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米BitTorrentは2016年5月17日、P2P(ピア・ツー・ピア:Peer to Peer)技術を応用したストリーミングプラットフォーム「BitTorrent Live」を発表した。Apple TV、iOS、AndroidおよびMacに対応したストリーミング受信用アプリを2016年6月頃に提供開始する予定。リリースと同時にニュースやスポート、音楽、テクノロジー、若年層をターゲットにした番組なども提供する。
BitTorrentは、高速で伝送可能なファイル伝送用P2Pプロトコルおよびそのサービスとして名を知らせてきた。集中するトラフィックを利用者側(のアプリ)がホスト役も果たすことで分散、大きなファイルを効率よく伝送することで定評がある。過去、匿名で使用できるP2Pソフトが、知的所有権を侵害することで大きな問題となったが、BitTorrentはどの利用者が何を公開しているのかがわかるようになっている。また、2007年頃から動画コンテンツ配信プラットフォーム「BitTorrent DNA」を提供しており、今回は満を持してストリーミング配信に参入する。
「BitTorrent Live」では、遅延が多いHTTPライブストリーミングを使用せず、P2P技術に代替することで映像のラグなどの問題を回避するというもの。P2Pファイル交換と同じようにクライアントアプリ側が配信の一部を受け持つことでCDN(コンテンツ配信ネットワーク)などを使用せず10秒の遅延のみでストリーミングが可能になるだけでなく、旧来型の手法では不可能だった巨大な配信にも対応できるという。
BitTorrent社はかねてより「放送をP2Pで代替する」と述べており、受信アプリの提供に際しニュースやスポーツといった一般市民が楽しめるコンテンツの提供も開始するとのこと。
【関連URL】
・BitTorrent Live
https://btlive.tv
・BitTorrent Live: Multichannel App for Live and Linear Programming Unveiled at INTX
http://blog.bittorrent.com/2016/05/17/bittorrent-live-multichannel-app-for-live-and-linear-programming-unveiled-at-intx/
日本ではサイバーエージェントが放送局とタッグを組みモバイルテレビ局AbemaTVを展開している。独自番組にも着手し、配信プラットフォーム「AmebaFresh」との連携も果たすなど本気だ。「BitTorrent Live」は技術プラットフォームの色が強いが、P2Pであるためコスト面での優位性があるほか、おそらくマネタイズプラン(有料配信など)も提供すると考えられる。仮に「BitTorrent Live」が放送に代替する手法として定着するとなると、動画放送の敷居がさがるだけでなく、大型テレビからモバイルまで展開も容易になる可能性がある。