IPv4アドレス枯渇まであと100日!?【あきみち】

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人気ブログ「Geekなぺーじ」の中の人、あきみちさんから寄稿していただきました。優秀な書き手から寄稿の申し出が増えてきているのはブログメディアとしてはうれしい限りです。

54)
あきみち

いま現在、多くの人々が使っているのはIPv4によるインターネットである。
そのIPv4に、一つの区切りが迫りつつある。
IPv4アドレスの枯渇である。

世界で最も参照されているのが、APNICのGeoff Huston氏が個人的に運用するpotaroo予測であるが、そこで「IPv4アドレス枯渇まであと100日」と表示されている
http://www.potaroo.net/tools/ipv4/

potaroo

既に、IPv4アドレスの残りが実質約2.3%となり(残り11個、約4.3%。最後の5個は自動割り当てなので実質6個で約2.3%)、今年中に実質約1.6%になるだろうと思われる。

今のところ、来年3月に枯渇するとされているが、この予測は日々変わるので、実際に100日後に枯渇することが確実であるわけではない。
ただ、今年に入ってIPv4アドレスの割り当て速度は加速しており、早ければ来年2月に枯渇してもおかしくはない。

しかし、IPv4アドレスが枯渇したからといって、今のインターネットが停止するわけではない。
単に、今までよりも「拡大が難しくなる」だけである。
IPv4アドレス枯渇問題は、よくアナログ放送の停波に例えられるが、日本でのアナログ放送停止と地デジへの移行とは根本的に構造が異なるので、IPv4アドレスが枯渇するからといって必要以上に大騒ぎする必要はない。
IPv4はIPv4のまま、かなり長い期間、今後も運用され続けるだろう。
(IPv4アドレス枯渇対策とIPv6への移行に関しては、また後日。)


来年前半に枯渇する予定であるのは、世界全体のIPv4アドレスを管理するIANA(Internet Assigned Numbers Authority, http://www.iana.org/)という組織のプールであり、日本国内において実際に枯渇が身近に迫るのは、2011年末ぐらいであると推測される。

IANAは、世界全体のIPv4アドレスを256個に分けて管理しているが、それらは世界を5地域に分けて管理しているRIR(Regional Internet Registry)へと割り当てられる。
日本は、中国と同じAPNIC(Asia Pacific Network Infomation Center)に参加しているため、世界で真っ先にIPv4アドレス枯渇の影響を受ける地域にいると言える。

IPv4アドレス枯渇後、IT系のプログラマは、たとえば以下のようなことを考慮する必要がある。
これ以外にも色々なことを列挙したブログ記事を最近書いたので、興味がある人は是非見て欲しい( http://www.geekpage.jp/blog/?id=2010/11/10/1 ) 。

– IPv4アドレス節約のためにISPがNATを開始する
– ISPによるNATが拡大すると、アクセスログにTCPのポート番号も記録する必要がでる
– IPv4とIPv6のアクセスログを解析する必要がでる
– IPv4アドレスを割り振れなくなり、IPv6アドレスしか持たないサーバが登場する
– 金銭を伴うIPv4アドレス移転(事実上のIPv4アドレス売買)が行われる
– 今後の通信プログラムはIPv4とIPv6のデュアルスタックに対応したものを書く必要がある

なお、余談であるが、現在のIPv4アドレス需要は、IPv4アドレス全体の1/256が1ヶ月で割り当てられる速度で増加している。
そのため、たとえば、16ビットのホスト部を持つ/16のネットワーク一つは、世界の約3時間分の需要しか満たせないため、今IPv4アドレスを保有している個別の組織に「返却しろ」と言っても、焼け石に水である。
また、IPv4アドレス移転(金銭を伴う事実上のIPv4アドレス売買)も、今のインターネット拡大の需要を完全に満たせるほど供給が発生するとは思えない。

IPv4アドレスの枯渇は、インターネットの終わりではなく一つの区切りである。
来年以降どうなるかは、まだ誰にもわからないが、インターネットのインフラに非常に大きな動きは、恐らく発生するだろう。

【ゲストブロガー】あきみち

54)Geekなぺーじ」という技術情報サイト、兼技術情報ブログを運営している。
観賞魚飼育を趣味としており、熱帯魚関連のサイトも複数運営している。
全日本剣道連盟情報小委員会委員。

慶應義塾大学政策メディア研究科にて博士を取得。
ソニー株式会社において、ホームネットワークにおける通信技術開発に従事した後、2007年にソニーを退職し、現在はブロガーとして活動。
twitterは@geekpage

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