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とある報道機関の記事で「ウルトラブックに電機メーカーが期待している」といった内容を見た。ウルトラブック? Windowsパソコンブランドに付けられそうな名前、一体何年前の話をしているか?と思ったらつい昨年(2011年)に提唱されたハードウェアの定義のことらしい。
提唱したのはプロセッサー大手の米インテル。「タブレット端末とすみ分けできる究極のノートPC」とのことで、起動は7秒以内、厚さ 1 インチ未満 (厚さ 21 mm 未満) 、バッテリーの持ち時間が長く設定され、ハードウェアのサイズや重量もタブレットに引けを取らない内容になっている。
既にAmazon.co.jpで検索してみると対象となる商品が沢山マッチする状態。ネットブックよりも高く、一般的なノートパソコンよりも若干安い。
ハードウェア特性だけが問題か?
ただ、冷静に考えてみれば、(数値の差はともかく) 既にこのジャンルにはMac Book Airが投入されているわけで、電池やサイズ、重量などがタブレットに近いだけでは魅力にとぼしい。しかしインテルは、第2世代以降のCore iシリーズプロセッサの搭載必須を軸に、起動時間の短縮や応答性の向上、スリープ時にソーシャルメディア情報を更新するなど様々な技術を用い 本気で “タブレットより機能が上のPC” を作ろうとしているようだ。
違和感を感じたのはウルトラブックの紹介サイトでしきりにアピールされている “スタイリッシュ” という言葉。軽快ならばスタイリッシュというわけではなく、実際ウルトラブックをうたう製品はデザイン製に優れたと感じさせるものはあまり見受けられない。タブレットと機能や性能で戦おうとしているわりには、キーボード搭載型パソコンの使用感の重たさを払拭できていない印象だ。
このあわてぶりは、2012年度第1四半期(2012/10-2012/12)に1543万台を売り切ったiPadを恐れているといっていいだろう。既にアップルが28年間で販売したPCの累計台数を抜いたとされるiPadの売れ行きは今後も伸びるだろうし、iPadのPC化によってノートパソコン市場の脅威となると考えているからだ。
【関連URL】
・Ultrabook™ : 薄型で洗練されたデザインに、極めて優れた応答性を実現。
http://www.intel.com/ja_JP/consumer/products/ultrabook.htm?cid=ijkk:ggl|ultrabook_jp_ultra|jpCBEB2|s
高速で安定して使用できるiPadをノートPC代わりに使いたいというニーズは確かにある。おそらく多くの人が想像するようにアップルは、その領域に何らかのアプローチで歩み寄るだろう。それに対しウルトラブックとは何か。形状とレスポンス向上という梃子入れをしたものの、結局同じノートPCの領域を保持しているだけに見える。結局PCはそれ自体には何も価値を持たない日用雑貨になったことの証明と考えてもいいのだろうか。いや、それよりも、新しいカテゴリーを(電機メーカーと連合で)開拓して欲しいと思ったりする今日このごろだ。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 DJ、emacs使い。大手携帯キャリア公式ニュースサイト編集デスク。TechWaveでは各種イベント、創出支援、スタートアップ支援に注力。メール等お待ちしております! (宇都宮市在住)