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MOVIDA JAPAN 孫泰蔵氏「作れる経営者」求む、第3期スタートアップ支援プログラム募集開始へ 【増田 @maskin】 #mjstartup


[読了時間: 2分]

 孫泰蔵氏率いるMOVIDA JAPANは2012年10月30日、ITスタートアップ向け支援プログラム「MOVIDA Seed Acceleration Program」に参加する選抜8チームのプレゼンテーションするイベント「MOVIDA Demo Day 2nd」を開催した。(レポート 前編後編)

 印象的だったのは、サービスの完成度の高さ。企画がいいとか、経営陣が有名企業出身で経験があるとか、そういう話ではなく、モノがいい、使ってみたいと率直に思えるのである。なぜだろうか、その理由を孫泰蔵氏はこのように話す。

経営者は“作る側の人”

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 「実は、全てのチームリーダーが作り手側の人なんです。エンジニアであり、サービスの深いところまで理解しているんです。

 こうすることで何がいいかというと、今回のように多くの人に説明したり、質疑応答や交流会で対話した時、彼等には何らかの気づきがあるんですね。そこで得たフィードバックを、即そのまま開発に取り入れ改良することができる。これはすごいことだし、そのスピード感はすばらしいと思うんです。

 サッカーの日本代表の例をいいますと、Jリーグが始まったばかりの頃は、根性とガッツはあるんだけどテクニックはまだこれでたが、今や本場ヨーロッパや南米で戦っても引けを取らないほどに成長でも活躍するまでになりました。今のITスタートアップはJリーグが始まったばかりの頃のようなものではありますが、着実にレベルアップをしていると思いますし、Demo Dayに参加された皆さんも実感されたんじゃないかと思います。

 もう一点、今回の出場社は23歳から25歳が中心なんです。今回の発表チームが「MOVIDA Seed Acceleration Program」に応募してきた時は、サービスもプレゼンテーションもボロボロな状態だったのに、3ヶ月から6ヶ月の間でメキメキとクオリティを向上させ、サービスの中身も改善され、プレゼンテーションも良くなっていった。最後の1か月では、まったく違う会社と言っていいくらい進化したんです。

 そこで申し上げたいことは、やはり若いということはものすごい吸収力があり、すごい勢いで急成長する可能性があるということを実感したということです。私がこれまで手がけたスタートアップで3か月で激変したものがあるかというと、正直言ってないなあという感じ。本当に彼らは3か月とかで、何か気づきがあれば急成長していくということを間のあたりにしたんです。ですから、今後も彼らは成長すると思います、事業のポテンシャルもまだあるということを理解して頂きたいと思います。

 最後に1つ。今回「MOVIDA Seed Acceleration Program」は、MOVIDA SCHOOLという毎週開催するワークショップやセミナーを通じ様々な試行錯誤をしてきました。何度も集合する大変さはあったんですが、横のつながりのシナジーが生まれ、課題を共同で解決するなど、参加チーム全体で悩みがなくなったり、一気にクオリティ向上を迎えるなどということもあったんです。ですから、私達がやったのはメンタリングであり、指導した支援した等とは言えないのですが、こうしてコミュニティを作り、場を作ったことが、最大の成長をうながす要因になったということを改めて強く感じました。

 プログラム参加者は、MOVIDAだけでなく、その他、様々なコンテストやプログラムへ積極的に参加することで横のつながりをつくっています。それを支援していくことで、ブレークスルーを生み出すことになればと思っています。

 これは、このプログラムが始まった時にも言ったことなのですが、今回の出場者は私達MOVIDAの占有物ではありません。彼らニューホープを、みんなでエコシステムを作って育ていければと思います。
」(MOVIDA JAPAN CEO 孫泰蔵氏)

MOVIDA Demo Day 2nd 出場チーム一覧

「Poposale」
牛乳などスーパーの価格情報を比較できるというモデルは主婦からの反応がとても良い。すでにCGM型で多数のチラシ情報を収集できている。買い得探しが楽しくなる情報共有サービスとして成長させ、主婦のコミュニケーションを活性化することで情報のサイクルを構築する。ビジネス面では集客サービス、広告、消費情報提供など。

「ippy」 by mashroom
無料でギフトカードを送付できる「ippy」。シチュエーションにあわせたギフトを提供する。ギフト件は、O2Oマーケティングソリューションとして来店1回150円~のコミッションフィーが発生する商品になっている。ギフトカード配布や購入までログを提供。新規顧客獲得手段としてブランドの認知・拡散に寄与する。Facebook友達を対象にした反応の良さを、スマホのプッシュ通知などと連携しながら4年間で140万ユーザーにする。26万人が損益分岐点。

「Fantarip」
入力項目5項目で5分で旅行記が完成するサービス。旅行前に旅に触れられ、旅行中も情報を参照することができる。4travelをライバル視。ブログターゲットの4travelに対し、fantaripはSNSターゲットとする。旅行記からのプラン販売手数料、および広告手数料。ロングテールSEOで低コストマーケティングを実施。旅行記コンテストなどを実施、来年10月までに23万UUを達成していく。

「UISCOPE」 by InnoBeta
スマホのユーザビリティテストを実施するサービス。これまでのUIテストは50万円超だが、1テスト3000円で実施する。最短3時間。想像もしなかった問題に気がつくこともできる。スマホデザイン会議という啓蒙イベントを開催。ウェブ制作会社をパートナーとするほか、コンサルティング業務を展開し、プロダクトの高品質化に寄与。1年後は単月1千万売上に達する見込み。テスターの集め方のノウハウも溜めている。少ないが25~35才の主婦層が多い。モニターは1年後に21000モニターになると試算している。

