ロボットによる過酷な災害救助コンテストで入賞の「アイ・ロボティクス」、ドローン運用マネジメントシステム提供を目指し法人化 【@maskin】

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政府をあげてドローン産業発展に寄与しようとする日本。そんな中、内閣府・国交省・経産省が後援するコンテスト「Japan Innovation Challenge 2016」(実行委員会 事務局 株式会社トラストバンク)が2016年10月17日から21日にかけて北海道上士幌町で実施された。ドローンや産業ロボットなどを活用して課題「ロボットによる山での遭難救助」をどう解決するかが問われるというもの。

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コンテストはドローン関連法を遵守し安全面などに配慮した上で、制限時間内に決められたエリア内(東京ドーム60個分(300ha))で以下3つの課題のいずれかをクリアにすることが求められる。

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難易度の高さに応じて賞金が高額になっており。課題1「発見」ミッションでは、60分以内に遭難者のGPS情報(誤差は30m)つき写真を撮影できれば50万円。課題2「駆付」という無線機や簡易テント、毛布などを遭難者の3メートル以内に届けるミッションをクリアすれば500万円。課題3「救助」を成功させた場合の賞金は2000万円という。

ドローン(ロボット)は「有線操作はNG」ということ以外の制限は設けておらず、台数も自由。全てが自動運転でなければならないとうわけでもない。とにかく安全に早く、今、持ち寄れる機材とノウハウをフル投入して人命を救うというのがコンテストの骨子だ。

一筋縄ではいかない過酷なミッション

コンテストは13チームがノミネート。各チーム思い思いの方法で各ミッションに挑戦するも、なんと2日間、いずれのプログラムの達成者は現れない。

こちらは最も難易度が高い課題3「救助」にチャレンジするチーム。陸上駆動型のロボットで山中を捜索するが、途中で滑落してチャレンジを断念している。

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こちらは課題2「駆付」で、毛布や無線機、テントなどを送り出そうとするが、バランスを崩してしまう。

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ここで紹介する以外にドローンが行方不明になるなどのチームが続出。結果として10機が墜落し行方不明になってしまった。うまく操縦できたとしても、広大な敷地の中で遭難者を発見する方法を見出すことができないケースが後を絶たなかったという。

ドローン運用のベテランが集結したチームの力

切り口を見出したのは、ドローン運用のベテラン勢が集結した「iRobotics(アイ・ロボティクス)」チーム。

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自動運転のドローン(DJI Phantom4)と手動運転のカメラ付きドローン(M600FPV)、そして赤外線カメラを搭載したドローン(INSPIRE1)という3台構成。まず挑戦したのは課題1「発見」ミッション。日照が十分にあるため赤外線カメラは使わない決断。自動運転で当たりをつけ、手動運転ドローン(M600)で正確な位置と映像を取得するという。

結果として見事発見に成功。コンテストで初めて入賞したチームとなった。以下が最終確認で撮影した遭難者(マネキン)の映像(チームメンバーのブログ「Japan Innovation Challenge 2016 入賞いたしました」より)。

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その後、iRoboticsチームは「駆付」にも挑戦し、再び遭難者の発見に成功するものの、資材を遭難者の手元に届けることができず断念。課題は残りったものの、他のチームは課題1「発見」を達成したチームが現れた留まり、iRoboticsチームの実力が浮き彫りになった。

アイ・ロボティクスとは何者か?

このコンテストでは人命救助という課題をドローン(ロボット)でどう解決するか?というミッションがある。万能なマシンを投入するというよりは、あらゆる機材、あらゆるノウハウを投入してそれをうまくマネジメントして成果を出すか、いわば運用能力を競うものだ。とくに今回のコンテストでは、天候や風を見ながら、機体をチョイスし組み合わせて適切な航路や運行方法を見出すかという部分が勝敗の肝となった。

では、課題を着実にクリアしていったiRoboticsチームとは何者か。

まずリーダーの安藤嘉康氏は、映像分野でドローンの活用を提唱する第一人者。インダストリアル・ロボティクス勉強会を主催するなど、この取り組みのプロデューサー的存在だ。

小関賢次 氏はNTTデータグループ航空路管制システム開発部門出身で、APTJ(ドローンオープンソースソフトウェアコミュニティ aptj.jp)の代表。

野口克也 氏は、ドローンを活用した航空撮影の第一人者。ヘリコプターのライセンスも持ちドローン・実機を問わず日本国内を空撮で網羅(代表作「空から日本を見てみよう」)。ヘキサメディア代表取締役。

古宇田卓 氏は、一級建築士・都市計画家。東京オペラシティやソニー大崎本社、二子玉川ノースウェストの設計・改修設計等の実績がある。

これらドローンのプロの集団がiRoboticsであり、そこに企業成長のプロである齋藤和紀 氏(デル、ダウ・ケミカル、Kiiなど)やブロックチェーン開発の茂木健一氏らが参画する。彼らはこのコンテスト参加後の2016年11月、「株式会社アイ・ロボティクス」として安藤嘉康 氏を代表取締役として法人として活動をスタートしている。

「アイ・ロボティクス」のミッションは自律航行のノウハウを資産としてドローン・フライトマネジメントシステムとして提供すること。今回のコンテスト参加も、あらゆる航行にチャレンジすることで得られたフィードバックを元に、システムの精度を向上させる狙いがある。いわばドローン運用の総合力を企業の知見として蓄積しているフェーズだ。

【関連URL】
ジャパン・イノベーション・チャレンジ2016入賞のご報告  | iRobotics
・iRobotics
http://irobotics.jp/
・Japan Innovation Challenge 2016
https://www.innovation-challenge.jp/

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016 安倍首相が未来投資会議にて公共工事へのドローン投入を公約するなどの動きがあるものの、周りを見渡せばドローンは中国製、運用方法も個人の力量まかせ、自動運転ソフトウェアもまだまだこれからという状態。今回のコンテストをみればわかる通り、ハードやソフト、それぞれがばらばらの動きをしても、必要な課題解決には至らない。だからこそのミッション解決プロ集団の存在が際立つのだろう。これはドローンに限りらず、あらゆる領域で必要なチームのあり方のようにも思える。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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