ガッツ! DOMOは死んでない(2/2)、頓智ドットの奮闘を回想する 【増田(@maskin)真樹】

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[読了時間:3分]

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ガッツ! 北米に向った3人、右からCEO井口尊仁氏、児玉哲彦氏、波多野智也氏

 頓智ドットの新サービス「DOMO」が突然削除された事件。当初、頓智CEO井口尊仁氏はショックを受けられていたようだった。何か不本意なことが発生している。そこで問題の存りかをしめすために記事を書く必要があると思い、東日本大震災からまだ日も浅い3月某日。筆者は東京新宿の頓智ドット社屋でCEO井口尊仁氏を待った。

 本当にDOMOは死に、頓智ドットのスタッフらも甚大なダメージで身動きが取れなくなってしまったのか。そんな悲壮感がただようと思われたミーティングだったが、取材が終わる頃には上の写真のような状態であった。「ガッツ!」というわけで、少しその経緯を振り返ってみたい。




 頓智ドットが、2008年米TechCrunch50(以下TC50)における「セカイカメラ」の衝撃的プレゼンで世界的脚光を浴びてからおよそ2年半の2011年3月。CEO 井口尊仁氏は、TC50のオーガナイザーであるジェイソン・カルカニス氏の新カンファレンスイベント「Launch」の壇上に立っていた。

 スピーチのテーマは日本のIVSで脚光を浴びた「DOMO」。驚くことに、そもそも渡米時、LAUNCHへの出演すら確定していなかったのだという。出演交渉のため、シリコンバレーの某VCに向け、井口氏と児玉氏はたった2人、豪雨の中、自らの運転で車を走らせていたのだという。その後、奇跡の出場が決まるわけだが、饒舌な井口氏であっても、発表の直前まで緊張で一言も言葉を発することができなかったのだそうだ。

 絶賛の嵐。2010年12月のIVSにおけるDOMOのプレゼンは直感的にそのポテンシャルを体感できる内容であったが、Launchの会場内の共感ぶりは種類こそ違うもののそれを超越したものだったように思うし、その後Yobongoとコラボ開催したプライベートパーティもさぞ魅力的だったと想像する。さらには、オースティンで開催された世界最大の音楽の祭典South by South West (SXSW)のインタラクティブ部門での出展とドリーミングな展開が続いていく。

SXSWでの奮闘

 「SXSW Interactive」の会期は2011年3月11日から 3月15日。すでに北米入りしLaunchに出演していた井口氏らとは別に、頓智ドットのSXSW出展チームは3月11日の午後、空港入りしていた。なんという運命のいたずら、そう東日本大震災発生の日である。震災に直面したチームの一員は、そのまま空港内に避難。予定を変更してなんとか米オースティンへの向かうこととなった。

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 以上はSXSWでの写真。広報・康 淳姫氏によるオリエンタルな衣装と太鼓、そして笛。さらに波多野氏がギターを弾いたりしていたそうだ。なんとも目を引くパフォーマンスであるが、それだけではなく、Launchでの脚光は本物だったのだ。ブースには人だかりができき。「Tシャツなどのノベルティをトラックで会場に運搬するのですが、荷台の扉をあけたとたん、“DOMO guy?” “Launchに出てたやつだろ?” とノベルティを求める沢山の人が集まり、どんどん持っていってしまうんです」(波多野氏)。

 ただ、前回お伝えした通り、DOMOはその後、間もなく姿を消した。というよりは外部の組織の権利的クレームにより、サービスを強制的にダウンさせられたような終焉であった。発表直後につきユーザー数のインパクトはなかったものの、こうした流れの中で起った事件としては印象深い。

DOMOは生きている、知られざるLAUNCHでの栄誉

 DOMOは生まれたばかりの小さなコンセプトプロダクトだった。しかし、コンセプトのメッセージ性の強さは、今も多くの人に残っている。それだけに、脅威と感じられてしまったのだろう。「学びとなることが一杯あった。チャンスがあれば復活するか、別の形でローンチしたい」と彼らはいう。

 実は、もう一つDOMOには栄誉が与えられている。themostlistという団体がLAUNCHでの「MOST INTEREST TWEET」という賞を任意で設立していたのだ。要するにLAUNCHのプレゼンで最もバズったものは何か?というものを調査して、そのナンバー1を表彰するというものだ。

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 この栄冠は頓智ドット「DOMO」のプレゼンに与えられた。このトロフィーは、実際に同社のエントランスに飾られているものだ。

 日本人によるWebサービスの世界的存在感が極めて低いとされる現在。多くの起業家が北米や世界を目ざし猛ダッシュを始めている。そんな時代だからこそ、井口尊仁氏率いる頓智ドットの功績は、今再認識されるべきではないか。

ガッツ!

■ 関連URL
・DOMOは死んだのか? 削除事件を追う(1) 【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51644238.html

蛇足:僕はこう思ったッス

当日SXSWに向かうつもりが筆者は(甚大被災地至近につき)それを断念した。彼らを応援しつつ、何もできないことに胸を痛めていたが、一方で頓智ドットのメンバーは現地にいた日本人らと、東日本大震災の募金もおこない莫大な寄付を集めていた。
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「sxsw会場にて、急遽設置した『help save japan』の募金ブース。主催者側の計らいで4階フロアの最も目立つ場所を確保することができ、募金総額は約4,000万円となった」(頓智ドットさん)

(追記)
取材からかなりの時間が空いてしまったが、ここに回想という形で公開させていただいた。数ヶ月の時間を要したのは、諸処のタイミングを調整していたこともあるが、東日本大震災の復興も大きな要因となっていた。筆者は、災害救助法適用の栃木県在住。海の無い県で被害は比較的少ない。自分たちはともかく甚大被災地目前の場所なので「ネットで情報共有」とかそういうレベルではないリアルで絶望的な問題が横たわっていた。そんな中、この取材に向っていた。本数が激減した電車を乗りつぎ、彼らに会って本当によかったと思っている。希望を与えられたからだ。
簡単にくつがえせない問題を目の前に、何をすべきか。この震災では、まずは、情報云々ではなく勇気を出して前に進み、手をさしのべることだと学んだが、そこから先は希望である、ガッツである。ものすごく悩み苦しんでる中で前に進む力を発揮することが大切だと思った次第。

著者プロフィール:TechWave副編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
 コードも書けるジャーナリスト。イベントオーガナイザー・DJ・作詞家。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。1990年代は週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーでベンチャー起業に参画。帰国後、ネットエイジで複数のスタートアップに関与。フリーで関心空間、富裕層SNSのnileport、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。“IT業界なら地方で成功すべき”という信念で宇都宮市から子育てしながら全国・世界で活動中。 / ソーシャルアプリ部主宰。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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