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TechWave副編集長の@maskinっす。去る3月30日、私主宰で開催したスタートアップコミュニティVANGUARDの定例イベント「なぜ君は、インドネシアを目指さないのか?」を、ループス・コミュニケーションズの直人さんが講演録としてまとめて下さいました。関連情報を付与した充実の内容になっていますのでここに転載いたします。モバイル中心社会、成長率や可能性では世界で最も注目されるこの地域の実態を是非御覧ください。
【講演録】なぜ君は「インドネシア」を目指さないのか? (TechWave VANGUARD)
※本ブログ記事はセミナーのヒアリング内容なので、内容にはスピーカー個人の主観や分析が含まれます。また、聞き取りに際してミスがあることも考えられます。何卒ご了承ください。
TechWave VANGUARD のイベント「なぜ君は、Facebookユーザー数世界トップのインドネシアを目指さないのか?」に参加してきましたのでその内容をレポートします。タイトルには「Facebook」とありましたが、内容的にはインドネシアにおけるITビジネス検討にあたって必要な情報が広く網羅された非常に興味深い内容でした。
講演メモを取りましたのでご興味のある方はご覧下さい。
■Facebookの国別ユーザー数上位10カ国
イベント名には「Facebookユーザー数トップ」、とありますが、実際は「トップクラス」でしょうか。
イベント概要
日本でもようやく高まりつつありアジア熱。そんな中、世界中から熱い視線を送られているのが人口2億4000万人を抱えるインドネシア共和国だ。Facebookのユーザー数で2011年はアメリカに次ぐ2位をマーク、2012年1月にインドに抜かれたものの(関連URL) 4350万ユーザー超で、Twitterユーザーでも世界4位、さらに携帯およびスマートフォンの普及も著しく、ITスタートアップも続々誕生し成長している地域なのだ。しかも、この状態でありながら、ネット普及率は人口比16.1%と、まだまだ伸びしろがある。「GDPの成長率も目を見張るものがあります。また人口も2050年くらいまでは伸び続けると言われてます」(鈴木氏談)
日本からもすでにスモールチームから、楽天といった大手もサービスを展開している状態。アジアNo1を目指すサイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)は現地拠点を設立し、Tokopedia.comなどに出資、市場の底上げを狙っている状態。
そんなCAVインドネシア拠点の代表として多忙を極める鈴木隆宏氏が、久し振りに来日するとのことで、それにあわせ、インドネシア進出を検討するITスタートアップを対象とした勉強会&交流イベントを開催する。会場は日本最大級の敷地面積を持つ「Startup BaseCamp」。
スピーカー
鈴木 隆宏 / Takahiro Suzuki
- Twitter @takabos, Facebook Takahiro Suzuki
政井 悟氏
Twitter @hello_global
株式会社ハローG
海外事業部長
海外専門で市場調査、販路開拓を行っている。 日本企業の海外進出、海外企業の日本進出、双方を支援。3年ほど前まで、アメリカ(シアトル)に11年在住しており、最近は、インドネシア、アメリカ、ブラジルなどによく行く。
|
国内Facebookマーケティングとインドネシアの関係
インドネシアでは、FacebookはSNSとして使われていないという話はネット上でもよく聞きます。Facebookは主にメッセージングサービスとして利用されており、その理由は安いから。SMSが普通1000円くらいするところ、Facebookだとメッセージング使い放題で300円くらいと半分以下で利用できるそうです。
【参考外部サイト】
- 「フェイスブック世界2位はインドネシア」の理由を知っていますか?(日経ビジネスオンライン)
統計データも多く、非常に参考になります。 - なんでFacebookの普及率がインドネシアで異常に高いのか?(#Facebook #Indonesia)
- Facebookが世界で楽々と普及していった本当の理由(もとまか日記)
そんなインドネシアですが、日本国内のファンページをフォローしているユーザーも多いようです。Facebookページの統計情報で「人気の都市」がわかるのですが、日本のFacebookページ上位10件(fbRank、2012年3月30日時点)中、3件はインドネシアで人気があり、1件はインドで人気があります。
順位 | 画像 |
ページ名・概要 |
ファン数 |
人気の都市 |
1 |
Facebook Japanの公式ページです。 |
3512686 |
東京都 日本 |
|
2 |
1971年創刊のゴルフ雑誌、週刊パーゴルの facebookページです。誌面の記事の紹介に限らず、ゴルフに関する情報をみんなで共有できる場にしていきたいと考えて … 続きを読む |
2341161 |
ジャカルタ インドネシア |
|
3 |
Facebook公認ナビゲーションサイト「Facebook navi」のページです。 http://f-navigation.jp/ ナビ編集部が、ユーザー目線 … 続きを読む |
1995201 |
東京都 日本 |
|
4 |
***The order is here. *** info@satisfaction-guaranteed.jp SHOP INFORMATION ■http … 続きを読む |
1384696 |
ジャカルタ インドネシア |
|
5 |
04-4587-3139 |
676866 |
ムンバイ インド |
|
6 |
664029 |
東京都 日本 |
||
7 |
― |
― ― |
656199 |
― ― |
8 |
ANA(全日本空輸株式会社)の公式facebookページです。 |
602517 |
東京都 日本 |
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9 |
無印良品公式Facebookページです。新商品やキャンペーン情報など、無印良品の今をお伝えします。http://www.muji.net/ |
586363 |
東京都 日本 |
|
10 |
auの公式Facebookページです。auの商品やイベント情報、様々な取り組みなどをご紹介しています。 http://www.au.kddi.com/ |
584743 |
東京都 日本 |
4位のsatisfaction guaranteedはインドネシアやシンガポールなど、アジアで人気のあるファッションブランドです。ただ、インドネシアで人気のあるFacebookページでも、アジアでマーケティングを行なっているとは限りません。例えば、ランキングサイトからトラフィックを得るためにアジアのファンを増やしていると考えることもできます(インドネシアのファン獲得単価は日本の1/10以下とも言われる)。
以下、そんなインドネシアのITその他諸々の情報です。受講しながらのメモであるため、間違い等あるかもしれませんがご承知おきの上ご覧いただければと思います。
Q&A (スピーカー vs 参加者)
メディアの状況は?
