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北関東発、高専スタートアップの今 「おじさん」アプリが着実進化 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 学生向け開発イベント「ブレークスルーキャンプ」で上位入賞。高等専門学校卒業者がチームの核となり、後に茨城県で起業したFULLERが着々と成長している。

ojisan FULLERは2011年11月15日につくば市で創業。一軒家に住み込みながら開発するスタイルに注目が集まった。

 起業後はブレークスルーキャンプで評価を得たTwitterクライアント「Pitta」を含め、複数の開発プロジェクトを動かしつつ、2012年7月に主力プロダクト「ぼく、スマホ」を投入。

 「おじさん」をスマホに見たて、重たいアプリを停止したり削除することで、おじさんをメタボにならないようにするというAndroid用アプリ。

 高度なスマホ内分析技術を持ちつつ、「おじさん」キャラを前面に出すことで、女子高生や主婦を筆頭とした女性層に評価されダウンロード数はシリーズでおよそ50万。1日あたりの利用ユーザー率は約50%、一月あたりのMAUは約80%という驚異的なパフォーマンスを発揮し続けている。

 英語版もリリースしており、 米国オースティンの「South By South West (SXSW)」やスペインの「Mobile World Congress」にも出展。日本と変わらず、高い評価を受けている。

 派生のお手軽アプリの「ライトおじさん」「電卓おじさん」「QRおじさん」も、おじさんブランドに牽引されてダウンロード数が伸びている状態で、ブランドとしての成長可能性にも期待がかかる。



ダイエットに励むスマホおじさんに、つまみぐいの機会を

 そんな「ぼく、スマホ」の新しいチャレンジが「つまみぐい」だ。最新版にアップデートすると使用できるようになる。

 日々、アプリのタスクを切るダイエットに励むおじさんに、日替わりでアプリを与えるというもの。アプリの多くは無料だし、つまみ食いで利用できる、もしかすると利用者にフィットするアプリ選びに貢献できるかもしれないという考えのもの。

 「かわいいおじさんのために、タスクを切ることでダイエットに励むおじさんを助けることができる。

 しかも、がんばるほどかわいいおじさん画像が蓄まる楽しさもある。今回のアップデートで、おじさんに動きが追加され、毎日開く楽しさが増えました」(チーフデザイナー 桜井裕基 氏)。

 毎日、提案されるおつまみは4種類。右端は広告だが、左3つは独自のエンジンで抽出されている。

 「気持ちよく利用してもらえることをふまえ、まず誰でも楽しめるものだけをフィルタリングした上に、年齢や性別を入力してもらうことで、その人に適切なアプリを幅広い選択肢から提案しています。ダウンロード数ランキングなどで上位を提案するような方法もありますが、全ての人にマッチするわけではないので、その人一人一人のフィットするものを積極的に選ぶようにしています。」(つまみぐいエンジン開発 加藤哲平 氏)

 「ぼくスマホ」ディレクター取締役COO 永井裕一 氏は「このアプリは、スマホダイエットのために各ユーザーのアプリ使用頻度のデータを把握しています。削除するためのアプリだけに、長期間使用し続けているアプリは、その人にとっては価値のあるものと判断できると考えています」と、他のアプリおすすめエンジンとの違いを説明する。




 写真は左からチーフデザイナー 桜井裕基 氏、「ぼくスマホ」ディレクター取締役COO 永井裕一 氏、代表取締役CEO 渋谷修太 氏、スマホおじさん、つまみぐいエンジン開発 加藤哲平 氏。

 現在、FULLERは、「ぼく、スマホ」のさらなる成長に注力するほか、データを企業向けに提案するサービス「App Ape」などの展開にも着手。「まずは、 ぼくスマホを100万ダウンロード超にすること。そして、全スマホユーザーに利用してもらえるようになりたい」と渋谷社長は抱負を語る。

 なお、、FULLERは、2012年12月にロンドンのm8キャピタルおよび日本のの朝日ネットから総額1億円のシードラウンドの資金調達を実施しており。新たなチャレンジもスタートしているとのことで、今後に期待したい。




【関連URL】
『ぼく、スマホ』おじさん育てて、電池長持ち。Android用アンインストーラー・タスクキラー
http://ojisan.fuller.co.jp/
・「ぼく、スマホ」 おじさん育てるとスマホが健康に!?【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51755106.html
・あえて地方で戦う、凄腕エンジニア達のスタートアップ 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51746082.html

蛇足:僕はこう思ったッス
 同じ北関東在住だからというわけではないのだけれど、彼らの感覚には常に共感させられる。積極的に活動するのだけれど、あくまでチームとしての調和と判断が基盤になっており、場所やコネに依存しない。それには勇気や努力が必要で、簡単なことではない。
チーム全員が自分を信じ、可能性に挑戦しつつ、チーム同士そして人との縁を大切にすることの素晴らしさを彼らから改めて教えてもらっている。和製スタートアップの正当自然培養の象徴的事例として今後の成長を期待したい。
著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
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