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今から30年以上も前の話だ。あるビジネス誌の特集で、これからは情報社会になる、という話を読んでものすごく興奮したことがある。自分はこの情報社会に向けた流れの中で仕事をしたいー。20代の僕はそう考え、興奮して親友に電話をかけ、その夢を語った覚えがある。
それからしばらくしてコンピューター時代、PC革命という言葉が巷にあふれるようになった。しかし実際にはどのような企業がどのような動きをしているのか、マスメディアからの情報ではまったく分からなかった。そのころ、米国でマイクロソフトの今後を決定づけるIBM端末へのOS供給契約が交わされていた、などということは知る術もなかった。IBMがPCの技術仕様を公開し、他のメーカーもIBMと互換性のあるPCを製造し始めたものだから、あっと言う間にIBMの技術仕様とその上に乗ったマイクロソフトのOSが事実上のスタンダードになり、マイクロソフトはIT業界の覇権への道を一気に駆け上ったのだった。
30年以上がたち、今パラダイムがPCからモバイルに移行していると言われるようになった。だれもがこれからはモバイルの時代だと認識している。だが次のマイクロソフトになるような企業がどのように動いているのか、知る人は少ない。恐らくこの2,3年以内に、マイクロソフトとIBMの契約締結に匹敵するようなエポックメイキングな出来事が起こるのだろうし、これから何十年間にも渡って世界に影響を与え続ける企業が頭角を現してくるのだと思う。
モバイル革命という今回の時代の移行期において、そのエポックメイキングなイベントを見逃したくない。そう思って目ぼしい企業の動きを追い続けている。ソーシャルゲームのグリー、DeNA、gumi、Klabなどの動きは追っていきたいと思うし、コミュニケーション系のLINE、Hike、WeChatなどのアプリには特に注目している。中国とインドを年に2回ずつ訪問しているのもそのためだ。
特に今回のモバイル革命の動きは、先進国だけを見ていても全体像がつかめないのだと思う。
PCは先進国のホワイトカラーの生産性を大幅に向上させた。ホワイトカラーの仕事の仕方が劇的に変わった。なので先進国、特に米国がPC革命の震源地となった。
モバイルは当然、先進国の生活をも幾らかは便利にする。しかし最も劇的な変化は新興国、途上国で起こる。銀行の支店がない山奥の集落でもモバイルバンキングによって銀行口座が持てるようになっている。今後、教育、医療、流通などの面でモバイル機器を使って社会が劇的に変わるのは、新興国、途上国だと思う。多くの規制の中で身動きが取れない先進国を尻目に、新しい技術に最も最適化されたサービスを実際にリリース、運営できるのも新興国、途上国だと思う。
そしてモバイルが新興国、途上国に与える恩恵は、PCが先進国のホワイトカラーに与えた恩恵をはるかに上回るだろう。社会的意義においても、ビジネス的市場においても、PCとは比較にならない大きなうねりをモバイルは作り出してくるのだと思う。ものすごくやりがいのある仕事と、ビジネスチャンスがそこにはある。
この大きなパラダイムの変化を正確につかみたい。自分が何か価値を作り出せるのであれば、それを仕事にしたい。答えは先進国にはない。シリコンバレーにも東京にもない。シリコンバレーで人気がでるような小洒落たサービスやアプリを手がけているだけでは、新興国を中心とした世界を変えることはないし、30年に一度の世界的企業になることもない。そう考えている。
インドのバンガロールで開催中のNASSCOM Product ConclaveにTechWaveツアーとして参加しています。ものすごい熱気です。東京、シリコンバレーで今までに無数のカンファレンスに参加してきましたが、ここまでの熱気を感じたことはありませんでした。
「5年から15年で、インドはシリコンバレーを超える」「1000年に1度のチャンスがインドに訪れている」ー。元気のいい発言がポンポン飛び出しています。
「インドは、まだまだインフラが整っていない。まずは電気、道路などの社会インフラが整ってから」という指摘を聞くことがあります。これをインド人に話すると「新興国は、先進国と同じ道筋を通って発展するわけじゃない。インフラが欠如している部分を、ITでカバーする。一気に2段飛び、3段飛びで発展する。それこそがITの力だし、それができないのならITにそれほどの価値がないということ」という反論が出てきます。「先進国の人からみればインドはいろいろと『壊れている』状態です。でもその『壊れている』ところにビジネスチャンスがあるんです。そこをITで飛び越せる企業が、これからの世界をリードしていくIT企業なんです」という意見もありました。
インド、めちゃくちゃおもしろいです。今回のツアーで学んだことを誰かと議論したくて仕方がない状態。まずはTechWave塾13期でお話したいと思います。開講まで1週間しかないですが、どうしてもこうしたことを議論したいという熱い思いのある方がいましたら、ご連絡ください。世界的企業を作りたい方、世界を変えたい方となら、僕も議論してみたいです。詳細はこちら。