広告は、メディア単体が育っていないので純広よりはアドネットワークが伸びると見ている。テレビ局は2~3局がメジャー。1局がたくさんのチャンネルを提供している。雑誌を買う文化はない。
知的財産は保護されているのか
明確な法律はない。コピーに対して悪びれたところもない。
サービス提供言語は英語・現地語どちらが望ましい?
ECなどの広く普及させたいサービスは英語ではない方がよいと思う。ただし最初からローカライズするとコストがかかるので、英語でグローバル展開し、当たった地域からローカライズを進めていく。
一人あたりの購買単価と直近3年の成長見込み
サービス次第(楽天とTokopedia)。今のところベトナムの3年遅れくらいで来ているが、実際わからない。
政治は過熱気味のITを支援する?抑制する?
最低資本金を上げたり($1M)、抑制気味になっている。海外のサービスに入られすぎたという反省もあるのでは。内需を育てようとはしている。ITは支援しているが、実際政府がまだインターネットをよくわかっていないのでもたもたしている印象。
国内産業を守ろうとするあまりドラスティックな行動に出ることも。プレミアムSNSに突然アクセスできなくした。2012年6月にモバイルバンキングの規制をかけようとしている(データセンターをインドネシア国内に置く、など)。
国民性、人間性はどう感じるか?
イスラム教の人とクリスチャンは同じ給料だが、お祈りで1日4回出ていくので外資では不満が出やすいようだ(お祈り1日4回は義務なので契約上も保護されている。禁止すると恐らく裁判でも負ける。)。インドネシアでは、絶対に人前では怒ってはいけない。調和を大事にする民族なので尊厳を傷つけ、周りもしらけてしまう。そういう場合はひとりずつ呼び出して。一方、調和を大切にするあまりその場をつくろってしまう(できないことを「できる」というなど)。
参考:Facebookで「無神論」を唱えたインドネシア人男性、5年禁固刑の可能性
クリエイティブではないような気がするが、細かい指示はきちんと守る。オフショアは向いているが、ゲーム開発とかは難しいかもしれない。ただ、日本のゲーム開発の下請けをやっていたりするので下地はできつつあるのではないか。
お酒に誘うよりは、最初はコーヒーチャットから。おしゃべりやチャットが大好き。携帯でその人のページ(ウォール)に行って「今日は楽しかったね」「どもども」なんてやり取りが生まれる。
また、労働者に手厚い法律なので解雇は難しく、労働問題に発展しやすい。
インドネシアにまつわる数字 (鈴木氏&政井氏)
市場動向などは Hello-G の公式サイトにたくさんの情報があります。また、アンケートに答えるとダウンロードできる資料もありますので興味のある方はどうぞ。
前提
・細かい数字は取るのが難しい。取れる数字も当てにしてはいけない。
・数字を追いかけるより行った方がはやい。
例えば、10年前は人口が3億人いたことになっている。今は約2.4億人。政府が転出を測定していなくて6000万人の誤差が出た。
基本情報
インドネシアの人口統計:http://lifecycletheory.blogspot.jp/2011/08/1gdppopulationgdpeconomy-indices-of_23.html
- 一人あたりGDP$3,500(前年比6.5%成長)
- 全国平均での
年収月収は2.5万円程度。ジャカルタ周辺では3万円程度。
参考:JETRO平均賃金資料
※「年収」ではなく「月収」でした。甲山さん、ご指摘ありがとうございました! - 人口約2.4億人、うちジャワ等約1.3億人。ジャカルタ周辺2,800万人。
スマトラとジャワで人口の7割(ジャワ島で日本一つ。スマトラと合わせると日本超える)。 - 世帯数約6,100万人。世帯あたり3.9人。労働人口60%、若い国。ただし高齢化は始まっており、50~60代の割合は増えつつある。
- 人口や経済はパプワ・カリマンタンが伸びている。理由は主に資源。BOP層はまだまだある。
- 貧困層から中間層に。農村部では過去10年で1,000万人が中間層に仲間入り。
都市部ではあまり変わらない。
副業をしている人が多いので、収入より支出を調べる。 - 車・バイクを73%が保有。過去5年で22pt増(51%→73%)。
車はぜいたく税がかかり、日本の倍かかる。 - 上位中間層はローンをかなりかかえており、高い買い物はできない。
