@hatoneです。サンフランシスコでサーバーサイド寄りなエンジニアをしています。先日、シリコンバレーの方で働かれている友人のしゃんさんに誘われて、アメリカで開催されたハッカソンへエンジニアとしてはじめて参加してきました。今回は、その時のことを体験レポートとして書いていきます。
はじめての海外ハッカソン
Internet of Things Hackathon(以下、IoT Hackathon)は24時間でモバイルアプリを作るハッカソンで、8月16日(金)-17日(土)の2日間で開催されました。もともとはAT&がメインとなる”AT&T Mobile App Hackathon”というタイトルだったのですが、Platinum SponserにDellとintelも加わり、タイトルが変わった模様です。
今回のパロアルト、9月7日にニューヨーク、11月1日にデンバー、11月15日にロサンゼルス、全米4箇所で開催され、勝ち抜いたファイナリストが2014年1月5日にラスベガスで発表するというアプリコンテスト形式のイベントです。今回の会場は、NestGSVという2012年に新設されたインキュベーションセンターで、2階から1階にかけて大きな滑り台が設されているのが魅力的な施設でした。
Rubyやアルゴリズム系の勉強会には何度か参加したことはあるのですが、英語でのハッカソンは私にとって初体験です。
Windows8 Application開発!?
しゃんさんと合流した後に「今回はどうやらWindows8 Applicationを開発するハッカソンらしい」と教えてもらい、とても焦りました。モバイルアプリを開発するイベントだとは思っていたのですが、まさかWindowsアプリ開発イベントだとは予測していなかったのです。開発用マシンとしてMacしか持ってきておらず、Windows8アプリ開発経験無しの状態からのスタートとなってしまいました。
ハッカソン会場では、親切なことにDellの18inchタブレット XPS 18 Portable All-in-One Desktopの貸し出しが行われていました。多くの方が借りていたので、似たような人々は私達だけじゃないんだなと感じました。また、この貸出方法も面白く、まずはチームのメンバーのクレジットカード本体を預けることで本体を貸し出してくれるという流れでした。
開発スタート! の前に。コンセプトを考える。
普段1人でプロダクト開発をしようとすると「どんなものなら今作れるか?」を考えがちになってしまうのですが、2人で話すと夢が膨らみます。
しゃんさんからの提案で「iPhoneじゃできないけれど、これ(XPS18)なら出来ること。コレが欲しくなるものを考えてみよう」という流れになり、そこから作るプロダクトの輪郭が少しずつ見えてきました。また方向性としては、食事ネタでいこうという話は以前からしていて、「誰かインタビュー出来る人はいないだろうか?」など盛り上がりました。結果として、スカイプで日本にいる方にアイディアベースでの話をしてみたりして、反応の良かったモノを実装することになりました。
ご飯を描いて、計るアプリ。Dining Board。
今回のタブレットは18inchもあり、まな板を想像してしまう大きさです。
初めは、ケーキと同等の円を描いて人数を入力すると入刀すべきガイドラインが現れるアプリや、静電容量式なことを利用して端末上へ苦手な野菜を置いて、子供場それを食べながら進めていくアプリなど、色々と考えました。しかし、実際にタブレットの上に食べ物を直接置くことには抵抗があり、自分たちが使っている姿を想像することが出来ませんでした。
そこから色々と発展し、”トーストなど食べ物の大きさを描くとそのカロリーが表示されるアプリ”を作ることに決めました。
もくもくと開発
今回は、HTML5アプリを開発することにしました。
しゃんさんはカロリーの計算の方法やパラメタに関する調査、私は絵やカロリーを描く処理をメインにやりました。実際に開発しながら「会場にある食べ物で、実際にカロリーを測ってみるデモをやろう」という話になり、翌日の発表にワクワクしつつ”作りきるぞ!”というプレッシャーと戦いました。1日目は、基本的な絵を描く部分や大まかなUI配置を行い、2日目のお昼すぎまで単純閉曲線とその中の大まかな面積を求める部分を作りこみ、ラストの1時間はアプリのトーン&マナーを合わせることに意識しました。
もっと色々加えたい機能もあったのですが、デモが出来るレベルの着地点を模索しながらの開発でした。
プレゼン会場にピザがない!?
