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クリス・アンダーソン著の書籍「Makers 21世紀の産業革命が始まる」の影響もあり、一気に高まる ハードウェア への関心。
3Dプリンターを象徴として、この10年でハードウェア生産のコストは激減しているのは事実。そんな中、ITxハードウェアによるイノベーション創出の契機も高まっている。そのムーブメントの核心は「組み込み」、つまりハードウェアに組み込むことを前提としたソフトウェアである。
しかしながら、組み込みの世界は敷居が高い。ハード x ITというとArduinoといった比較的手軽なキットなどもあるが、enchant.jsのように数十行のコードを書くだけで作品が完成というレベル感はなかった。
そういう意味で、冒頭の画面のキット「 液晶マイコンボード付きmruby学習キット EAPL-Trainer mruby」は衝撃的だ。Rubyの軽量版「mRuby」に対応したハードウェアである。
Rubyのコードをさらっと書くだけで、ハードを制御することができる。基本的にRuby以外のことを覚える必要はない。ボタンなどのGUI素材も提供されているので、写真のように、タッチセンサー(圧力感知式)を使ってアプリケーションを開発することはもちろん、基盤を付けて各種センサーやLED、スピーカー等と連携したソフトを開発することもできる。
キットの金額は本体とタッチセンサー液晶パネルのセットで17640円(送料別)。これだけで、ハードxITの開発をがしがし進めることができる。必要なのはRubyの知識だけ。慣れれば数時間で簡単なゲームを開発することもできるだろう。
小学生でもできる組み込みハード革命
「mRuby」は、福岡県が主導する「福岡Rubyビジネス拠点推進会議 (F-Ruby)」により2010年6月25日、経済産業省の地域イノベーション創出研究開発事業として「軽量Rubyを用いた組込みプラットフォームの研究・開発」事業が採択されたことを受け開発が進められたもの。
「mRuby」は、軽量Rubyの実行基盤「RiteVM (Ruby LIghtWeight VM」をベースにした、他ライブラリなどの総合環境を差しており、Ruby開発者まつもとゆきひろ(matz)が主導し、九州工業大学 情報工学部機械情報工学科准教授 田中和明氏や福岡CSKらが開発を進めてきた。
このキットは2012年11月に出荷開始されたばかりで、活用や応用はこれからだが、すでにIIJはmRubyを搭載した製品をリリースしているなど、導入対象の幅広さと、開発効率の高さに注目が集まっている。
mRubyについて説明して頂いた九州工業大学 情報工学部機械情報工学科准教授 田中和明氏
「mRubyは、Rubyから構文と文法解析の部分を使い、従来数メガは必要とされていた実行環境を600kくらいにまでコンパクト化したものです。
軽量化のために、コンパイル(コードを実行可能な中間形態に処理すること)が必要となりますが、mRubyの実行環境としては 非常に幅広くなっています(gccが動作すればほぼ可)」(田中氏)。
組み込みOS環境は、この20年前後あまり大きな進化や変化は置きてこなかったが、mRubyの手軽さと導入の幅広さは革命と言ってもいいだろう。JavaScriptなどの感覚でハード制御ソフトが書ける。このキットなら小学生でもゲーム作りなどもできるはず。一気に組み込みの世界が拡まりそうだ。
最後は、まつもとゆきひろ氏によるmRubyについての講演(英語)と田中氏の講演をご紹介し締めたいと思う。
Video streaming by Ustream
【関連URL】
・液晶マイコンボード付きmruby学習キット EAPL-Trainer mruby | Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/dp/B00AIL6H9O/
・組込み開発学習教材 EAPL-Trainer(イープル トレーナー)mruby:ILC「株式会社アイ・エル・シー」
http://www.ilc.co.jp/commodity/eapl-trainer-mruby/index.html
・省メモリ対応版GUI統合開発環境 GENWARE-Lite:ILC「株式会社アイ・エル・シー」
http://www.ilc.co.jp/commodity/genware-lite/index.html
・3Dプリンターってもんが起こすであろう革命と現在の3Dプリンターの限界、そしてもっと知るべきCNCのチカラ【岩佐琢磨 @Cerevo】
http://techwave.jp/archives/cat_50050029.html
夢を叶える技術者。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップ・マーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」執筆中)。地方から全国、世界へを体現中。