家入一真 大地に立つ! CAMPFIRE 復活から新展開までの一年間 @maskin

CrowdFunding

2011年、日本初の本格的なクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」に被災地支援などのプロジェクトが続々立ち上がり資金が集まる中、共同創業者である家入一真氏は何ともいえない満足感を感じてました。なぜなら彼は「インターネットならお金にならなくても誰かの役に立てる」とその可能性を信じていたからです。

家入氏はロリポップなどのインターネットサービスを提供するpaperboy&co.の創業者。2008年12月にジャスダックに上場後、2010年に代表を退任し飲食業などを展開後、2011年に「CAMPFIRE」運営元を創業。2012年にECプラットフォームBASEを創業、2014年の東京都知事選出馬などで運営から離れた後、2016年2月再び「CAMPFIRE」の代表としてサービス運営の舵を取ったのです。その理由はそうした支援の気持ちにあるといいます。




きっかけは都知事選

「2014年に東京都知事選に出馬した後、何をしていいかわからなくなっちゃって。燃え尽きてしまったんですかね。

当時、僕は社会に窮屈さを感じる人のための居場所を作りたいと「リバ邸」というシェアハウスを運営していました。これは今でもあるんですが、じゃあ、政治側からこういう居場所を作るということはどう見えるんだろう、といったことを思って出馬したんですね。あとは、選挙活動にインターネットはどれだけ活用できるんだろうってことに挑戦してみたかった。今振り返ればもっといろいろできたなとは感じますが、政治活動をソーシャルメディアでアップデートしたり、数ヶ月は色々な人にあったりとやってみるんですが、なんか、違う感じがしちゃったんですね。結局は16候補のうち5位で落選。それからはずっと本ばっかり読んでましたね」(家入氏)。

CAMPFIRE復帰の契機となったのは選挙活動で「課題」が見つかったからと家入氏はいいます。

「日本で生きづらさを抱えている、声があげられない人がいる。それをネットサービスを通じて支援していくのは自分らしいなと思ったんです。ビジネス開発というかネットサービスを民間として自分の手でやりたい。それでCAMPFIRE一本に絞っていこうと決めたんです」。

CAMPFIREそして家入一真の復活

CAMPFIREは、家入氏と元アエリアの石田光平氏、そしてEastVentures 松山大河氏がファウンダーとしてスタートして創業したプロジェクト。2011年の創業後、家入氏は取締役として関わるもののBASE社などの立ち上げや都知事選出馬などに集中しており手がかけられない状態になり、その間、サービスは伸び悩んでいる状態だったといいます。

「実際に復活してみてつくづく感じたのは、自分はサービス作りに向いてるんじゃないかなということと、これまで紆余曲折いろいろなことをやってきましたが、そこでの経験すべてがCAMPFIREというプラットフォームに落とし込める場所だってことに気がついたんです。かつてはまっていた飲食業で知り合った人から開店資金をクラウドファンディングで集められないかなといった相談に始まり、都知事選を通じて出会った政治家との取り組み、行政やNPOなどとの取り組みも適用できる。実際に、こういったことができないかな?という相談はとてもたくさん寄せられている状態なんですね。

paperboy&co.を退任してから、シェアハウスやカフェ運営、創業支援、BASEを筆頭とするいくつかの会社の創業など根無し草のようにふらふらといろいろなことをやってきましたが、ようやくそれらを通じて蒔いた種がCAMPFIREに集まってくるというか、このプラットフォームでできることが多く今の自分にはフィットしているなとつくづく思うんです」。

「小さな火を灯しつづける」

CAMPFIREのサービスを開始して5年超、今でこそクラウドファンディングの認知は高まっている状態にあるといえますが家入氏は「クラウドファンディングの本質を定義しなおさないといけないと感じる」と言います。

「クラウドファンディングでニュースになるのは、大きな金額が集まったとか、有名な人がプロデュースしたとか、そういうもの
が多くなっちゃうじゃないですか。私たちもキングコング西野亮廣さんのプロジェクトや別府市の遊べる温泉都市構想「湯〜園地」などそうした事例を積極的に扱っていますし、これはこれで価値があると思うのですが、一般の人が5万円を集めるようなことに目を向けてなかったと思うんです。

実際、CAMPFIREも僕が復活した時点では、小さな金額や個人というものはお断りしてきました。ほかのクラウドファンディングサービスもそうだと思うんです。けれども、それってインターネットサービスじゃないじゃん?て感じるんです。

インターネットの本質って名もない、力もない、お金がない人が声をあげられる場所だったはず。私たちがインターネットに触れ始めた1990年代の初期はパソコンやらモデムやらを揃えた一部の人しか使えませんでしたが、スマホで誰もがインターネットに接続できる時代に、一般の人の声を聞かないというのはどういうことか、これは政治に関わっていたことに感じたことに通じているとおもうのですが、サービスが権威的になっているんじゃないの?と感じたわけです。