「Beatrobo」
米国に設立した会社で5名で運営。カセットテープの時代のようにネットで音楽を交換する。現代版ミックステープである「プレイリスト」をロボット化して、そのロボットが他ユーザーの場所に移動するなどして交換し、互いに聴いて楽しむ。スマホに挿入することでプレイリストのみを交換できる「beat plug」も準備。iTunesやSpotifyなどとは別のレイヤーで、プレイリストに課金する。

「ciatr」
映画の記録を作成できるサービス。女性らしいかわいいレビューも可能。CGMのレビュー特化の映画サイトは唯一で、すでに1万以上のレビュー型記録が集まっている。単に記録したのなら48000件ある。観たいは4500件、レビューされた作品は3000件以上。映画好きは記録を残す。コアユーザーへのテコ入れを軸にSNSなどでの波及効果を作用させ、映画館でのイベントなどを開催することで100万のライトユーザーを獲得したい。収益は、映画館や配給社のオフィシャルアカウント。情報提供や送客、イベント開催。デザインカスタマイズなどのユーザー課金も検討中。

「smart memory」
今回のDemo Day 唯一のハードウェア。スマホとスマホをつなぐデバイス。25-30mm程度の大きさのガジェットをつかんで自分のスマホから相手のスマホに渡すだけで、データ等が渡せる。iPhoneからAndroidといったマルチデバイス操作も可能。データ送信はクラウドを介して高速に行われる。ガジェットなので不正アクセスなどの心配は無い。販売は、周辺機器コーナーなどへの卸し売り。アプリSDKを組み込み機能化して提供する形も可能。競合は、BluetoothやNFC、アプリなどがあるが手軽さの面で優位。仕組みや原理については非公開。

「ShareWiz」
社会人向け学習サービス。学習の成果を可視化するサース。知識マップから学習を選択、テスト(選択、記述、穴埋め)を通し達成度を確認、その達成度が可視化されていく。問題はユーザーの投稿も可能。来年からアフィリエイト・広告販売・事業提携などで収益を立てていく。学習管理システムの販売も視野に入れている。PCよりもタブレットがフィットする。直線型の学習ではなく、シナプスが連鎖的につながるネットワーク型学習を提案する。

MOVIDA Seed Acceleration Program 第三期の募集も開始

 第三期の募集は、2012年11月1日からスタート。以下、概要を掲載したので関心のある人は応募してみては如何だろうか。

MOVIDA Seed Acceleration Program は、最大500 万円の出資を行なうMOVIDA Scholarship、先輩起業家や各分野のプロフェッショナルによる週1回講義形式のMOVIDASCHOOL、VCや事業パートナー候補向けにプレゼンテーションを行なうMOVIDA Demo Day から構成されています。
約3ヶ月間のプログラム期間中に、MOVIDA 及びそのネットワークを利用して事業アイデアをサービス化、ユーザーに魅力的なサービスへのブラッシュアップや投資家向けのプレゼンテーションスキルアップ、事業計画の立案もサポートしていきます。

選考およびプログラム日程
募集開始 2012年11月1日(木)
募集〆切 2012年11月30日(金) 15時
書類選考結果通知 2012年12月3日(月) 18時以降
面接 2012年12月7日(金)、8日(土)
採択結果通知 2012年12月10日(月)
オリエンテーション 2012年12月18日(火)
MOVIDA SCHOOL 2013年1月〜3月(毎週火曜日)
各種ワークショップ 2013年1月〜3月随時
Prototype Day 2012年12月、2013年2月 全2回
Demo Day 2012年3月下旬予定

URLはこちら
http://www.movidainc.com/seedprogram-3rd

【関連URL】
・MOVIDA JAPAN株式会社
http://www.movidainc.com/
・「MOVIDA Demo Day 2nd」 レポート(前編) 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51767499.html
・ 熱気あふれる「MOVIDA Demo Day 2nd」 レポート (後編) 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51767500.html
・孫泰蔵氏監修「僕たちがスタートアップした理由」は IT起業家およびその予備群に向けたモチベーション持続本だった 【増田 @maskin】

http://techwave.jp/archives/51764650.html

蛇足:僕はこう思ったッス
 日本の新しいITスタートアップブームが初まってから2年くらいが経過している。明らかにレベルアップが計られていると思うが、MOVIDA Demo Dayとその後の交流会では、多くのITスタートアップやその支持者が横のつながりを作り切磋琢磨しようとする雰囲気があり刺激的だった。みんなもそう感じたのだろう。閉会が迫っても帰ろうとしない。終わるのがおしいと感じた。

ところで、その交流会で、孫泰蔵さんと伊藤健吾さんと3人で話をしたのだが、こうしたオープンな表舞台を用意し、そこにみんなを集めることが大切だねという方向性で考えが一致したのが嬉しかった。狭いコミュニティであれこれ画策することも重要な面もあるが、世代をまたがり強力し支えあい市場を作るのにはエコシステムの上で全員がそれぞれの力を発揮することが必要だ。

左:MOVIDA JAPAN 代表取締役 孫泰蔵氏、右:MOVIDA Seed Acceleration Program 責任者 伊藤健吾氏
著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」執筆中)。書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら


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