- 雨を降らせる機械からiPhone電脳メガネまで「自分が欲しいから作った」Mashup Awardめっちゃ楽しい12作品【鈴木まなみ】 - 2013-11-19
- スマホアプリは大手有利の時代【湯川】 - 2013-07-05
- そしてMacBook Airは僕にとっての神マシンとなった【湯川鶴章】 - 2013-06-14
[読了時間:2分]
基本的に僕は、ネット関連のサービスや製品でマネタイズが成立するのってB(ビジネス)向けか、C(消費者)向けなら既存産業にITを導入したケースか、ソーシャルゲーム、巨大SNSしかない、って考えている。
教育産業が英語学習アプリを作るとかいうように、既に成立している産業がITを利用するというC向けサービスは成立しても、今流行りの位置情報系とかコマース系とか写真系とかTwitter系とかメッセージ系とかが、それ単体で新しい産業を作っていくのは非常に困難だと思う。短期的には少人数のチームを食わせていける程度のマネタイズはできても、長期的には十分なマネタイズって無理じゃないだろうか。だってよさげな機能ならFacebookのような大手ソーシャルインフラ企業が真似してくる。最初はおもしろがっていろんなアプリを立ちあげて遊んでくれるユーザーも、最終的に立ち上げるアプリの数は限定的になり、同じような機能がFacebookなどのアプリに実装されてしまえばそれを使うようになるだろう。またFacebookが実装してこなくても、飽きられるというパターンも多そうだ。①ソーシャルインフラは統合に向かう、②ユーザーは飽きっぽい、この2つはある意味、動かしがたい事実のように思う。
だから流行りのC向けのアプリを作っているところって、大手に買収されるか、だめになるかの2つに1つがだいたいの結末になるんじゃないかと思っている。(もちろん少額のマネタイズで貧しいながらも仲間と楽しくやっていくという今風の生き方をするところもあるだろうけど)
それ以外の唯一の方法は、Facebookの次の覇者になることしかない。
Facebookの次を狙うのか。それとも買収を受け入れるのかー。それなりの成功を収めたBtoCベンチャー企業は、どこもこの選択を迫られることになる。
経営者としては悩むところだろう。Instagramの経営者も悩んだことだろう。Instagramはモバイルベースだし、写真という非言語コミュニケーションのツールだ。Facebookとは異なる独自のユーザーコミュニティも拡大してきている。次の覇権を狙える条件は十分に整っている。夢あふれるベンチャー企業の経営者なら、Facebookの次を狙いたいところかもしれない。
とはいうものの次の覇権争いは、非常な激戦が予想される。Instagramのユーザー数3000万人に対し日本のLINEはサービス開始1年未満で既に2500万人を超えているし、中国Weixinは5000万人を超えた。ソフトバンクと組んだインドのBharti財閥もまもなく動き出すだろうし、グリーやDeNAだって、目指すはモバイルxソーシャルの覇権だ。(関連記事:Facebookの次の覇者は中国、インドから?それともグリー、モバゲー、LINE?)
果たしてこうしたアジアの強豪を相手にInstagramは勝てるだろうか。
一方で、ベンチャーキャピタリストたちが提示している評価額を大きく超える買収額をFacebookが提示してきた。アジアの強豪と戦う上でもFacebookと組むという手も有効かもしれない。Instagramの経営者はそう判断したんじゃないだろうか。
シリコンバレーだけを見ているのであれば、今回の買収には不可思議なところがあるかもしれないが、アジアを含む世界の潮流を見れば妥当な動きだと思う。