世界が注目!「ソーシャルTV」ワールドサミット2012レポート – DAY2【西村真里子】

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[読了時間:3分]

 前回に引き続きバスキュールの西村真里子さんが「SOCIAL TV world summit」のレポートを送ってきてくれました。なかなか読み応えのあるレポートになっています。西村さん、ありがとう。(湯川鶴章)

世界中のテレビ関係者、テクノロジースタートアップが注目する「ソーシャルTV」ワールドサミット SOCIAL TV WORLD SUMMIT レポートDAY2をお届けします。MTVやBBC、そしてテレビ連動アプリ専門チームであるTV App Agency (http://www.tvappagency.com/)の登壇など、楽しみにしていた最終日セッションです。当レポートではサミット2日目に飛び出た名言集と各企業の取組みを中心にまとめます。

 

「マーケティングのルネッサンス期」

Consumer Electronics Association(CEA: 全米家電協会)の産業アナリストのSteve Koeningはテレビ視聴のスタイルが変革している今、広告主やテレビ局、アプリ提供側も既存のメディア/広告枠/プラットフォームにとらわれる事なく新しい取組みを開始していることを称し「マーケティングのルネッサンス期にはいった」とコメント。ここ数年の市場の変化、ダイナミズムを肌で感じているので、そのコメントに思わず鳥肌がたちました。

ルネッサンス期に入っている事を象徴する現象が世界で起きています。まずはその裏付けの市場動向を紹介します。


①テレビ視聴が変わってきている!

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・2015年迄に世界中でスマートフォン/タブレットユーザー数増加が見込まれる。特にタブレットのアジアでの伸びが期待される。

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・そしてテレビを見ながらスマートフォンやタブレットを利用する「ダブルスクリーン”ながら”視聴」でソーシャルメディアの活用が増えています。その中で:
・テレビ番組/CM視聴中にe-mailをチェックする人は60%、
・テレビ番組/CM視聴中のソーシャルメディア活用する人も42%います。

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・面白いのはダブルスクリーンが定着すると友人と視聴するのが楽しくなり、テレビ視聴時間が増加しています。また、ライブ/生放送を楽しむ人が増えています。(図ではソーシャルメディアからの情報によりテレビを視聴した人が15%強、その後番組を見続けた人が30%強存在することも紹介されています)

私自身もスマートフォン/タブレット上でSNSを見ている時に友人が生放送のテレビ番組についてコメントしていると、気になってテレビを見て、その後コミュニケーションをとりながら視聴した経験があり、生放送がソーシャルメディア活用により、より楽しくなるのは実感していたので、それを裏付けするデータを目にし、世界中で同じ現象が起こっていることが確認できました 。日本だけではなく世界でもTwitterの人気ランキングはテレビ番組ネタが多いようです。
 
②広告のあり方も変わる!

 Informa Telecoms & MediaのシニアアナリストTed Hallは「ソーシャルTV」により広告主と視聴者/消費者の距離が縮まり、スマートフォン/タブレット経由の広告により収益増加が見込まれると分析します。

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・「ソーシャルTV」がもたらす効果として、いままで知らなかった番組をソーシャルメディア経由で発掘しやすくなり結果としてテレビ視聴の機会が増え、また視聴者とのエンゲージメントも加速される。また広告主やサービスプロバイダーが視聴者/消費者へのロイヤリティーが高められる。
スマートフォン/タブレットなどのセカンドスクリーン経由の収益が見込まれる。

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・テレビCM、番組内広告と同期した広告をセカンドスクリーン上で提供するために、テレビ放送とセカンドスクリーン向けアプリケーション開発者の多様な形での協業に可能性を感じている。Shazam、zeebox、TV checkは注目のアプリ/サービスとしてサミットを通じて何回もトピックに上がっておりました。

 AKQAのクリエイティブディレクターのAndy Hoodはハイネケン向けに開発した「STAR PLAYER」を例に広告主の動向が変化していることを紹介してくれました。「STAR PLAYER」は欧州サッカーをテレビの前で観戦する際に利用するアプリなのですが、ハイネケンが「STAR PLAYER」に予算を投下した理由は、アプリを介してサッカーファンと継続的にコミュニケーションが取れる事を魅力に感じているからだそうです。彼らはこのアプリの価値が出てくるのは2年後3年後、もしくは5年後かもしれないが、それぐらい時間をかけて消費者とコミュニケーションをしていきたいと考えています。既存のスタジアム内バナー広告や一過性のテレビCMではないアプリ経由のコミュニケーションが生まれています。

 日本でもテレビCMを作れる企業は限られていますが、
・広告予算はアプリ予算にシフトしている
・広告主から直接お金をもらいアプリ開発し、広告主と消費者をダイレクトに結びつくお手伝いをするような仕事が増えて来ている
という点が多くの企業にとって勇気を与えてくれそうです。

「テレビこそソーシャルである」

 家族が集まってお茶の間でテレビを見て楽しむ、テレビに向かってつっこみやコメントをする — 実はいままでもテレビはソーシャルだったのですが、ダブルスクリーン視聴が定着すると遠隔地の友達とも会話ができるので、より人と人とのつながりが加速します。フランスの通信会社であるOrangeのPtrice SlupowskiはTVCheck (http://tvcheck.com/uk/ )というテレビチェックインのアプリを作った背景を「英国ロイヤルウェディングを見ながら母親が2時間も電話で妹と話していたんだ。興味あるコンテンツだと友達/家族と視聴するとより楽しくなるので、それを視覚化するアプリを作りたかった」と説明します。

