いがあり、そこから大いに刺激を受けたのち、「自分も挑戦すべき」と考えた。
有安氏:学生時代にも起業し、一度大手消費財メーカーで働いたのちに今の会社を創設した。現在のCyta.jpはビジネスモデルの構想を思い描いた際のテストマーケティングを経て、ビジネスとして成立すると確信した。
次はリリース後の最大の苦労や悩みについて。
一谷氏:苦労した点としては共同創業者との別れ。彼と自分との強みが近かったことや完全にフラットな立場で始めたことが、徐々に方向性の違いが顕在化すると両者で行き違いが生じた。
有安氏:思ったようにサービスが成長していかず、大学時代の仲間でもあった社員の給料をあげられなかった時期が一番の苦労だった。
松本氏:資金繰りに関して最大の苦労に感じていた。キャッシュアウトが1,2か月後と迫る状況では、「寝ても覚めてもそれしか考えられない」緊迫した状況であった。そしてその状況下で舞い込んだミクシィファンドの話にかけ、そのプレゼンに2週間の間エネルギーを注ぎ、そこをきっかけに切り抜けたという。
また現在の課題として、一谷氏、有安氏の両者からは「採用」の声があがった。一谷氏はベトナム人留学生の就活フェアなどにも積極的に足を運び、有安氏も海外展開を目指して外国人採用には積極的に取り組んでいるという。
最後に、各社の今後の展望。コミュニティファクトリー松本氏は1億人が参加するソーシャルコミュニケーションサービスを今後展開したいと語りビヨンド一谷氏はPV月間10億、年商10億円を目標値として掲げた。コーチ・ユナイテッド 有安氏は、CtoCのマッチングサービスならではの東大4万人、北京大学6万人という大学をベンチマークに挙げたうえで、利用者10万人をめざし、その後はその場の力を活用する仕組みを作っていきたいと述べた。
世界を目指す若手起業家の背中はかっこいい
イベントは懇親会まで大いに盛り上がり、ITベンチャー業界の熱気を感じられる場であった。これから起業を志す若者にとってgumiの国光氏は素晴らしいロールモデルとなるだろう。今まさに日本から世界へ打って出ようとするその勢いは、日本社会がここ数年に渡って求めていたものではないかと感じる。そしてそれに続かんとする松本氏、一谷氏、有安氏、今後の彼らの活躍に期待したいと感じた。
なお、このイベントを主催したインキュベイトファンドが運営する「Incubate Camp 3rd」の締切は2月末。起業家・これから起業する方はエントリーして見てはいかがだろうか。
インキュベイトファンド アソシエイト 木下慶彦氏からのコメント
インキュベイトファンドが主催するIncubate Campは今回で三回目。第二回より投資や事後のフォローを含めたインキュベーションプログラムとなった。第二回参加者からはソーシャルゲーム、不動産ポータルメディア、デジタルコンテンツのクラウドソーシングサービス、CtoCのオークションサービスなどがサービスリリース済ないしリリース準備中である。前職で業界経験のあるメンバーのエントリーも多くgumiやコミュニティファクトリーのように大きく飛躍していく会社も出てくと期待している。
【関連URL】
・IncubateCamp | Powered by IncubateFund
http://incubatecamp.com/
寄稿者プロフィール:慶應義塾大学法学部3年。世界110か国とインターンシップを交換する学生団体AIESEC2011年度慶應義塾大学委員会元代表。活動を通じて世界中の若者と交流し、日本のプレゼンスの低下や新興国の勢いを肌で感じる。昨今のIT企業の躍進から、次世代のソニーやホンダはIT企業の中から生まれると思い現在はグローバル志向を持ったIT系スタートアップに関心を持ち、ライターとして多くのベンチャーイベントに参加中。