会場では、youtubeから気に入った音楽を連続再生するメディアプレーヤー、コンソール型の迷路ゲーム、様々なアプリが発表されました。私達のプレゼンは後ろのほうだったので、緊張する時間がとても長く続きます。
大抵のイベントではピザが出されるので、デモ用にピザのデータを準備していたのですが、会場にはピザがありませんでした。その代わりにデモに使えそうな食べ物としてベーグルがあったので、その場でベーグルの情報を調べ、データを追加してプレゼンに備えました。
いざ、プレゼン。
しゃんさんの小気味よいプレゼンにより会場の笑顔に包まれ、デモも無事に成功し、とても良い手応えを得ることが出来ました。デモのあとの質疑応答では、「このプロダクトのどの機能を君たちは今回のハッカソンで作ったの?」という質問があり、「全部です」と答えたときの審査員の反応がちょっと嬉しかったです。
発表後は、「あなた達のプロダクト気に入ったよ!」と近くの席の方に言われたり、様々な人から声をかけられ、Dining Boardを触りに来てくれました。小学生くらいの子どもたちが、ステーキを選択してタブレット上で書ける範囲でとりうる最大の面積を描いたり、遊んでくれる姿をみてちょっとだけ嬉しくなりました。
審査結果は…なんと第2位!
このハッカソンではPlantronics Winner, Unity 3D Winner, AT&T API Winnerなど、様々な賞があります。会場や審査員の反応が良かったので、もしかしたら何か入賞出来るかも…?と期待してみたのですが、なかなか名前が呼ばれず。その間に、第三位から第一位までの発表へ移ってしまいました。
日本とアメリカの感覚の評価のツボは違うのかなぁ……とちょっとだけ諦めかけていた頃、第2位として名前が呼ばれました。入賞したことで、さらに参加者と会話するきっかけが増え、帰り際にはHTML5 Tシャツを着たAndrew Smith氏も「Your product was the most creative one.」と声をかけられ、とても誇らしかったです。
年齢層の広いハッカソンでした。
今回、ハッカソンに参加して感じたのは、その幅広い年齢層。
小学生の少年が目を輝かせながらコンソールゲームを作っていたり、中高生の子たちがその時に自分たちが欲しい・必要だと感じたアプリを作って発表していました。また高齢の方も会場にいて発表を聞いていたり、ハッカソンへ参加する年代の広さがとても広く感じました。
次の戦いはラスベガス
アメリカ各地域で開催されるAoT Hackathon。1位と2位は、2014年1月にラスベガスで開催される世界中の家電製品を集めたConsumer Electronics Show 2014(CES)でのピッチとAT&T Developer Summitへの参加権利が与えられます。来年1月のラスベガスではアメリカ国内のトップ8が集い、そこで全米No.1が決められます。
私達も今回勝ち抜いたので、これに参加することになります。そんなこんなで、私達のハッカソン挑戦記はもう少しつづきそうです。
とても面白い、小学生の男の子がいました。
彼は自分の作ったゲームを、ものすっごく楽しそうにプレゼンするんです。どこまでも伝えようとしてるんです。しかも、なかなかクオリティだったりするんです。
キラキラしたいたずらっ子の目で、私達のアプリをいじりにきたりしました。そんな彼の勢いはとても微笑ましくて、将来がとても楽しみに感じました。
モノを作ると人と仲良くなれる。そんな不思議は、万国共通だと思いました。これからもチャンレンジしながらエンジョイしていきたいです。
全米1位の夢が出来ました。頑張ります。
失敗も成功もいっぱい積んでみたい25歳、ソフトウェアエンジニア。サンフランシスコに生息中。
15歳の時にNHK BS2放送の高校生ITキング決定戦で全国3位、NTT CommunicationsのVポータルアイディアコンテストで学生部門準グランプリ、ThinkQuest@JAPAN 2004で最優秀賞などと、エキサイティングな高校コンペ生活を過ごす。
2010年度未踏ユースに採択され、シリコンバレーにあるスタートアップにてインターンを経験し、2012年4月から社会人としてのエンジニア生活をスタート。昨年10月に就労ビザを取得して渡米し、現在はアドテク企業でサーバーサイド奮闘中。
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