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IoT(Internet of Things)、つまりインターネット融合型の周辺デバイスが熱気を帯びつつある。きっかけはスマートフォンの普及、そして製造コストの低下だ。ICチップの小型化や高機能化、電力消費効率の向上、さらにはクラウドファンディングなど資金の調達が多様化するなど追い風は尽きない。そのあおりを受け物理センサーなどを活用したインターフェイスなどの人気商品がいくつか誕生している(Ring・Moff)、まさに次世代コンピューティングの試金石として注目されているのがIoTなのだ。
そんな中、電通ブルーが2014年11月13日に発表したデバイス「246(ニーヨンロック)」はかなり異色だ。見た目はデカイ南京錠。実際、スマホをふたまわりほど大きくした分厚い筐体で、南京錠の部品を使い本当に鍵として使えるというもの。というか本当にインターネットに接続できる南京錠なわけだが。
電通ブルーは、電通の100%子会社である電通デジタル・ホールディングス(以下「DDH」)が「最先端の技術力を活用したデジタル事業の開発・提案を行う」として2014年10月14日に設立した会社。
電通デジタルビジネス局での様々な新規事業の構築やサービス開発を経て、電通ブルー代表に就任した吉羽一高 氏の元に、多数のプロジェクトを手がけた精鋭達がジャムセッションのように集い、電通ブルーで複数のプロダクトを開発していくというスタイルで運営。「246」は電通ブルーとして初めての製品となる。
スマホで開閉できる南京錠、将来は使用権の共有も
「246」はスマートフォン専用アプリと南京錠デバイス「246 Padlock」の組み合わせで使用するもので、一般発売は2014年12月上旬を予定している。価格は1万246円(税別)。対応アプリはリリースと当時にiPhone版が公開。Android版は12月中旬にリリースされる予定だ。
本体は本物の南京錠の部品を使い、通信の秘匿性など最低限の堅牢性を持っており、CR電池で動作(1日10回程度の開け閉めで半年使用可能)する。本体には低消費電力のブルートゥース(BLE)が搭載されており、スマホからはブルートゥース経由で鍵の開閉を行う。
スマホアプリが鍵の開閉の状態をクラウド側に送信する仕組みが用意されており、将来的には、その鍵の状態や誰が開閉をしたか等をウォッチできようになるほか、知り合いなどに鍵の使用権を共有することができるようになる。
「え、鍵を共有?」「何につかうの?」と疑問に感じる人もいるだろう。正直いって、このデカさと存在感、しかもリモート開閉ってどう活用すればいいのか筆者にもわからない。
だが、それこそが「246」の狙いと言ってもいいだろう。
モノのリモート利用の仕組みから派生サービスへ展開
南京錠「246 Padlock」は、「246」の壮大なコンセプトのあくまで第一弾となる。今後、多様な商品やサービスをパートナーと展開するための対話のための実験的プロダクトという表現が適切だろう。
実際のところ「246 Padlock」は、セキュリティや破錠防止効果を施してはいるものの、一般的な防犯ロック以上の機能はなく風雨対策なども施されていない。そればかりか、本革装飾が施されていたり、カラーバリエーションがあったり、無骨でも堅牢にするという防犯用デバイスとしての完成度を追求することを求めていない。
そしてこの存在感。これがカバン等にぶらさがっていたとしたら、どっちが大切なものなのか解からないほどのインパクトがある。それでもいい理由がある。実は、「246」は、日常生活の中でパートナー的につきあえるプロダクトであるということを暗に(強く)主張しているのだ。
写真:右から電通ブルー上野武史 氏 ・キャンペーンガール(匿名希望)・開発パートナーのStudio Jake 味上友宏 氏
246チームは言う「まずは、自分自身ユースでスマホの鍵の開け閉めを体験してもらって、次に異なる形状のプロダクトや付随サービスを投入した文脈の中で、今後必要になる機能などを追加していきたい」。
246の最終的な着地点は、イベントやスペース、モノなど現実にあるものとインターネットの関係性の有機的構築。「リアルなモノやスペースへのアクセスをスマホで管理する」というコンセプトはシンプルだが、電通が持つ各種イベント運営ノウハウ、多様なプロダクトのPRなどとの化学反応にどれほどの威力があるかはかり知れない。
スペック
製品名 246 Padlock
本体寸法 H129 × W60 × D25 mm
本体重量 約98g(電池含まず)
電源 リチウム電池 CR2 ×1
稼動時間 約180日(開閉が10回/日の場合)
カラー アイボリーホワイト・ストーングレー・ランプブラック・ナイトブルー・ボルドーレッド
セット内容 246 Padlock本体、取扱説明書、リチウム電池 CR2(1個)
【関連URL】
・246(ニーヨンロック)|スマホがカギになるスマートロックサービス
https://24-lock.com/
・最先端の技術力を活用したデジタル事業の開発・提案を行う「株式会社電通ブルー」を設立
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/1016-003849.html
過去、TechWave/Softonic連合のイベントなどでデモをしてもったことがあるのだが、オーディエンスのキョトンとした顔が印象的だった。「何なの?これ」である。いわゆるITアーリーアダプターが好きな「どうみてもすごそう」とはちょっと違う。
だからこそ、246の存在意義は大きい。日本に抜け落ちていたリアル産業におけるマーケティング感覚が肝心になるからだ。言いかえればネット南京錠。ただ、これが日本を代表とするマーケティング会社によるアイディアの魔法をかけられたらどうなるか。もちろん先が見えない状態であるのは間違いないが、注目に値すると思う。