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企業向けプラットフォーム提供の米Salesforce.comは、BtoB企業向けのSNSの試験運用を開始した。見た感じはFacebookやMixiのような造り。ソーシャルメディアマーケティングはBtoC企業向けだけのものだと理解している人が多いが、BtoB企業向けのソーシャルメディアとしてどの程度の成果を上げるのか注目される。
Salesforce.comは昨年10月に企業向けFacebook型サービス「Chatter」を発表。今回のサービス開始は、限定100社を対象にした試験運用で、正式スタートは年内を目指しているという。
Salesforce.comは、CRM(顧客関係管理システム)のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として急成長を続ける企業。SaaSは、ちょっと前ならASP、最近ではクラウドコンピューティングというキーワードで形容されることが多い概念。実際にはちょっと違うけど。要は営業担当者が持っている顧客の取引データを自社サーバー内に保存するのではなく、インターネットを通じてSalesforce側のサーバー上に保存する仕組みと考えれば間違いではない。
最近では、サードパーティーに技術仕様を公開し、人事や経理関係のプログラムなどもSalesforce.comのCRMに連携できるようになってきている。Salesforce.comは、あらゆる企業向けプログラムが動作するプラットフォームを提供する企業に成長してきているわけだ。【関連記事】CRMを核にしたマーケティング-salesforce.com①、「グーグルとはDNAが同じ」-salesforce.com②
今回のFacebook型サービス「Chatter」は、Salesforce.comのCRM(顧客関係管理システム)に加え、そうした人事、経理などあらゆる企業向けプログラムとの連携が可能なことが、最大の強みになる。またChatterは、FacebookやTwitterなどの外部の情報やフィードをChatter内に持ち込むことは可能だが、Chatter内の情報やフィードを外部に出力することはできないようになっている。仕事の関係者だけという、ある程度クローズドな環境の中での情報交換が可能になるわけだ。
個人的には、TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアを企業環境に持ち込むことで、企業間取引の形がどのように変化するのか、などの点に興味がある。
実際にTwitterで取引先をフォローしている日本人のビジネスマンから「取引先の担当者がどのようなことに取り組んでいて、どのような課題を持っているのかを漠然とつかむことができるので、こちらからタイムリーにソリューションを提案することができる」というTwitter利用のメリットについて話を聞いたことがある。わたし自身も「こんなソフトないかなあ」とか「だれかこんな情報知らないかなあ」とTwitter上でつぶやくと、複数のユーザーから即座に答えをもらった経験がある。情報がネット上に全部公開され、具体的な仕事の話をつぶやけないTwitter上でのやりとりでさえ、この程度の成果が確認されるわけである。
Chatterのように取引先だけを含むクローズドなビジネス環境の中での「つぶやき」が、どれくらいの成果を上げることができるのか。ある程度、時間が経過したあとに取材してみたいと思う。
【追記】
この記事をアップしてからTwitterを眺めてみると、「使いたい。取引先に気軽に提案したい」という意見や、「まちがいなくビジネスを変えるね」という意見が意外に多かった。Twitterがビジネスにも有効だということをTwitter使っている人たちの多くが実感しているんだということだ。
Twitterを使っていない人からは、まずこうした反応は出ないと思う。
やはりTwitterが、ネットの「陽」の使い方を増やしているだろう。
Twitter前とTwitter後でのネットが違うものになってきている感じがする。【関連記事:インターネットの楽しみ方の「陰」と「陽」】