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大手企業がロボット関連ベンチャーを買収し、世間でもロボットと触れ合える機会が増えた。しかしロボットが家庭の中にどのように入るかはまだまだイメージがつかない。そこで家族がつながる、もっとたのしくなる ロボット「BOCCO」を開発しているユカイ工学の青木俊介代表に、ハブチンが「人とロボットのカンケイ」についてお話を伺った。
人とロボットが会話する世界は訪れるのか。
ハブチン 正直なお話をさせていただくと、人型ロボットが10年後も家にいるとは思えないんです。
青 木 なるほど。それはどうでしてですか?
ハブチン まず人型ロボットがいたら、監視されているようでイヤです。
青 木 確かに。例えばロボットにカメラがついていたとして(例えカメラが作動してなくても)そんなロボットの前で恋人といちゃいちゃするのは、なんか見られている気がしてイヤですよね。
ハブチン 絶対にイヤですね。いちゃいちゃしている途中で会話に入られたら、ロボットをクローゼットに移動させたくなります(笑)
そもそもロボットと会話できたとしても、自分がロボットと会話している世界が想像できないです。たとえば朝、起きて人型ロボットに向かって「おはよう!」と話しかけるかというとたぶんやらないだろうなと。
青 木 人がロボットと会話を楽しむのは幻想に近いんだと思います。そもそも人と会話を楽しむことだって、難しいじゃないですか。知らない女性と2人で会話を盛り上げるなんて相当難しいことですよ。
ハブチン 確かにそれはかなり難しいですね(笑)
青 木 誰とでも会話が盛り上がるロボットなんてムリなんです。だから私たちが開発した「BOCCO」は、人とロボットではなく、人と人のコミュニケーションにロボットを介在させたんです。
「BOCCO」を使えば、親は子どもが帰ってきたことがわかったり、子どもに音声を送ることができたりします。子どもも親に「BOCCO」からメッセージを送ることができます。
ハブチン なるほど。「BOCCO」はロボットというかスマートフォンみたいですね。
スマートフォンの代わりとしてロボットが人の暮らしに入る。
青 木 家でみんな一緒にいるのに、それぞれがそれぞれのスマートフォンを見て会話していないって寂しいじゃないですか。
ハブチン わかります。元々、スマートフォンは人と人を繋げる役割だったはずなのに意外と人と人の関係を分断してしまっているかもしれません。
青 木 だから家族の会話が生まれることを願って「BOCCO」をつくりました。
ハブチン すごく共感します。実際にどういう会話が生まれているんですか?
青 木 私の家の場合、「アンパンマンがテレビでやってるよ」とか他愛もないメッセージを子供が送ってきます。あと夏休み中の留守番の時間が長い時は「冷蔵庫にカレーがあるよ」などの伝言とか。わざわざ電話するまでもないような気軽なメッセージをスマホで聞くことができて、ほっこりしています。
ハブチン それはほっこりですね。他愛もない会話が続いている家族っていいですね。今後は「BOCCO」をどのように展開していきたいですか?
青 木 はい、「BOCCO」を人と人だけでなく、人とモノもつなぐ役割に挑戦していきたいです。今後、家のスマート化が進み、何でもスマートフォンでコントロールできる時代になるでしょう。しかし家電や住宅設備がメーカーごとに違うと、それごとに端末やアプリが増えてしまいます。
ハブチン スマートハウスなのに全然スマートではなさそうですね(笑)
青 木 ある調査によると人がよく使うアプリの数は約8個といわれています。アプリの数が増えてしまうと、結果的に使われなくなってしまう可能性があります。将来的には「BOCCO」ひとつでコントロールできるようにしていきたいです。
ハブチン なるほど。これから「BOCCO」がスマートフォンの代わりになっていきそうですね。
青 木 はい、今後も人と暮らせるロボットのあり方を追求していきたいと思っています。
■家族をつなぐコミュニケーションロボット
http://bocco.me/
スマートフォンやタブレットは僕らの生活を確かに便利にしたけれど、本当に豊かになったかどうかは今回のインタビューで考えされられた。BOCCOのように生活ありきのプロダクト創りを意識していきたい。