疑似フルダイブ体験、自分の分身としてVR空間に入れる「EmbodyMe」を体験した

VR/AR

VRの世界におけるアバター同士の交流が浸透しつつありますが、Facebookのアイコンのように本人の写真でないと違和感を感じることがあります。目の前に立っている仮面の男は果たして自分の親友なのだろうか?結局は実態ではないのではという存在感の危うさに気づいてしまうのです。

ところがPaneo社が本日2017年3月24日に正式にリリースしたVRアプリ「EmbodyMe」は、利用者の顔写真からその人本人のアバターを作成することが可能です。身体3Dモデルは予め用意されたものを使うのですが、鏡をみながら自分の顔をしたアバターの服装を選んだりしていると、いつの間にか違和感がなくなってしまうのです。


筆者のアイコンを使って作ってもらったアバター(ちょw)

当然これはアニメ「ソードアート・オンライン(SAO)」等で重要なモチーフとして扱われているフルダイブ型VR体験というわけではありません。フルダイブは人間の全感覚をVRの3次元空間の中に置いてしまうというもので、「シンギュラリティは近い」で有名なレイ・カーツワイル氏もフルダイブが実現できるのは2030年と予言していますし、技術的な課題はまだまだ残っています。

ただリアリティは少しずつ進化しています。十年前に世界で話題となった「SecondLife」のように自分のアバターが操作できるだけでも没入度は高まりましたし、VR用ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で一人称視点でその世界に入れば、誰でもフルダイブの可能性を直に感じることができるわけです。

EmbodyMeベータテスト時のデモ風景(2016/12/1)。はじめにPCのカメラで顔写真を撮影してからHDMを装着してダイブする。Oculus Touchでダーツやブロック遊びなどを他のアバターと楽しめる

そこで登場した「EmbodyMe」はアイディアベースのプロダクトといえます。アバターもスナップだけを見れば10年前のセカンドライフそのままです。ただ実際に体験すると技術だけではなく実在感があるかどうかということがフルダイブ的な感覚へと近づけるということを教えてくれます。アニメSAOでも物語のはじめに、ユーザーそれぞれの身体がアバターとイコールになるという出来事が発生しますが、それがあることで物語に深みが出る結果となりました。

アバター自身はセカンドライフ止まりで、スムーズに移動できるわけではありませんが、知り合いの顔がはめ込まれているとなぜか実体感がとても高くなるのです。一緒におもちゃで遊ぶと、相手の息づかいが聞こえてきそうな感覚が出てくるから不思議なものです。

このVRアプリ「EmbodyMe」は本日、SteamとOculus Storeで配信が開始されています。VR内の映像をシェアできる機能があり、公開されたものはまとめページでブラウズできます。

【関連URL】
・EmbodyMe
https://embodyme.com/
・Paneo株式会社
http://paneo.vision/ja/

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016あくまで体験ベースの話で、おそらく慣れたりすればその先へという感覚が生まれてくるのだろう。技術的にテレイグジスタンスのようなことは研究されている人も多いはず。「EmbodyMe」はPaneo社のファーストプロダクトとしてはコンセプチャルな部分に感心を持っていてこの体験が、VRのインパクトをどう咀嚼し発展させていくかを考えさせられた。あと、機材が一般に浸透したとしても、おそらくこれだけではスマホライブ配信と大きく差は出ないようにも思う。鍵は「実体の感覚」。Paneoはなにをどう考えているのか、じっくり話を聞いてみたい。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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