「コンテンツは王様」(CONTENTS IS KING)

 さて、テレビとスマートフォン/タブレット & ソーシャルメディアの相性が良いことは紹介しましたが、どのようなコンテンツだとより「ソーシャルTV」の価値を最大化するのでしょうか?MTVのMichel DuPontは「CONTENTS IS KING」をキーワードとし、良いコンテンツであればテレビ、スマートフォン、タブレットなどのデバイスを越えて人から人へと伝わると述べます。毎年開催されるMTVビデオ・アワードはまさに良いコンテンツで、アワード生放送視聴中のTwitter活用は「ソーシャルTV」の成功例として紹介されます。

BBCのシニアテクノロジスト Jerry Kramskoyは、「ソーシャルTV」のインタラクティブ体験としてどのようなモノがあるか?以下のようにカテゴリー分けして紹介くれました。
1)2nd screen(セカンドスクリーン活用)
2)TV-aware topics(TV向けトピック)
3)Dual screen game(TV&セカンドスクリーン活用ゲーム)
4) Dual-screen with feedback(TV&セカンドスクリーンフィードバック)
5) Auto-Share(自動シェア)
6) Auto-consume via social network(ソーシャルネットワーク経由の自動消費)
7) Auto-Consume via Web(Web経由の自動消費)
8) Education explored via companion and slave TV(教育コンテンツ)
9) TV-aware Web(TVメタデータとデバイス認知技術によるTV情報のWeb共有)
 
 将来的にインターネットとのよりシームレスな連携を可能にするためにテレビAPIを開発しているなど、とても気になるBBCの取組みを共有してくれました。その将来計画も見越した上で、現時点でダブルスクリーンに最適なコンテンツとして「クイズ番組」にフォーカスしているようです。
今年の秋にユーザー参加型クイズ番組をつくるべくテストを開始しているようなのですが、いかにお茶の間の視聴者を、あたかもスタジオに居るかのような臨場感体験してもらうかがキーである、と紹介していました。

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・クイズ番組の視聴者が「どの答えを選べばいいかしら?」
「答えが出るまでのドキドキ感」「正解発表」の3段階をスタジオのタレントさんと同様に味わえるエモーショナルな仕組みが重要

スマートTVをうまく活用せよ!

 いままでコンテンツや広告などのソフトウェアの話を中心に紹介して来ましたが、ハードウェア側のアプローチも忘れてはいけません。世界の家電メーカーがインターネットに接続された、画像認識カメラ・音声認識マイクを内臓したテレビを「スマートTV」として提供しています。「スマートTV」を活用した取組みをTV App AgencyのディレクターAndy Erdleyが紹介してくれました。

 サムソンのES8000を活用し、スマートフォン/タブレットからテレビを操作するデモを行ったのですが、テレビ上のメニューと同様のメニューが手元のアプリで操作できるので、より直感的なUI/UXで見たい番組に切替できました。確かに既存のボタンたくさんあるリモコンでは自分の行き着きたいメニューまで何回もボタンをクリックしたり複雑な操作が必要でしたが、番組内容にあわせて手元にアプリメニューも変更できるので、とても操作がカンタンでした。

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スペインのサッカーリーグの自分が見たい試合をスマホ使ってコントロール。サッカーの過去アーカイブは番組が膨大にあるので、直感的に探せるのは魅力であると、TV App AgencyのAndyは述べます。

「ソーシャルTV」が次世代カルチャーを支援する

2日間の濃厚なサミット経験を経て、新しいアイディア、欧州を中心とした世界の「ソーシャルTV」のうねりを感じ、この流れは日本にもガッツリやってくると思います。もっと深く知りたいと思うのはモバイルキャリアの取組み。Orange, VodafoneやAT&TもソーシャルTVではキープレイヤーになると思うのですが、その取組みは今回聞けませんでした。また、何回か話題にはあがっていたBluefinやRentrak, TRA(The Right Audience)などのソーシャル視聴の調査会社の話ももっと深堀する必要があると考えます。DAY1レポートでも書きましたが日本でも同様のイベントを実施して意見を共有したいと考えます。
 祖父は、戦後テレビが出始めた頃にすぐにテレビを購入し、地域のみんなを呼んでプロレスや野球などをみんなで楽しんだとかつて教えてくれました。「ソーシャルTV」が広がれば、場所を問わず国を越え、みんなでコンテンツが楽しめます。その新しい娯楽の中に、企業がいかにユーザーに嫌われない広告を出して行くのか?ルネッサンス期のマーケティング手法、いままでにない広告を作れる素晴らしいチャンスに恵まれた時代の幕開けです!


著者プロフィール:西村真里子

 最高峰のクリエイティブ & コミュニケーション企画力を武器にソーシャル & スマートフォンのアプリケーションやサービスリリースにチャレンジする「バスキュール号」の一員。IBM、Adobe、Grouponを経て現職。テクノロジーと マーケティングとお酒に強い。 バスキュール号: http://www.bascule-go.com/ バスキュール号のTV連動事例のひとつ、mixi Xmas 2011 テレビCMの取組みはこちらから確認いただけます。
ツイッターアカウントは@mariroom

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