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iMacに始まり、MacBook、iPhone、iPadと業界に革命を起こし続けてきたジョブズ時代のアップル。他のプロダクトとはっきり異なるのは製品の美しいデザイン。
アップルの強みは、ただ美しそうな意匠をまとうだけでなく「顧客との接点」を徹底的に追求してきたと、この本「アップルのデザイン」(日経BP/4月19日発売)は述べている。
あらゆる視点、あらゆるシチュエーションを考慮
例えば、本書で取り上げているMac Book用リモコン「Apple Remote」。実売価格も数千円と高いわけでもないにもかかわらず、金属板一枚を削り、そこに基盤等を全て納めるという徹底したこだわりが込められているのだ。
なぜ?と思う人も多いと思うが、逆に、黒くゴテゴテしたボタンばっかりで使いにくいリモコンを使っている姿は、かっこいいものだろうか。故スティーブ・ジョブズ氏の言葉を借りれば「エレガントか?」という話だ。UI/UXのみならず、アップルは使っている人の姿も想定してデザインしているのだ。
「Apple Remote」に限って言えば、そもそもPCに向かわずiTunesを操作できる機能的利便性がある上、美しい造形のリモコンというだけで充実感を味わえる、MacBookでプレゼンする際に使えばPCコントローラとして目につくだろう。一枚板にすることで強度も高くなるだろう。しかも、エレガントでないリモコンと金額は同じか安いという事実がある。
本書では、iPod shuffleやMac Bookの造形、ソフトウェアの挙動、アップルストにまで言及されているが、どれも尋常ではないこだわりだ。型破りや凝り過ぎという意見もあるが、視点を変えて言えば会社の都合や業界の常識に囚われずに創造性を信じていると言える。だからこそ、すべてのプロセスで「より優れた体験」をデザインしようとしていることに感銘を受ける。
こうしたチャレンジングな創出活動は、批判がともなう。合議制で進めれば当然「普通のもの」が出来あがる。つまり、ジョブズ氏は、会社組織の中で、普通でないもの作りの体制を、自ら犠牲となってプレゼントしたように思えるのだ。
凝りまくり値段が高いプロダクトは大量に存在する。しかし、アップルの製品はそうではない(むしろかっこわるい製品より安い)。アップルのデザインは、造形はもちろん、機能やプライシングなどあらゆる角度から製品全体の価値を高めようとしていると言っても過言ではないだろう。単なるガジェットといえばそれまでだが、利用者がいる以上、客商売であり徹底的に追求することの意味や意義を本書は理解させてくれる。
当初はアップル製品のファンはもちろん、製品を作り提供する側に立つ人全てに読んで欲しい一冊だ。後半は、広告や知的所有権について書かれた部分のレビューしてみたい。
【関連URL】
・アップルのデザイン ジョブズは“究極”をどう生み出したのか [単行本(ソフトカバー)] | Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822264769
「一番素晴らしい文章ってどういったものだろうか?」という質問を多くの人に投げかけたことがある。編集部に所属した経験がなかった筆者にとって、文章表現のベストorベターなものかを得たいと考えたからだ。およそ12年に渡る職業ライター活動の中で得た結論は「全ての人が悩むことなく理解できる文章」というものだった。文筆家のみならず、アップルを含め、あらゆる世界のトップはそのように考えていると認識している。
難しいことを難しいまま伝えるのは(ライターとして)たいして難しいことではない。難しい世界を誰もが理解できるように伝えるのには、創造以上の労力がかかるのだ。
だから新しいものを生だそうとしている広義のスタートアップには「1つのメッセージに収束させろ」と言っている。少ない人数だからと合議制に時間を賭けるのはナンセンスであり、そこに複数のメッセージを抱えれば、確実に「普通のもの」にむかってしまうから。
こうしたUI/UXデザインの世界において、日本の多くの企業は無駄なプロセスを理解しようとせずソフトを含めた全体デザインをやってこなかった。家電でもソフトでも出版でもそうだ。今、全てのプロダクトを接客業と定義し、もう一度素晴らしいモノづくりをみんなと一緒にやってみたいと思う。
8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。大手携帯キャリア公式ニュースサイト編集デスク。TechWaveでは創出支援に注力。