サイトアイコン TechWave(テックウェーブ)

IVS 2017 Spring「LaunchPad」結果速報/総まとめ kobe #ivs10

トップレベルの経営者および経営幹部が一同に集まる招待制カンファレンスイベント「Infinity Ventures Summit(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)2017 Spring Kobe」の最終日2017年6月7日、目玉プレゼンテーションコンテスト「LaunchPad」が開催されました。

このイベントは投資家や経営者らによる厳しい審査を経たトップ13社が、業界キーマンらの前で最終プレゼンを行うというもの。過去の優勝者として「クラウドワークス」、「あきっぱ」などの注目企業があります

どんなプレゼンがあったのか、その特徴は、そして優勝者は?これら登壇企業14社による6分間のプレゼンテーションのレビューなど、IVS LaunchPadの全てをお伝えしようと思います。

14社のレビュー&コメント

  1. お金の貸し借りアプリ「よろペイ」
    https://yoropay.jp/

    個人間決済アプリのほとんどはクレジットカードで支払う必要がある。カードの使用率は意外と低い。喫茶店でお金が足りない時にスマホで気軽に1000円を貸すということが簡単にできる。返すときもスマホから。収益化はレンディングなどお金周りのビジネスで展開する。

    こう思ったっす) 個人間決済は北米で熱気を帯びておりOS側が取り込むなどの流れもあり、どれだけスピード感をもって勢いをつけられるかがポイントとなりそう。

  2. 公衆Wi-Fiを便利に使える「TownWiFi」
    http://townwifi.jp

    公衆Wi-Fiを使う時。登録処理や規約への確認など面倒なことが多い。何もすることがなくその場にいけば接続できるようにするサービス。世界200万スポットに対応。200万ダウンロード。日本以外でもすでにアメリカや香港など5カ国に対応。2017年10月にアジア、その後EUに展開する予定。有料で接続範囲を拡大するサービスも予定。

    こう思ったっす) すでにユーザー側からの評価によって人気が高まっているサービス。今回のピッチでは拡大策が提示されたけど、現在のサービスは発展途上なのでさらに品質向上して欲しいところ。

  3. スマホウェブブラウザ「Smooz(スムーザ)」
    http://smoozapp.com

    ベーシックなウェブブラウザエンジンを拡張してスマホでの片手操作をより便利にする。タブの操作やソーシャルブックマーク機能などを搭載。2016年9月にiPhone用としてリリース。一日あたり5.6回起動するなどアクティブ利用者が多い。追加機能を有料で提供。Androidなども順次展開予定。

    こう思ったっす) まとめ機能などネットのトレンドに沿ったツールが追加されてゆくラッパーコンテンツ的なプロダクト。懸念は重さ。

  4. スポーツ応援アプリ「PLAYER!」
    http://www.playerapp.tokyo

    アメリカではスポーツ放送の有料コンテンツへの支払い率が高い(ディズニーの5倍)。日本はスポーツ観戦のスタイルが変わってない。このアプリでは試合が始まるとプッシュ通知で知らせ、その瞬間の感動をほかのユーザーとチャットなどで共有することができる。プロだけでなくマイナーリーグにも対応できつつある。

    こう思ったっす) スマホ普及段階から何度も出てきているビジネスモデルだが、着実に品質を上げてきた。東京オリンピックに向け刺激的な施策の投入が期待される。

  5. ひきこもりを加速するVR「cluster」
    https://cluster.mu
    数千人規模のVRソーシャルイベントを実現する「cluster.」が2億円の資金調達&エイベックスと資本業務提携 #EnterTech

    ひきこもり創業者が家から出ないでライブなどに参加できるようにと開発されたもの。同時数千人参加のVRイベントを開催できる。VRヘッドセットやPC、スマートフォンにも対応。この空間でライブイベントを実施できるようにする。独自のチケットシステムを提供し手数料30%を収益に。この領域を独占したい。

    こう思ったっす) 没入できるVRだからこそテレプレゼンスの効果が高まる。焦点は実際のライブを超える映像のクオリティや体験があるかどうかになるだろうか。

  6. 医療分野向けホログラム画像「Holoeyes」
    http://holoeyes.jp

    医師は患者のX線の映像を頭で立体的にイメージしている。それを3次元データにして立体的にブラウズできるよにするというもの。匿名化されたCTデータを3DVR映像にして利用する。年間50件までで100万円で利用できる。発表論文を無料で公開できる付加機能もある。人工100万人あたりのCT台数は日本がダントツで多く、その豊富なCT映像を活用したいとのこと。

    こう思ったっす) 医療分野の最新技術導入の意欲は高いが、なかなかこういった取り組みは注目されない。特に今回ニーズに対して高い満足度でサービスを提供しているという点では評価が高い。

  7. 公衆ネイルプリントサービス「INAL」
    http://www.i-nail.jp/

    国内のネイル市場は2500億円。しかし利用者は30%止まり。手作業でネイルを描くため利用に2時間かかりコストも平均で8000円。インクジェット型のネイルプリンターを使い他店舗展開。利用はハード導入の初期費用と月額1~2万円のコンテンツ配信利用料、およびインクカートリッジなどを提供。

    こう思ったっす) 日本のネイルは世界でも人気が高いといわれており、Michiなどを筆頭に海外市場を狙うところがある。ネイルプリンターは国内ではセガのネイルプリンターなどのプレイヤーがすでいるがターゲットなどが微妙に違うがどうなるか。

