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Spoon Interview vol.01 「ネットがあったから今の僕がいる」子どもが教えてくれたこと~ITでみんなが輝く世界を
FacebookにTwitter、mixiにLINEと、人と人とを間接的につなぐツールが沢山出てきました。10年前と比較して、閉塞感が蔓延する社会に明光を差し込んだように思えます。しかし、まだまだ社会とその中に生きる私達のライフスタイルは変わってないのではないでしょうか。きっとみんな、SNSで楽しい世界を期待しつつ、“本当にこれでいいの?” と感じているはず。そんな中、自分をみつめ、自分らしいライフスタイルを追求するウェブマガジン「spoon」が創刊されました。その第一号としてインタビューを受けましたので、手前味噌ではありますが、紹介させて頂きます。
浅い人生経験ですが、時にはトンがり、時には挫折し、大切なものを沢山失い打ちひしがれながら、IT&ネットを通じて心がつながり助けられてきたのが今の僕です。だから全ての “前に進もうとしている人” を全力で支援したい。拙著でもスポットライトの話をしたことがありますが、その中でも最も弱い立場の人に焦点を当ることで、きっと未来は変わるのだと信じています。子どもたちこそ未来そのものです。これを読んで共感してくれている皆さんはもちろん、ITを軸に関わってくれた全ての人にこれをおくります。
子どもは生活のすべて。仕事の仕方も考え方も、すべては子どもがベースになっている
「普段、家族が団欒するそばで『キーッ』ってなりながら仕事をしているので、たまに息子と一緒に東京へ行って『マスキンさん』って声をかけられたりすると、『父ちゃん、都内では生き生きしてるんだね』なんて言われるんですよ。外で誰かに会うと、家ではああだけど、僕が発信していることはちゃんと世間に伝わってるんだよって、やっと言える(笑)」
そう話してくれたのは、maskin(マスキン)の愛称で親しまれている増田真樹さん。
kobo Touch (ブラック) |
増田さんが副編集長を務めるTechWaveは「時代にそぐわない古い体質、体制を変えたい」という思いに共感する人が集まるメディアだ。「ITと言えば東京」、そんなイメージもあるが、増田さんが都内へ行くのは週に1、2回。それ以外は栃木のご自宅で主夫をしながら仕事をしている。
「息子が生まれてすぐ、妻が倒れて入院。帰国後で新しいプロジェクトに参加していたんですけど、スタートアップなので集中できないから退社することに。でも、入院費や生活費は払わなければならない…。どうにか頑張ろうとしたんだけど、満足に睡眠もとれない生活が続いて、このままでは死ぬと思い、息子が1歳のとき栃木の実家に引っ越したんです」
息子さんが幼い頃は、彼を背負いながら栃木と東京を往復しながら仕事をした時期も。
「最近は夜まで仕事したりイベントを開催できるようになったけど、昔は子どもを見てくれる人もいなくて、遅くても19時までには帰らないといけなかった。飲み会で人脈づくりもできないし、オンラインだけの中身勝負。やらざるを得ないという覚悟ができますよね。でも、既得権者が優遇され、弱者が割をくう社会なのは事実。これは、身を張ってでも変えたいと思います」
そんな増田さんにとって子どもとは?
