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次の時代の覇者は、大量のデータを取得し、分析する企業ー。国光宏尚さんの記事にある通りだが、そのデータ分析の領域で世界に挑戦しようという日本人技術者がいる。
Hapyrus(ハピルス)社の藤川幸一さん、鈴木健太郎さんで、大量のデータを並列分散処理する画期的テクノロジーとして注目を集めるhadoop(ハドゥープ)をクラウドベースで手軽に利用できるサービスを開発。国内のエンジェル投資家から出資を受け、ビザが取得でき次第、10月にも米シリコンバレーに渡り世界に向けサービス提供を始めるという。
ありとあらゆるものがデジタルデータとして入手、保存、分析可能になりつつある中で、問題は爆発的に増加するデータを処理するコンピューター技術。これまではサーバーにインストールするタイプのデータベース技術を向上させることでなんとかデータの増加速度に追いついてきたが、さすがに昨今のデータの爆発的増加に対しこれまでのデータベース技術だけでは対応不可能になってきた。
そんな中で注目されるのが、データベース並列分散処理技術のhadoop。米Yahoo!やFacebookの開発者らが中心になって開発したもので、オープンソースなのでだれもが自由に利用できる。最近ではTwitterやFacebookなどが積極的にhadoopを利用、大手ウェブサービスの標準的な技術になりつつある。
ただhadoopを使った開発、運用には、専門的な知識や多数の開発者が不可欠で、大手企業以外での利用は非常に困難なのが現状。そこでHapyrusでは、hadoopアプリケーションの開発、実行のためのプラットフォームをクラウドベースで提供、ブラウザーを使った簡単な操作だけでhadoopの複雑なジョブの実行を可能にした。企業が既に持っているコンピューターシステムとの結合も、APIやライブラリを提供することで可能にしているという。
hadoopの開発、実行環境を提供する社はほかにも何社かあるが、ほとんどが自社サーバー上での利用を前提にしている。また米Amazon.comは、hadoopをクラウドベースで利用できるサービスを提供しているものの、ただやはり利用には専門的知識が必要なレベル。Hapyrusのサービスは、hadoopの専門的知識のない人でもブラウザーを使って利用できる簡便さが大きな特徴だという。藤川さんは「どんな規模の会社でも、クラウドベースで自由に利用できるようにしたい」と語っている。Hapyrusのページ上で、ベータ版の試用が可能。
Facebookを見ていると、ものすごいデータ量なんだろうけど、比較的サクサク動いている。これって実は結構すごいことなんだと思う。どうやらこれはhadoopを使っているかららしい。藤川さんによると、Facebookはhadoopを使って何千台というサーバーをつなげて並列分散処理しているのだそうだ。「Facebookとhadoopは切っても切れない仲なんです」と藤川さんは言う。
僕は国光さん同様に、IT業界の次の覇者は大量のデータを収集し分析するところだと思って、あちらこちらでその話をしているのだが、あるとき某データベースマーケティングの会社の社長から「その通りだと思いますが、その大量のデータを処理する技術が追いついていないのが現状なんです」と指摘を受けた。どうやらその現状を打破してくれるのがhadoopになりそうなわけだ。
Hapyrus社は米デラウェア州に既に登記済み。米国企業だ。日本にもハピルス株式会社を設立しているが、日本法人として活動するつもりはないという。「記事内の表記も英語でお願いします」と藤川さん。気持ちは既にシリコンバレーにあり、視線の先には世界があるようだ。