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福岡の「しくみデザイン」が、Intel Perceptual Computing Challengeでインタラクティブミュージックプレイヤー「KAGURA」で優勝をもぎ取ってから2年(インテルの世界コンテストで日本発の「KAGURA」がグランプリという快挙 【@maskin】)。CESの基調講演に立ち、インテルト共同で展開した世界各国でのデモンストレーションでも注目を集め続けてきたが、KAGURAの製品化を含めた事業化がなかな進展してこなかった。
その理由の一つは、コンテスト受賞時の初代KAGURAで使用されていたIntelの3Dカメラ「RealSence」の商品化がすすまなかった点があげられる。その後、RealSence不要のアプリを無料公開するなどしたが、その後も、どの市場でどう戦うべきかという点で先が描けなかった。
しくみデザイン代表取締役社長の中村俊介氏は悩んでいた。
「しくみデザインは、多様なテンターテインメント関連の業務を手がけているんです。KAGURAのみの事業を抜き出してスタートアップとして勝負することも考えたんですが、他の事業の経験や知見をもったしくみデザインのチームがあってこそのプロダクトであるため、分離は困難なんですよね」
創業以来、無借金で成長してきた会社なだけに、今、このプロダクトだけに大きなリスクを抱えるのはどうだろうか、ましてや独立したプロジェクトとして問投資を受けて急成長を狙うということへの期待と不安が渦巻いていた。
エンターテック・アクセラレーター 鈴木貴歩 氏
そこで救世主となったのがParadeAll代表でエンターテック・アクセラレーター鈴木貴歩 氏だ。MTV Japan、ユニバーサルミュージックでデジタルマーケティングや海外マーケティングなどを手がけるベテランである。
鈴木氏の支援のもとKAGURAは、本来の発想である「楽器がひけない人でも演奏できる新しい楽器」としての完成系をめざすこととなる。
最近のデモで目にしたKAGURAは、ツールとして大きく進化していた。音源も多様になり、演奏装置としてのプリセットや機能も多様になった。
そんな中、2016年5月14日筑波大学で開催されたテクノロジーと音楽のイベント「INNOVATION WORLD FESTA 2016 Supported by CHINTAI」では、藍井エイルがKAGURAを駆使したライブパフォーマンスを3000人の前でおこない手応えを感じたという。
「この演奏、しくみデザインからは何のレクチャー行わなかったんですよ。ソフトを渡しただけ。ミュージシャン達が難なくプレイできるし、工夫をこらして表現できる。楽器として受け入れられるんだ! という自信が生まれました」(しくみデザイン 中村氏)。
世界最大の音楽と技術の祭典「Sonar」でのトップ争い
現在、しくみデザイン 中村俊介 氏、エンターテック・アクセラレーター 鈴木貴歩 氏はスペインのバルセロナにいる。世界最大の音楽&技術、クリエイティビティの祭典「Sonar」に参加するためだ。
実は、このイベント内で開催される「スタートアップコンペティション」で、世界トップ10入りを果たすことに成功。最終審査プレゼンテーションを待っているのだ。
Sonarは世界中の音楽関係者やインタラクティブ関係者が一同に集う場。ここでのネットワーク作りも重要だ。そして、ここで優勝すれば、世界の音楽業界での本格デビューのための足掛かりが得らるのは間違いないだろう。
すでに海外展開支援の「DMM.Starter」の第一支援先として海外クラウドファンディングの準備も進めらており、その結果が待たれている。
【関連URL】
・インテルの世界コンテストで日本発の「KAGURA」がグランプリという快挙 【@maskin】
http://techwave.jp/archives/kagura_win_intel_perceptualcomputing_challenge.html
・しくみデザイン
http://www.shikumi.co.jp
・ParadeAll / パレードオール 〜すべてをパレードに〜
http://paradeall.com
大きな問題は島国意識の強さにあると思う。一つは村社会から脱せていない点、もう一つは孤島意識が強いため、すぐに「世界への橋渡し」という大袈裟な発想になってしまい、初めから莫大な予算をかけてしまう。当然ながら、そんなに簡単にうまくいくわけもなく、大失敗に終わるケースが後をたたない。
KAGURAにおけるチャレンジは小さな一歩だが、そのチャンスの大きさは計り知れない。先に紹介した仙台のJDSoundの日本記録樹立にしても、地道に自分の道を開拓して前に進んできた末の成果だ。
今、日本から世界躍進するのに必要なのは、アメリカから生まれた世界スタートアップブームに乗る多勢ではなく、可能性を信じ共に歩むチームなのだと思う。