「生活のすべてですね。子どもがいて、その上に生活、仕事がある。でも、僕にとっては自然なこと。子どもたちがいればどこでも生きていけるんじゃないかな」
中にはデュプロ、おむつなど、2歳になるお子さんの物がズラリ。いつもはPCも入れているが、ご自身の必需品はないと言う。「昔、車や高級ペンを買ってみたこともあるけど、全然満たされなかった。自分だけが満足というのは、僕にはあまり気持ちいいことではなかったんです」
「身近な人と密接的に生きることで、人をすごく大切にできるし、大切にしたい気持ちが増える」
栃木に戻ってからも、奥さんの入退院、自身の重病発覚、2年間の休養など、様々な出来事があった。しかし、そのような道を歩んだからこそ、見えたことがあると増田さんは言う。
「家族中心で、付き合いがあるのは近所の人や保育園の先生、幼馴染だけ、という毎日が何年も続いていますが、普通だったら飽きると思われる世界が、全然飽きないんですよね。それが『幸せ』だと僕は思っています。家族がいて、近所の人がいて、仕事の盟友がいて、自分の記事やイベントに共感してくれるファンがいて。こうした狭い生活圏の中で密接的に生きることで、人がよく見えるようになりました。身近な人をすごく大切にできるし、大切にしたいという気持ちが増える。その源泉はやっぱり子どもですね。何のために生きるのかって考えたときに、地位やお金だけがあっても意味がないんです」
また、こうした生活を通して、ソーシャルグラフといわれる人間関係についても疑問を投げかける。
「ソーシャルメディアが普及して、WEB上でのつながりを求める人が増えているけど、家族とも密じゃないし、隣人に挨拶もしないような生活の中でソーシャルグラフと言われても違和感はありますよね。アメリカのブームに乗っているだけで、本質的なところがずれてる気はします。僕は共感した人とのみ関係を増やしていくだけですが、すごく幸せです。いいつながりだけがあって。
子どもたちに何が残せるかを考えたときにも、僕はやはり人とのいいつながりしか残せないと思うんです。物は風化するし、話題もすぐに消えてしまうものだから」
「未来の子どもたちのために、ITを活用し、個々の長所にスポットライトが当る世界を」
来る7月、浅草の花やしきで増田さん主催の「花テック 人×テクノロジー祭 2012」が開催される。IT業界の活性化を軸に、今までにないお祭りを実現。
「子供向けにキッザニアのIT版も計画しているんです。絵を描いたりプログラミングしたり、つくったアプリをストアにのせて売上額を提示したり、かなりリアルな職業体験を考えています。情報を得るだけではなく、楽しみながら体験して、アプリの可能性を体感してもらえたら嬉しいですね」 また、ITにおける日本の存在感をあげたいという想いから、海外からもゲストを呼べるよう、外国人にも人気の高い浅草を選んだ。
「ITは、みんなが何かを実践、実現するために支援する機能。でも、アメリカと比べると日本はまだまだうまく使いこなせていない気がする。資質を持っている人が、日本のどこにいてもITを活用して活躍できるような環境がつくれたらいいですね」
そのような想いの根底には、やはり子どもの存在があると言う。
「子どもを軸にして考えると、すべて未来につながるんです。彼らが大人になった時、意欲を持ってチャレンジできる土壌をつくっていきたい。日本をどうにかするという具体的な考えはないですけど、声が大きい人だけが目立つのではなく、それぞれのいいところにスポットライトが当たるような世界を創りたいとは思いますね。何かのために何かをやる人が注目されるたり、自分たちの暮らしのために何かをするという世界」
自分の育った地で主夫のように子育てをし、一家の主として仕事をする。最近は、家のどこで娘さんに捕まっても困らないよう、キッチン、浴室、寝室…と、家中にPCを置いているそう。それが、増田さんの生活であり、生き方だ。
今日も増田さんはお子さんと戯れ、そしてお喋りをしながら、世に情報を発信しているに違いない。ITを活用して、少しでも多くの人が自分らしい生活を送れるように
仕事では自然界の体系も意識。「アプリ博は特に意識しましたね。自然界にはルールがあるので、この木とこの木は絶対一緒に生えない、じゃあこの木とこの木ではどうなるか、というように、多面的な関係を考えて、盛り上がるよう配置や順路を細かく設計します」
取材・文/タカノマイ 撮影/吉田 貴洋
【関連URL】
・Interview vol.01 「ネットがあったから今の僕がいる」子どもが教えてくれたこと~ITでみんなが輝く世界を
http://spoon-magazine.net/interview/interview01/index.html
2012年6月21日夏至にリリースした”自分と暮らしを見つめるWEBマガジン”spoon。
日常的に繰り返される呼吸であるとか、食べること、着ること、寝ること、話すこと、歩くこと。
このような暮らしの基本をみんなで考えていきたい。
日常を丁寧に送るひとたち、暮らしを彩るものたちを通じて、
ひとりひとりが自分と暮らしを見つめられるようになることを願っています。
[spoon-magazine.net]