それでメンバーときちんと話し合ったんです。5000万円のプロジェクトが入ってくるのはうれしいしありがたいけど、それよりも5万円のプロジェクトを1000個つくろうという姿勢になったんです。

もちろん、有名な人が新しいことをやろうとする小さな灯と、無名の人が新しいことをやろうとしている小さな灯は同等で、お金を持っているからとか有名だからとかで差が出るわけでもないと思うんです。何かをやりたいという気持ちは誰であっても同じだと思うんですよね。

僕はインターネットの何が好きかというと “農民に竹槍”みたいなところなんですね。学歴もないし、家も貧しかったし、そういう人間でも起業することができた。誰もが同じ状況にはならないかもしれませんが、僕はネットサービスを通じて社会とつながることができた。そのことを思い出して、CAMPFIREの上で再び夢中になることができているんです」(家入氏)

新体制の1年、スタッフは50人超・調達額2倍以上へ

家入氏が復活してから1年、スタッフは50人を突破。エンジニア10名、事業開発や企画、PR、地方担当、などで構成。さまざまな相談事に対応するのはもちろん、積極的に提案していくような体制を敷いているとのこと。「イメージとしてはインターネット黎明期のネットショップ立ち上げみたいなもの」と家入氏はいいます。

「僕はよくメンバーに共犯関係を結べというんです。プロジェクトに支援してもらうのではなく、むしろ共犯関係、お金を出したんだからあなたも当事者だよという言い方で巻き込んでいくスタイルをとっています」(家入氏)

そして、家入体制直後に手数料を5%まで下げたこともあり(2017年2月からは8%)、プロジェクトの支援金額はこれまでの4年間を上回る額まで成長することに成功します。

CAMPFIRE経済圏をつくる

現在CAMPFIREは取引総量拡大のため、月額課金や寄付モデルやSPA事業などをはじめ、さまざまな事業の展開の準備をすすめています。

「投げ銭が日本にフィットしたクラウドファンディングの形ではないかと言われることが多いのですが、アイドルとか自分を表出して演ずるような人たち向けだと思うんですね。一方で、花火工場が中国に押されて廃業寸前という人たちを救おうというケースに投げ銭をするかというと、そうではないなと。また、どうしてもそうした熱い思いは長文になりがちですが、今はなかなか文章が読まれない時代ですので、プロジェクトオーナーが支援者に直接呼びかけその場で課金できる「FIRESIDE」という動画配信サービスを、スマホ展開も視野に入れ進めようとしています」。(家入氏)

「個人がお金を集める手段としてクラウドファンディングは有効だと思うのですが、それで十分だとは思ってません」と考える家入氏は、こうした既存サービスからの拡充以外にも2017年1月に3億3000万円の資金調達したのを期にレンディング事業への参入を発表。2017年3月27日にはテックビューロと共同で仮想通貨取引所「FIREX(ファイヤーエックス)を立ち上げるなどお金の流れに関わる事業を立ち上げています。

これからのCAMPFIRE、そして家入一真氏はどこに向かうのでしょうか? 

【関連URL】
・CAMPFIRE
https://camp-fire.jp

蛇足:僕はこう思ったッス
maskin-bit-2016 おそらく15年ぶりくらいにじっくり話を伺った。率直な感想としては、サービスや事業を開発する本体の家入さんの姿に戻ったという印象。オフィスも15年超前の渋谷ビットバレーの雰囲気のように活気に満ちあふれていた。ついに家入さんの本領が発揮できる大地に立ち上がったという印象。家入さんの本「さよならインターネット」では、インターネットが閉じた構造になっていくことを予見している。いわゆる海外で大いに沸いたフィルターバブルが日本でも顕在化するという話。CAMPFIREもそういったクローズドな方向のサービスも考えているとのことだが、家入さんは「閉鎖的インターネットをどう扱うかは答えが出てない」という。自分たちが好きな情報しか見てないという人が固まる怖さがある一方で、話がなかなか伝わらず一方的に批判されたり炎上してしまう状況が続くのをみると、何らかの方法で「やさしいインターネット」が実現できないかな、その一つの方法が閉じたインターネットかもしれないという考えだ。以前、ソーシャルゲームのような閉じた空間で搾取することに疑問を感じていた彼だが、今も振り子のように考えを巡らせながら小さな声に耳を澄ましている。

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Editor In Chief at TechWave.jp
1990年代初頭からソフトからハードまで50以上のスタートアップ立ち上げを国内外で経験。平行して雑誌ライターとして疾走。シリコンバレーでガレージベンチャーに参画後は、国内でネットエイジを筆頭にスタートアップに多数関与。ブログやSNSの国内啓蒙、ソニーの社内イノベーション事業など関与。通信キャリアのニュースポータルの立ち上げ期の編集デスクとして数億PV事業に育てた後、TechWaveにジョイン。世界最大のグローバルIT系メディアであるスペインの「Softonic」の元日本編集長
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