電力比較サイトを運営するエネチェンジ株式会社は、2016年7月、株式会社DMM.comと中規模法人を対象とした電力会社切り替え支援サービス「DMMでんき Powered by enechange」の提供と、株式会社クレディセゾンと共同でセゾンカード・UCカード会員向けの「電気料金診断サービス」を提供開始を発表した。
「DMM でんき」と「エネチェンジBiz」
エネチェンジ株式会社は、主に高圧小口といわれる契約電力が50kW~500kW未満の法人需要家向けサービス「エネチェンジBiz」を提供しており、沖縄を除く全国で高圧電力での供給実績のある電力会社各社と提携し、平均で約8%程度の電気代削減を提案しているとのこと。
「DMMでんき Powered by enechange」は、エネチェンジBizの第一弾パートナーシップとしてスタートし、DMMの法人顧客であるDVDセル・レンタル店、パチンコ店等の需要家に向けた電気代削減提案で協業するとのこと。
エネチェンジ×セゾン・UCの「電気料金診断サービス」
エネチェンジ株式会社は、セゾンカードホームページ・UCカードホームページより、電力比較サイト「エネチェンジ」の電気料金比較サービスが利用できるようになったと発表した。「エネチェンジ電力比較」を利用した全ユーザーの試算結果(セット割・ポイント特典を含む実質節約額)の平均値(期間:2016年4月)によると、電気料金プランを切り替えるだけで平均で年間約18,000円の固定費削減につながるとのこと。
エネチェンジの利用者の属性
「エネチェンジ電力比較」利用者の属性は、2016年4月の発表によると、世帯の小学生以上の人数(ユーザー自身による診断時の入力値)では2人世帯が約3分の1、単身世帯が約2割を占め、年齢層では35〜44歳が約3割を占めるとのこと。
ユーザーが入力した年間電気代は8万〜9万円台(月平均7千円前後)を中心に分布しており、年間電気代が13万円未満の層が約7割以上を占めるようだ。(*2015年総務省家計調査による一般家庭の電気代の全国平均は約132,716円)。
電力事業者向けのデータコンサルティング事業「SMAP」
エネチェンジ株式会社は、2016年2月には英SMAP Energy社より日本独占利用権を取得しており、「スマートメーターのデータを統計解析し、時間帯別プランに移行した場合の行動変容を予測するアルゴリズム」に関し、日本における特許を取得している。特許番号は「5897188」で、発明の名称は「料金プラン提案システムおよび料金プラン提案方法」。
この特許技術では、スマートメーターによる過去の電力使用量データをもとに、消費者の行動変容の可能な使用量の幅を統計的に推定する。消費者が行動変容に伴う労力と電気代節約額を計算して、時間帯別料金プランに消費者が移行した際の電力消費量のカーブを予測する。
4億を超える資金調達と格安SIM比較サイト「SIMチェンジ」の運営
エネチェンジ株式会社は、2016年2月に環境エネルギー投資および日立製作所を引受先とした総額4億1850万円の資金調達の実施を発表。またエネチェンジ以外にも、日本最大級の格安SIM比較サイト「SIMチェンジ」を運営しているようだ。SIMチェンジの特徴として、ユーザーはいくつか簡単な質問に答えることで通信料金のシミュレーションを行うことができる。その結果、自分にあった格安SIMを案内してくれる機能を備えているようだ。
【関連サイト】
・エネチェンジHP : http://enechange.co.jp/
・法人向け電力切り替えサービス「エネチェンジBiz」 : https://enechange.jp/biz/
・セゾンカードHP : http://www.saisoncard.co.jp/
・UCカードHP : http://www2.uccard.co.jp/index.html
・SIMチェンジHP : http://simchange.jp/
エネチェンジ株式会社は、自社のHPを見ると社員の顔写真を載せている。レオス・キャピタルワークスの代表取締役社長である藤野 英人 氏は、投資を検討する企業レポートの表紙に、必ずその会社のウェブサイトに載っていた社長の写真を入れているとのこと。また、社長の写真だけ出ている会社の株価のパフォーマンスは年率で0.8%、社長と役員の両方が出ている会社の株価のパフォーマンスは年率で11.4%が違うとも述べる。もちろんこれだけが主要因ではないだろうが、顔写真を掲載している企業としては悪いニュースではないだろう。エネチェンジの収益モデルは、エネチェンジサイトを利用して電力会社を変更した際に、変更先の電力会社から紹介料をいただくモデル。JASDAQ上場のエプコやB Dash Venturesからも資金調達をしているようだ。B Dash Venturesは、Syn.ホールディングス株式会社の連結子会社されたConnehito株式会社や、株式会社Gunosy、C Channel株式会社などメディア系運営企業への出資が見られる。エネチェンジ株式会社は、メディアだけを運営する企業ではないが、エネチェンジ、SIMチェンジ、と強いメディアを作り上げているようだ。