日用品や携帯コンテンツなど は売れる可能性はある。 - 中間層になりつつある層がクレジットカードを持ち、高い買い物をする。
IT市場
まだ規模は大きくないが確実にポテンシャルがあり、空いているスペースもあるので長い目で見て育てればたくさんのチャンスはあると見ている。
参考: Garbagenews.com インターネット普及率(2011年3月末、対人口比)
- モバイル人口
BlackBerry1.8億人(普及率約75%) - Facebookユーザー数約4,000万人
インドに続く世界第3位。 - Twitterユーザー数第3位
- インターネットユーザー数約5,500万人
- モバイルインターネットユーザー数約3,100万人。
SIMフリーなのでキャリアもユーザー数を正確に把握していない。キャリアのビジネスとSIMのビジネスが分離されている。 - 90%がプリペイド払い。現金払いが好き。
- クレジットカード発行数約1,424万枚(ただし半分も使われていない)
- インターネット普及率は低いが、逆に言えばこれから伸びるということ
- ネット接続元はネットカフェ65%、モバイル48%、家庭19% 。
土日にPVがかなり落ち込むサイトもある。ただし、インターネットカフェはまともなブラウジングができない(ウイルスが流行ってパソコンがどんどんだめになったから。MMORPGとか、一部のサイトしか見れない)。通信が弱いのでシンプルなZyngaポーカーとかが人気。 - スマートフォン普及状況
BB400〜700万台、Android100万台(ほとんどサムスン。安い。)、iPhone20万台
SIMフリーなので正確な数はわからない。
みんなコミュニケーションが大好き。ブラックベリーが人気なのは、プリインストールされているメッセンジャー(テキストだけのLINEみたいな感じ)が喜ばれたから。ブラックベリーについているステータス(Skypeのムードメッセージみたいなもの)を頻繁にみんな変えて、変えるとみんなから返信がくる。iPhoneアプリでは、最近LINEがずっと一位。
IT以外ではアイドルやドラマは韓国が人気。K-アイドル、K-POP。日本のマンガ(ナルトとか)は人気。
人気のITサービス
ポータルが人気。Eコマースなどは立ち上がり始めている状況。
- Yahoo.com
- Blogspot.com(blog)
- faceboook.com
- youtube.com
- google.com
- wordpress.com(blog)
- VIVAnews.com
- kasukus.us
- 4shared.com(ファイルシェア)
- detik.com
2010年まではPlasa.com, Tokobagus.comが人気だった。2011年からTokopedia.com(C to C)が急成長。楽天による Rakuten Belanja Online(B to Cで割と高価格帯)などその後も増えている。タオバオの例もあるので今後も B to Cは伸びていくと思うが、心理的な障壁もあると思われる。今のところ売れているのはtokopedia.comなど低価格帯。日本における2000~2001年頃の雰囲気。売上は1000万円とかそういうレベル。
グルーポン系(Groupon disdus, Livingsocial, DealGoing)、食べログ系(Tasterous, toresto, goorme)、オンラインゲーム(LYTO, TOGE)、チェックインサービス(bouncity)、価格比較サイト、スマホゲーム、オンライン旅行サイトなど米国の類似サービスが多く立ち上がっている。多くがこの1年程度で立ち上がり、どの分野もまだ明確な勝ち組が出ていない。
【参考】
終わりに
以上です。
データ等に誤り等見つけた方は naoto@looops.net までご一報いただけますと幸いです。
【関連URL】
・【講演録】なぜ君は「インドネシア」を目指さないのか? (TechWave VANGUARD) in the looop 直人
http://media.looops.net/naoto/2012/04/04/indonesia/
・なぜ君は、Facebookユーザー数世界トップの「インドネシア」を目指さないのか? ー VANGUARD定例イベント 3月30日開催【増田(@maskin)真樹】 : TechWave
http://techwave.jp/archives/51736017.html