  8. 声と音声でスマホを操作できる「APLAY」
    「APlay」 音声UIの未来はすでに始まっている【@maskin】

    見た目はワイヤレスヘッドセット。スマホと連携し、メールやSNSの通知を音声で伝えてくれたり、声で操作をすることができる。もちろん電話や音楽再生用デバイスとしても利用可能。デバイスの高度化およびソフトウェア追加でスマホだけではできなかったことをできるようにする。そこがマネタイズポイント。

    こう思ったっす) 熱気を帯びる音声認識市場にどう切り込めるかが注目。デバイスの完成度は高いがソフトとクラウド活用が焦点か。

  9. 宿泊予約権利を売買「cansell」
    https://cansell.jp

    オンライン予約後に19%がキャンセルされる。キャンセル料が発生してしまう場合に、その宿泊権利を売却することが可能利用者は特価提供された宿泊を購入できる。出品は審査制。取引は名義変更で行う。キャンセル料の低減は50%になることもある。今後は宿泊ではなく、飛行機や結婚式、携帯の解約などキャンセル料が発生する領域に進出。

    こう思ったっす) 権利の二次流通という新たなマーケット。ホテル側も理解する形で展開できているのが強い。

  10. OB訪問マッチングサービス「Matcher」
    https://matcher.jp

    参加型イベントを立てて学生に参加してもらう仕組み。15ヶ月で学生10000人がユーザー登録。新卒やインターン採用につなげる。スカウトすることも可能。一人に会えて1万円。中途市場にも展開していきたい。

    こう思ったっす) 注目度は高いものの競合も多いこの領域。仕組みや営業力だけで成長しにくいので、今後中長期的な施策の内容が試金石となりそう。

  11. AIヘッドハンティング「Scouty」
    https://scouty.co.jp

    採用が難しい領域で、転職潜在層を探すサービス。SNSなどの書き込みをクロールし、人工知能技術を使って転職潜在層かどうかと判定する。候補者データは現在80万人、デザイナーや技術者などに拡大していく計画。最終的には獲得したい転職潜在者をピンポイントで探し一本釣りする世界観を目指すとのこと。

    こう思ったっす) 名刺の肩書き情報をあてに無作為に電話をかけまくるヘッドハンティングと比べれば理にかなったサービス。ただ、ちょっとAIに「あなたは転職したいと思ってるでしょ」と指摘されたらドキッとするかも。

  12. ビザ申請・管理「one visa」
    https://onevisa.jp/enterprise

    外国人労働者採用企業は2016年で17万30000社前年度比13%増と増えている。ただしビザ取得まで行程が長く、書類も18種類を揃える必要がある。入局管理局の待ち時間は平均4時間で行政書士に外注すると一人あたり10万円と高額。この手間を削減する。月額3480円から。代理申請は4万円。ビザ申請は多岐に渡るため、今後は金融余震や人材紹介、不動産事業などへの展開も視野に入れている。

    こう思ったっす) 数字で見るより外国人労働者の増加が勢いづいている。採用側で見た時、ビザはとにかく大きな問題でこれを改善できるのは大きい。また、外国人労働者は日本居住後にいろいろと困ることもあり、情報活用面での多様化に期待される。

  13. 自動受付システム「RECEPTISONIST」
    https://receptionist.jp

    内線電話での受け付け取り次ぎの無駄をなくす。iPadを使った受付システム。事前に来訪者に受付コードを提供し、受付のiPadに入力だけで一連の連絡が行われる仕組み。アポなしにも対応。来客履歴を保存し、どの人がいつ来訪したかを確認するなど来客まわりを改善。HRや名刺管理など他社サービスとの連携も可能。10名以下は無料。以降は登録社員数に応じて課金。

    こう思ったっす) 名刺2枚で本人確認できる?確かに・・・遅れる場合などへの対応も自動化されるなど細かい配慮がいい。会社の入り口に設置するだけですべての受付業務が改善するインパクトは大きい。

  14. キャバクラ版UBER「LION PROJECT」
    https://www.gosmapa.com

    不透明な料金体系や客引きなど課題があるキャバクラ。人数や時間、エリアを指定すると登録された女性を集めることができる。60分5000円。延長30分2500円。登録女性は820名で、対面審査と利用者からの評価で品質維持。手数料は25%。2017年2月スタートで毎月40%成長。客単価は2.7万円。30日以内のリピート率は68%。

    こう思ったっす) 審査員の方々に大ウケなのはともかく、相席居酒屋であるとかコミュニケーションが多様化する現代にフィットした飲食領域の新たなサービスが熱気を帯びつつあるように感じる。

優勝はVRイベントサービス「cluster」

5位 キャバクラの再革命「LINON PROJET」
4位 ビザ申請・管理サービス「one visa」
3位 公衆Wi-Fiを便利にする「タウンWiFi」
2位 自動ネイルプリントサービス「INAL」

優勝 VRイベントサービス「cluster」

【関連URL】
・Infinity Ventures Summit
http://ivs.strikingly.com

蛇足:僕はこう思ったッス
 プレゼンを見た人は誰もが感じたように今回もさらにレベルが上がった印象。情熱で突破するというよりは、市場を認識して、具体的な方法で成長しようとしている会社がほとんどだった。その中で一番シズル感があったVRイベントサービスが優勝したのはイベントが成熟していることを表していると思ったっす。
モバイルバージョンを終了