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2015年12月17日、KADOKAWAからWindows/Mac OS対応の「RPGツクールMV」というソフトウェアが発売された。その歴史は25年。知る人と知るRPGタイプのゲームを自作するためのツールの最新作だ。目玉はツールとしての成熟はもちろんのこと、作成したゲームをHTML5で書き出すことができる点。ユーザーが作り出した作品が多く公開され、動画実況などで紹介されたりしている。
「RPGツクールMV」が得意とするのは以下のようなドラクエ型のマップビューやマリオのような横スクロール型ゲーム。
グラフィックの素材やマップ、音源などが豊富に用意されており、かつプログラミングが不要ということで多くのクリエイターが作品を公開してきた。中には製品や派生作品に発展するなどのケースや、YouTuber等が実況プレイしてブレークすることもあり、UGC(ユーザー制作コンテンツ)の一派として認知されてきた。特に公式サイトで公開されている過去のRPGツクール作品のリメイク「Creatures 〜生きとし生けるもの達へ MV」などは大ヒット作納得のクオリティだ。
HTML5対応への契機
ただ、過去のRPGツクールシリーズは、Windows専用の再生ソフトなどをインストールするなど手間がかかり誰もが簡単にプレイできるという環境にはなっていなかった。2013年KADOKAWA社長の川上量生 氏にその点を指摘されHTML5対応を決断したという。
HTML5対応には速度面の問題などが指摘されてきたが、公開されている作品で重さを感じることは少なく、HTML5やJavaScriptを駆使すればチューニングも可能ということわかっている。また、HTML5のコンテンツをネイティブアプリとして加工できるMonacaでアプリマーケットに登録できるほか、mBaasサービスを活用することでセーブデータをクラウドに保存するなどの応用の幅が広いことに注目が集まっている。
世界で69.5万本販売の人気ソフト
「RPGツクール」シリーズは、1990年に発売された「RPGコンストラクションツールDante」に始まり、1997年に「RPGツクール」とシリーズ名を変更して10タイトルがリリースされてきた。「RPGツクール」だけを数えて海外で61万5000本、国内で8万本の販売実績があるという。
最新作「RPGツクールMV」は、これまで遊びにくかった独自プレイヤーからHTML5に変更することで「シェアされたリンクからすぐ遊べる」が実現し裾野が拡大すると期待される。KODOKAWA/ドワンゴ連合による一連の支援もあり、これまで以上にスター作家誕生の確率が高くなるのかもしれない。
【関連URL】
・RPGツクールMV
https://tkool.jp/mv/index.html
随分前に「RPGツクール」で作品をつくろうとチャレンジしたが、アイディアと努力が浮かばず挫折してしまった経験がある。「RPGツクールMV」はプログラミングレスという大きなアドバンテージがあるが、言語を習得していればいい作品ができるかというとそういうわけではないのだ。大切なのはより多くの人が作れて、多くの人がプレイできる環境構築。そういう意味では「RPGツクールMV」とHTML5という組み合わせは、まだまだ大きな可能性を残しているように思う。