本には本のよさがある。食べログが本になった

書評

インターネットの情報は玉石混淆である。「玉」もあるがそのほとんどは「石」であるといわれる。ブログが登場した当時は、単に「石」が増えるだけで「玉」を探すのがかえって困難になる、という意見があった。そういう意見が主流だったと思う。もう一方で、「石」の「量」が大きくなれば「質」に転化するという意見もあった。

 さて爆発的な情報の増加は、全体の質を下げるのか、質を上げるのか。

 もう答えは出たのだと思う。ネット上では「量は質に転化する」のである。その最たる例がGoogleである。ユーザーがどのようなキーワードで検索し、どのようなページにジャンプするのかという膨大なデータを解析することで、多くのユーザーが求めている情報を的確に表示する検索エンジンを作り上げた。わたしが一番最初に取材したGoogleのエンジニアが語った「情報が多ければ多いほど、コンピューターは量を質に転化できるのです」という指摘は、わたしにとっては目からウロコ。衝撃的だった。

 食べログ、クックパッドといったクチコミ情報サイトも同じだ。クチコミサイトは、2、3年前に比べ格段に情報が増え、その結果格段に使い勝手がよくなった。プロの製作者が作るレストランガイド、レシピ本を既に追い抜いた。クチコミサイトは今後も成長を続けるであろうから、プロの作り手との差は開く一方だと思う。

 その食べログが本になった。食べログ東京横浜2010


 サイトとしての食べログも便利なのだが、本には本のよさがある。ページをざっとめくっていくことでスキャンできる情報の量には、ページを1つ1つクリックしていくネットがかなうわけもない。

 確かにネット上ではキーワード検索で、検索結果に瞬時にアクセスできるが、その検索結果のリストのページを順番に見て行くのには1つ1つクリックし、表示されるまでにちょっと時間がかかる。さくさく動いたとしても、まどろっこしい。

 ということで、すべての本はいずれ電子になると主張する僕だけれど、少なくとも現時点のネットの転送速度、パソコンの処理能力から考えれば、紙の本のほうが便利なケースはまだまだあると思う。

 食べログの情報のエッセンスを短時間で取得したいのであれば、ネットよりも紙の本のほうが有効だろう。

 献本多謝。

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