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[読了時間3分]
【シリコンバレー】FacebookやLinkedInなど、会社の名刺以上の情報も交換したいあなたへ。コンタクトを一括交換、管理できるアプリCofameを紹介する。(2014年6月27日)
コンタクトを交換する先に
Cofameはコンタクトの交換が電子的にできるアプリだ。ベータ版をリリースした直後の米国はシリコンバレーにいるCEOの川鍋仁氏を取材した。
ここでいう「コンタクト」とは、名刺に限らず、メールアドレスやSNSアカウントなど、相手と連絡をとるために交換する情報と定義する。大切なのは名刺でできることは踏襲、網羅していることだ。CEOの川鍋氏は、アジアのビジネスで最初に名刺を交換することがとても大事だと思っており、アプリ上でも忠実に「名刺を使っておこなわれること」を再現している。
まず上図のように既に紙で印刷された自分の名刺を写真でとり、自分のデータを打ち込む。
上図のように、写真を撮った時にずれていても補正ができる。
電子上に取り込んだ名刺を持って、目の前にクライアントが現れたとしよう。名刺交換アプリCofameでは、どのように電子上の名刺を渡すのか?
紙の名刺を渡す要領で電子的にコンタクトを手渡せる。
ちなみに爪・名刺ケースなどは変更することが可能だ。
名刺を片手ですっと渡す海外のユーザーも想定し、指が一本の場合も設定できる。
Cofameは名刺でできることを網羅し、日本の商習慣が世界のビジネスシーンで活かされることを示すことができる。川鍋氏は日本の名刺交換の習慣を、世界にも拡めたいという意図も持っているという。だが何より重要なのは、コンタクトを交換することで得られる可能性である。
基本機能
あの人と、いつどの会議で会ったのかを記憶
あなたの名刺にFacebookやTwitterのアカウントは載っているだろうか? 必要な相手を見極めて、渡すときに手書きで名刺に加えている人もいるかもしれない。Cofameではソーシャルアカウントの共有を調整することができる。
紙の名刺交換をした後は、会議の席順に従って名刺をテーブルに置く。Cofameでも、アプリ上で誰がどの席にいるかを自由に並べ替えることができる。名刺文化の発達した日本ならではのアイディアを、世界に紹介できる一例だ。
誰がどんな話をしたか、趣味は何かなどをメモする欄もある。
更に、ある会議で交換した複数枚の名刺は、日時とともにまとめて表示できる。紙の名刺交換では「誰」と会ったかだけが分かるが、Cofameなら「どの団体」と「いつ」会ったかが記録できるため後で思い出しやすい。
会社の社名変更など、コンタクトの内容が変わった時には自動でアップデートされるようになっている。
なお、Cofameを持っていない人にはSMSとEmailでコンタクトを送ることができる。
Cofameの世界観
次世代のコンタクト交換
「Cofameは名刺管理ソフトではない」とはCEOの川鍋氏の言葉だ。「名刺交換のように情報を交換するのはあくまでCofameというサービスで繋がるためで、繋がったあとは、コンタクトがひとり歩きするのではなく、自分が人に渡しているコンタクトを自分で管理できる」という。
だから、ともすれば競合とも見られがちな既存の名刺管理ソフトや、CRMには、むしろ積極的に情報を流したいと考えているという。Cofameにとって、ユーザーが名刺管理ソフトに流したい情報、CRMに流したい情報は、ビジネスに有意義であるものに違いないが、Cofameが管理しようとしている情報の一部にすぎない。それよりも、ユーザーにとって大切なのは、自分が渡したいコンタクト情報を相手によって変えることだったり、交換したコンタクトや、繋がった人と、どんな会話をしたか、コンタクトを交換したあとでも振り返ったり、更新したりできることであると考えている。
では、名刺管理ソフトにはできない、Cofameだけで解決できることは何か。
CofameのCEO川鍋仁氏には疑問があった。「もらった名刺をどれくらい見返しますか?また、それは何のためですか?」。そして本アプリの特長を「無くなっていく記憶をキープする」ことにあると説明する。
「顔は思い出せるけれど名前を忘れた」「汐留オフィスで打ち合わせした、あの人は誰だっけ?」今まで思い出せずにロスしていた機会を、Cofameなら復活させてくれる。なぜなら、「顔・名前・出会った日時」の全ての”Experience”が記録されるからだ。
顔と名前の記録だけなら、LinkedInでも十分かもしれない。だが、それだけでは顔と話した場所だけをぼんやり覚えているような人を探すことはできない。顔だけを頼りに、何百人もいるLinkedInのそれらしい人達から探すことは難しいからだ。その意味で、会議の場所や時間、相手の顔と名前を一箇所にまとめたCofameは、また会う機会を提供していると言えるだろう。
ネットワーキングイベントで大量にもらった名刺。今までは名刺の山に埋もれ、見返さないままでいたかもしれない。Cofameがあれば、後からの「あのビルで会ったアグリビジネスの人、誰だっけ?」という記憶を引き出し、コンタクトを見つけることができる。
これから
Cofameには大きな夢がある。 「日本の商習慣が世界のビジネスシーンに活かされる事を、世界の人に知って欲しい」(川鍋CEO)という。よって、日本を始め、全世界同時リリースを行う。名刺交換という日本独自の商習慣を起点に「ビジネスシーンでも使える本物のコンタクト交換を流行らせたい」のが夢だ。今後は名刺でできることを更に充実させていく予定だ。例えば、ビラのように名刺を一方通行に配る行為は、コンタクトの使い道としても大きな可能性があるとみている。
名刺の目的は何か、それは「会社の連絡先を交換すること」だけではなかった。だから、Cofameは名刺を電子上に移すだけではなく、名刺からはじまるすべての行動を把握し、名刺やコンタクト交換からはみ出た機能を求め続ける。交換したコンタクトを交換したままにせず、次のチャンスに活かしたり、コンタクト先の人が持っている自分の情報を管理したりすることができる。Cofameでは、繋がりは記憶され、アップデートされ続ける。
【関連URL】
AppStore:http://appstore.com/cofame
Website:www.cofame.com
蛇足:僕は、こう思ったんですよ
名刺という一枚の紙の先に、どんな道が見えるだろう?
この記事を機に久しぶりに見返した名刺の束は、私に一通のメールを打たせた。3週間前に相談を聞いてくれた相手に、進捗を報告しようと思って。
名刺交換とは何か、改めて考え直してみる。名刺交換とは、初めて会った相手と連絡をとるための道を教え合うことだと思う。
道は歩かれなければ雑草が生えて、誰も見なくなってうずもれる。
Cofameは人と人とが出会ってできる道を、自分の好みの太さにし、引っ越したらばすぐにアドレスを変え、道の先にいる相手にいつでも声をかけられるようにするための道具だと思う。初めて道が出来た日を、記憶しながら。