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#イマジンカップ 2012シドニー世界大会、日本チーム 2部門で決勝進出 【増田 @maskin】 #imaginecup


[読了時間: 2分]

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 オーストラリアのシドニーで7月6日より開催されているMicrosoft 主催の学生技術コンテスト「Imagine Cup (イマジンカップ) 2012」世界決勝で、日本から出場している2チームが決勝ラウンドの出場を手にした。

 写真は、喜びをあらわにする決勝進出の世界6チーム。日本から参加しているトライデントコンピュータ専門学校 チームブロッサム(ゲームデザイン部門)と東京工業高等専門学校のチームCoccolo(ソフトウェアデザイン部門)のメンバーは和装で右端に立つ。

ゲームデザイン部門 決勝進出、チームブロッサム「B­l­o­o­m­­*B­l­o­c­k」


 ゲームデザイン部門の決勝進出を喜ぶチームブロッサムメンバー。左から、デザイナー 野中志帆さん、デザイナー内木穂乃香さん、プログラマー 馬場翔太さん。

 このゲームは、立体ブロックの上を一筆書きの要領で操作することで、荒れた大地を美しい花の大地に戻していくもの。

 実際の画面も非常に美しく、日本人ならではの細かい配慮が随所に込められているが、どの国の人が見ても共通する美しくさで高い評価を得られていた。なお、ゲームデザイン部門で決勝ラウンドで、女性がいるチームは日本だけで、彼女らのこだわりが勝利につながったと言っても過言ではないかもしれない。

 審査員はそういった “理由なき創造性” に疑問を投げかける人が少なくないが、メインプレゼンターのプログラマー 馬場さんはこのように主張する。

環境破壊は長い時間をかけて解決しなければならないもの、だから画面に映る自然が美しく変わるというゲームの喜びを深める過程を大切にしました。ゲームレベルやコンテンツが多様なのは親や先生と一緒に遊ぶきっかけを作るため。まずはゲームの本質を子供達につかんでもらいたいのです」。

実際に子供達にゲームをプレイしてもらい反応を得た。当初、大人向けのシンプルなUIだったが、子供達の反応から現在のようなものになったという

 チームブロッサムは、イマジンカップ2012のコンセプト「テクノロジーで社会問題を解決しよう」に共感したことで結成された。彼らは「日本のグラフィックは世界に通用する」と考えている。自然の美しさを伝えること、理屈ではなく感性に訴えかけるゲームを作ったことに自信を持っていると語った。

展示ブースにおけるプレイ審査の模様。シリアスなシミュレーションが多い一方で、「B­l­o­o­m­­*B­l­o­c­k」は直感的に美しく、ついつい笑みがこぼれる

ソフトウェアデザイン部門 決勝進出、チーム cocolo、「All Lights! ~可視光通信による省電力照明システム~」


 ソフトウェアデザイン部門はノミネート数が多く、第二ラウンドの時点で20チームが残り、決勝ラウンドは6チームのみという非常に狭い門となったが、「チーム coccolo
」は、高いプレゼンテーション能力と圧倒的なデモで決勝ラウンド進出を果たした。

 簡単に言うと「LEDランプを自動調光するシステム」。制御端末(Windows Embedded)やWindows Phoneからの命令を受け、部屋に設置された複数のLEDランプ同士が連携して調光していく仕組み。光で通信をするため、面倒な配線などをすることがないのが最大の特徴。

 同時にクラウドサーバー連携で、ビルや建物全体の調光を管理し、省エネルギー効果を発揮するソリューションとしてまとめあげた。

 彼らの強みは “チームワーク”。もともと、学校で授業が一緒という関係で、昨年イマジンカップに参戦していた先輩のプロジェクトのサポートをしており、今回はその経験を受け継ぎ参戦。とはいえ、組み込み部門が廃止されており、どう出るか?と思われていたが、経験の蓄積を無駄にするどころか、昨年使用した技術「可視光通信」とクラウド・モバイルを組み合わせ大進化させてきた。


 まず紹介したいのが「The Star」こと リーダー 大川水緒さん。日本での英語レクチャーで先生に「The Star」と言われるほどのパフォーマンスで審査員を完全に圧倒していた。


 メインプレゼンターTan Tun Jieさん。完璧な英語と誠実な人柄がかなりの好印象。審査員との質疑も完璧にこなし、チームの力を倍増させていた。


 なぜか太郎を呼ばれている赤松駿一さん。日本人技術者らしいもの静かな印象ながら、質疑応答などチームが結束すべき時に強力な支援策を投入していた。いわばチームのスパイス。


 ケロ、こと田畑愛実さん。終始変わぬ笑顔で安定したパフォーマンスを発揮する。

 こうした彼らは、審査員からの指摘に、チームワークで解決し、時にはその場で方向性を調整していった。「プレゼンはプレゼン、開発は開発」と分業を主張する人が多い中、全員が全力で問題解決に挑む姿勢は賞賛に値すると思う。なお、「All Light!」の実機は日本からオーストラリアに持ち込んだが、トラブルで直前まで使用許可が出ていなかったが、そういったハードルも彼らが現場で乗り越えていったのだ。

 

 というわけで、やったぜ日本チーム!!(写真は両チーム) 優勝者の発表は、日本時間の7月10日夕方頃になる予定。それまで応援しまくろう。

【関連URL】
・世界規模の学生技術コンテスト「Imagine Cup(#イマジンカップ) 2012」、社会問題をテーマにシドニーで最終決戦 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51752830.html
・Imagine Cup 2012 応援サイト | マイクロソフトの企業市民活動
http://www.microsoft.com/ja-jp/citizenship/lse/imaginecup/default.aspx
・イマジンカップ世界大会 学生レポーター募集!
http://blogs.msdn.com/b/microsoft_japan_academic/archive/2012/04/24/msp-japan-social-media-member.aspx
・Windows 8 Metro スタイル アプリ 開発週間 [TechWave記事]
http://techwave.jp/archives/51740586.html
・Windows 8 Consumer Preview
http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-8/download
・デベロッパーセンター ~ Metro スタイル アプリ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/windows/apps/
・MSP フェローシップ募集ページ
http://msdn.microsoft.com/ja-jp/academic/hh455211

蛇足:僕はこう思ったッス
各チームは、繰り返し審査を受けていくが、上位に行くチームに共通するところは、「あらゆる点で手を抜かない」ところにある。担当にまかせっきりだったり、課題を共有しないチームは本領を発揮できていないようだった。展示やデモに際しても同じことが言え、「数十分前に動くようになったよ(笑)」というチームはとても多かった。現場でプログラミングやチューニングするのは当たりまえ、そんな「現場力」の大切さを実感した。あと熱意。熱いのは正しい。冷静に「ビジネスメリットは?」「収益は?」などと言っている間に、熱いものを作りあげれば、人はついてくるという現象を改めて確認できた。ちなみに、僕は両者の優勝を信じてる。
著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。TechWaveでは創出支援に注力。エレベーターピッチ絶賛受け付け中! (まずはAirTimeでどうぞ!)
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