なぜ「J!NS MEME(ミーム)」は生まれたか、J!NS社長 田中仁氏の本「振り切る勇気」で明らかに 【@maskin】

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[読了時間: 2分]

 TechWave/Softonic編集チョのmaskinこと増田です。私はご存知メガネキャラなわけですが、みなさんが思っている以上に眼鏡のことを日々考えている次第です。

 昨今、ウェアラブル眼鏡が再注目されていますが、どうもメガネキャラ人間としてあの顔にフィットしてない造形と機能的ギャップが受け入れがたいものであるわけです。そんな最中、日経BPさんからある本をご献本頂きました。

 その本とはズバリ、あのJ!NSの社長 田中仁 氏の「振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦」です。

 もちろんJ!NSの眼鏡は数本持ってますし1ファンでもあるのですが、その辺は差し引いた上でこの本は、全ての起業家、いやビジネスマン、ひいては社会人、日本人に読んでほしいと思っています。

 さて、この本にはどんな見所があるかというと、ずばり「リアリティ」です。

 よくある成功者の伝記のように「優秀で、伝説があり、有名学術期間や企業にコネがあり、才能を買われ」という王道で、現実離れした内容がほとんどありません。

 起業してうまくいかなくて借金して、偶然から大当りして遊び回るも失敗という喜劇のような物語り。しかし、田中氏は、挫折をくり返す中で覚悟を得てゆきます。その妙こそがこの書籍の、いやJ!NSのおもしろい部分なのだと思います。リスクを取るとかいうカッコイイことが先行しているのではなく、田中氏の発想は閉鎖社会への反旗。パンクロッカーみたいなんんだと感じるんです。

「お前は乞食か」

 田中社長は、新卒で北関東・群馬県の信金に就職ました。大晦日に「数字が足りない」ということで外へ預金を取りにいくという号令が上司から出たんだそうです。それでは田中氏はある地域の名士の門を叩くのですが、その人に「大晦日に金をせびりにくるなんて、お前は乞食か」といわれ、情けなくて涙が出たそうです。

 このようなエピソードを聞いて、おそらく殆どの人が「命令が出た以上、何をいわれようとそれをクリアするのが大前提」と思うでしょう。うしろめたいと思いつつ、やってしまうの意外と簡単です、自分を消してしまえばいいのですから。ここで田中氏は、自分が納得してがんばることができる仕事がしたいと起業を決めるのです。

 J!NS(田中さんの名前「仁」のアルファベット)の物語りはここから始まります。

 その後も金策に苦心し、親に頼むも断られたり、役員が車を売って資本金にしてくれるなど多くの人に支えられいくのですが、その中でいつかの大きな成果を得ることができたのが、到底勉強好きとはいえなかった学生時代の友人が志望校を県内トップに掲げフルスイングの末合格するということから影響を受けたことによるものでした。

顧客目線でフルスイングする玉を見極める

 田中氏のフルスイングは、有名コンサル出身の人などが、マクロ目線で「この領域だ」とリスクを取るのとは性質が異なりました。

 よくあるリスクテイキング論のように全くみえないところに闇雲に投球するのではなく「日本人の眼鏡利用者でこういうところで困っている人がいたら、こう改善することで、こういった商品があればありがたがれるだろう」と徹底的に購入体験を描きながらチャンスをつかむんです。しかも、田中氏は、業界で反対されようと、非常識だろうと、喜ぶ人がいれば全力で投球するんです。

 もちろん競合もいれば、落胆するような事件も発生するのですが、日々の気づきの中で、田中氏は「店頭における顧客の目線こそ大切にすべきポイント」と思うようになります。

 商品を手にするまでのフロー、かけやすさやデザイン、軽量さなどなど、購入しやすい価格のみならず品質の高さや科学的根拠までをも見方につけてゆきます。

 その中で誕生する大ヒット商品「J!NS PC」、そして流行に先駆けて開発が進められたウェアラブル眼鏡「J!INS MEME」が東北大学加齢医学研究所 川島隆太 先生とのコラボで誕生しました。「脳トレ」で著名なあの方です。

 世界のITアーリーアダプタに評価されるGoogle Glassは、Google社の技術や理念と連携した魅力的なデバイスではありますが、眼鏡を着用する立場からすれば、誰もが着用でき、かつデザインに優れているとは到底思えません。機能的仕様を全面に押し出しているのはいいのですが、それが着用者のほしがるものかというとそうではありません。あれがカメラでスキャンされていると知ったら、多くの人が前に立つのを避けるでしょう。

 J!NSの「MEME」は、川島先生とのブレインストーミングから生まれたプロダクトでした。あくまで眼鏡着用者のプラスとなるものというプロットで開発を続けていったため、当然ながらあくまで眼鏡の体を成しています。そしてその機能もJ!NSの理念に叶うものとなっていきました。

 詳細は本書を読みんでもらえればと思いますが、田中氏がこうして突き抜けられたのは眼鏡を着用する人の目線で考え詰めていったビジョンがあるからだと思います。ふりかえってみれば、日本から世界に突き抜けていった企業はこうしたビジョンが明確だったと思います。現在、そしてこれからのJ!NSの未来に期待しつつ、あっさりとした書評を書かせて頂きました。

【関連URL】
・振り切る勇気 メガネを変えるJINSの挑戦 | Amazon.co.jp
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822250199/


蛇足:僕はこう思ったッス
maskin2011009rev.fw 同じ北関東出身だからということ以上に、田中社長の視点や考えに共感を覚えることがとても多かった。大きく成長するには「強いビジョン」が必要だということ、世界におけるプレゼンスが著しく低下していることなどなど。田中氏は現在、起業家育成のためのプログラムを地元・群馬県でスタートしているとのこと。僕がスタートしている隣県栃木での取り組みでも多いに参考にさせてもらおうと思う。ともかく、J!NSは、日本における既成概念をうちやぶり、経済復興の力を全ての日本人に与えてくれるロールケースとなると思うし、そう信じたいと思う。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭から国内外のソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、ネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。直近では通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のIT系メディアであるスペインの「Softonic」に参加後、2016年からTechWave第三章として新興メディアの開発を再スタート。国内最大規模のスタートアップ&B2Bイベント「アプリ博」のオーガナイザー。
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