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電子書籍のほうは「TechWave英語学習法」、紙の書籍のほうは「iPad英語学習法」というタイトルになりました。 電子書籍のほうは、最初「iPhone的英語学習法」というタイトルでAppleに申請していたのですが、「iPhone」という登録商標を商品名に使えないということで却下されたので、「TechWave英語学習法」とタイトルを変えて再度申請しています。近くAppStoreで発売されると思います。紙の書籍のほうは7月30日発売です。
タイトルは違いますが、中身はほぼ同じです。本のコンテンツの一部をTechWave上で公開していきます。
ウルトラマンも英語も3分が勝負
高校時代の友人に日比野幸彦というお調子者がいる。彼は関西の大学に進学し、卒業後2年間ほどサンフランシスコの大学に留学した。彼から帰国後に「サンフランシスコっていいところだよ。行くなら友達紹介するよ」と勧められたこともあり、私もサンフランシスコに移り住むことになった。
サンフランシスコに住みだしてしばらくした頃、私の勤務先である地元の新聞社に英語の電話がかかってきた。「ハロー、ミスターユカワですか?久し振りです」 流暢な英語でしゃべり続けるのだが、電話の向こう側の声に聞き覚えはない。「Excuse me、どこかで以前お会いした方でしょうか?」と聞くとOf course, we went to high school together.と言う。 But I went to a Japanese high school.と返すと、電話の相手は声高に笑い始めた。「オレだよ!日比野だよ!」
まったく気付かなかった。余りに流暢な英語で、てっきりアメリカ人だと思っていた。
実際、彼に初めて会うアメリカ人は、ほぼ全員が彼のことを英語のネイティブスピーカーと判断する。日系アメリカ人に違いないと思うわけだ。それほど彼の英語は完璧である。
ただし3分間は・・・。
彼自身、自分のことを「インスタント・アメリカン」と表現して笑う。一瞬だけのアメリカ人だ。相手は日比野のことをアメリカ人だと思って話し続けるが、3分間も話し続けると「あれ?」と思い始める。コイツ、実はネイティブじゃないんじゃないか、と。化けの皮がはがれるわけだ。
そうならないよう3分後も会話を成立させる方法は、第4章「魅力と英語の関係」で述べるとして、少なくとも3分間だけでもここまで完璧な英語を話せるということは、やはり称賛に値すると思う。
同じキャラの人物の話し方を真似る
日比野に、どうすればそこまで完璧な英語を話せるようになったのか聞いてみた。
「トニーを徹底的に真似したんだよ」と、彼は教えてくれた。トニーとは、そのころ米国で放送されていた人気コメディドラマに出てくる主人公の名前だった。 労働者階級のトニーは、マッチョでカッコいいのだけど、お調子者でお茶目だった。性格的に日比野そっくりである。
彼は自分にそっくりのキャラクターをテレビの中で見つけ、その人物の話し方や身振り手振りまで徹底的に真似たのだった。
先に書いたように、すべての英単語を覚えることなど不可能である。大事なのは、まずは英語が話せるという自信を得るために必要な最低限の表現だけを覚えることである。
その必要最低限の表現とは、自分と同じキャラを持つアメリカ人の英語表現なのである。日本語でも、男性と女性の表現は違う。自分が渋谷で遊ぶ19歳男性なら、女性の表現や50代教授の表現も覚える必要はない。例えば、最近の日本人の若者は「最適」とか言う意味で「鉄板」という表現を使う。「ビールに餃子の組み合わせは鉄板だね」とかいう具合だ。これを60代男性が「ビールと餃子は鉄板だね」というと「鉄鍋餃子」のことを話しているのではないかと誤解されてしまう。必ずしも年齢で限定されるわけではないが、それぞれのキャラのふさわしい表現が存在するのだ。
英語も同じだ。英語では、文章の最後に親しみを込めてdude、man、pal、friendなどという表現をつけることがある。例えば、How are you, my friend?などという言い方が一般的だし、日本人や年齢の高い人はこの表現が無難だ。しかしトニーを真似た日比野はWhat’s happening, dude?と言う。身振り手振りもトニーそっくりに言う。この一言で、相手は日比野が英語をしゃべれると思ってしまう。そして日比野の表現が聞き取れなければ、自分のせいだと思い、一生懸命理解しようとしてくれる。反対に日比野が難解な英単語に首を傾げても「英語を話せない」と受け取られることはない。
YouTubeを始め、ネット上には教材になりうる動画のクリッピングで溢れている。すべてを理解し覚えようとするのではなく、まず自分のキャラにあった英語の表現だけを徹底的に勉強することが大事だ。自分にふさわしい英語の表現を覚えるだけで、英語圏の人からは「英語が出来る」と認められ、自分も「英語が出来る」という自信をつかむことが出来るのである。
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