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「突然のご褒美」を演出する米Kiip、22歳CEOのアイディアは日本マーケティングを変えるのか? 【@maskin】


[読了時間: 2分]

 「ゲームをクリアした時」「ToDoリストの項目をクリアした時」など、何らかの達成をした瞬間、「おめでとう!これをプレゼントするよ!」と突然無料クーポンなどをプレゼントされたらどうだろう?

 誰だって努力が報われることを願っているし、達成の瞬間を祝いたい気持ちがあるわけで、悪い気はしないはずだ。

 米Kiipは、アプリやウェブサイト上で、そんな達成の瞬間に絶妙な演出でクーポンなど表示させる「アーチーブメント広告」のプラットフォームを展開する企業で、米国では1100本超のアプリで採用されている。

 日本ではデジタルガレージの子会社であるCGMマーケティングをパートナーに、Yahoo!JAPANアプリとの大型プロポーションを本日2013年7月24日より開始するなど、ベストプラクティスとなる事例構築を加速している。




(写真 by maskin:ToDoアプリAny.DOで、タスク完了時にKiipのクーポンが表示された画面を説明するBrian Wond氏)

 CEO兼ファウンダーの Brian Wong 氏は、1991年4月生まれの22歳。

 14歳の時、飛び級で高校を卒業し、18歳でブリティッシュコロンビア大学の学位を取得。在学中に「FollowFormation」というTwitter向けサービスを開発する会社を設立。

 卒業後は、ソーシャルニュースサイトのdigg.comに入社するものの、5か月でリストラ。その後、Kiipを企業した。

「会社を辞めた後、時間があったのでゲームをしてました。ゲームの中で、レベルアップをした時やボスキャラを倒した時に、ハッとする瞬間があったんです。
その瞬間にユーザーにお祝いをしてあげたらいいんじゃないか? バーチャル上の敵を倒したらリアルのスターバックスでラテが無料でもらえただろうか? そんなコンセプトのビジネスモデルを思いつき、Kiipの構想を考えていきました」(Brian Wong 氏)。


強みはクーポンの取得率&利用率

 Kiipの最大の特徴は、平均17.5%というクーポンの取得率の高さにある。

 Kiipでクーポンが表示されると、クーポンそのものを取得するために電子メールアドレスを入力する必要がある。取得率というのは「クーポン表示」された回数に対して、「メールアドレス入力」→「クーポン送付(取得)」まで完了したユーザーの比率となる。

 なお、クーポン配信単価は、北米では30セントから3ドル。

 取得後のクーポンの使用率も飛び抜けている。

 例えば、日本で2013年2月26日に発表されたローソンとの「Lチキ」無料クーポンの施策では、取得率が約30%、利用率は約50%だった。

 これはKiipがいう「セレンディピティ(serendipity 偶然の幸運)」の考えによるものが大きい。

 クーポンの組み込み方は、SDKも提供されていることもアプリ側の開発者次第という面もあるが、あまり出過ぎてセレンディピティ度が失なわれないように制限を設けるなどの工夫が盛り込まれているのだ。
 


Yahoo!JAPANアプリでTポイントが獲得できるキャンペーンを本日から展開

 本日からスタートした「Yahoo!JAPANアプリ」のプロポーションでは、アプリ内に隠された宝箱を探すというアプリそのものをゲームフィールドとして活用。とことん使って宝箱をみつければ、総額300万ポイントのTポイントが山分けされるというもの。

 今回、KiipクーポンとTポイントカードの連携により、どんな成果が出るか注目の事例となりそうだ。

 Kiipは、北米(アメリカ・カナダ)を筆頭に12の国で展開しているが、その中でも日本は最も注目しており、デジタルガレージからの出資も受けつつ、子会社のCGMマーケティングと共同で、コンビニを筆頭に大手系列店での導入展開を加速していく考えとのこと。




【関連URL】
・Kiip, a new model. Real rewards for virtual achievements
http://kiip.com/
・Yahoo! JAPANアプリを使ってTポイントをゲット!キャンペーン – Yahoo! JAPAN
http://recommend.yahoo.co.jp/yjapp_tcampaign/

蛇足:僕はこう思ったッス
Kiipは、iOS/AndroidのほかUnity向けのSDKが提供されておりゲーム向けと思われがちだが、Any.DOという有名なToDoアプリなどでも採用されている。現在の展開カテゴリーは「ゲーム」「音楽」「料理」「ヘルルケア&フィットネス」「プロダクティビティ」などで、アプリからO2O(リアル店舗)向けのマーッケティング施策のプラットフォームとしてその地位を確立したい考えとのこと。アチーブメント広告は、確かにリアル店舗の方がフィットするように思う。喜びやお祝いはリアルの方が濃密になるような気がするので。
著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなどほとんど全てのIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ブログCMSやSNSの啓蒙。ネットエイジ等のベンチャーや大企業内のスタートアップなど多数のプロジェクトに関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。
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