年末商戦までにAppleがタブレット型のインターネット端末を発売するうわさを裏付けるような話が次々と出てきている。最新のは英ファイナンシャル・タイムズの記事。
iPod Touchのような機械なんだけど、画面が最大で10インチぐらいになるという。電話なし、無線LANあり。App Store利用可。ということらしい。大きめのiPod Touchじゃん。
大事なのは、このタブレットでiPod Touchとは異なるエクスペリエンスを提唱しようということ。
記事によると、このタブレット発売に併せて、音楽を1曲づつではなくアルバムとして販売するスキームも提供すべく音楽レーベルと交渉しているのだという。
タブレット型機器といえば、マイクロソフトがタブレットPCを長年手掛けているけど、今ひとつパッとしないんですけど・・・。Appleマジックで今度こそ成功させることができるのだろうか。
まあどのような用途を提案するかにかかっているのかもしれないとは思う。マイクロソトのタブレットPCは医療現場なんかでいいですよって感じで、仕事向けの機器という用途のイメージで売り出した。そしてパッとしなかった。
アマゾンのキンドルも、タッチスクリーンじゃないけど、まあタブレット機器。キンドルは米ユーザーの間で評判がいい。本を読むという用途のためにオンラインサービスまでを含めた一貫したエクスペリエンスをパッケージとして提供できたからなんだろうなあ。やっぱりハード、ソフト、オンラインサービスと別々に考えるのではなく、すべてをパッケージとして一貫したエクスペリエンス、ライフスタイルを提唱することが大事なんだろう。
で、Appleのタブレットは、主にエンタテーメントの用途でオンラインサービスまでパッケージするもよう。アルバムとして楽曲を楽しむエクスペリエンスをよみがえらせる、いや、それを超えるものを提供しようとしているらしい。アーティストの写真や歌詞をうまくパッケージして、音楽を聞きながら写真や歌詞を楽しめるものにしようということなんだろう。
記事の中では、エンタテーメント業界の関係者の話として「映画を見てもすごいんだぜ」的なコメントが引用されている。出版業界関係者も電子ブックリーダーとして期待をかけているという。アマゾンがキンドルで書籍の領域で一人勝ちする前に、「待った!」をかけようということなんだろう。
アーカイブ 7月 2009
昨日のエントリで、iPhoneのApp Storeの成功でgoogle、Microsoftだけではなくsoftbank連合もアプリ市場の覇権争いに加わったって話を書いたけど、そうした覇権争いも数年で意味がなくなるよ、ってGoogleの人が言っている。
BusinessWeekの記事によると、サンフランシスコで開催されたイベントでgoogleの人がモバイルの領域でも専用アプリではなくブラウザが主要プラットフォームになるという。
Google’s vice-president of engineering, Vic Gundotra, told a San
Francisco technology conference on July 16 that the Web, not
downloadable apps, is the future of smartphones. "Over the next several
years, the browser … will become the platform that matters," Gundotra
said during a panel discussion.
同じサービスを提供する上で、専用アプリを作るのとブラウザでアクセスできるウェブページとして提供するのではどう違うんだろう?
一ユーザーとしての使用感を言わせてもらえれば、専用アプリのほうが立ち上がりが早い気がするし、サクサク動く気がする。以下、同様に専用アプリの現時点での優位点を挙げる。
ブラウザは情報を表示するにはいいんだけど、それ以上の機能、例えば自動的にGPS機能を動作させるとか、お財布ケータイのFelicaチップを動かす、とかのことはできない(と思うんだけど、どうでしょうか、専門家の読者の皆さん。まあgoogleの人は、そういうこともいずれブラウザでできるようになる、と考えているのでしょうが)。
それにブラウザは電波のあるところでないとまったく利用できないけど、アプリは電波を必要する作業以外は、電波なくても利用できる(当たり前か)。例えば、僕はiPhone上のメモツールとして、アプリベースのevernoteとブラウザベースのgoogle notebookの両方を使っている。google notebookのほうが長年使っていて情報が蓄積されているので、できればgoogle notebookに一本化したいんだけど、google notebookは電波がないところでは開くこともできない。
次にブラウザの優位点。
iPhoneのアプリはiPhone専用に作ってあるのでいいんだけど、日本のケータイアプリは画面の半分くらいにしか表示されないことがある。これは機種によって画面の大きさが違うので、どの機種でも表示できるように最も小さい画面の機種か、最も広く普及している画面サイズに合わせて作ってある。これって結構イヤ。せっかく大きな画面のケータイを買ったんだから、画面いっぱいに表示してほしい。ブラウザでサービスを提供すると、この問題が解消される。どの機種で見たって画面いっぱいに情報を表示してくれる。
開発者にとっても、iPhone用、windows mobile用、android用、softbank率いるJoint Innovation Lab用と幾つも作るのは大変なんじゃないかなあ。ブラウザ用サイトも機種ごとに作らないといけないようだけど、アプリを幾つも作るよりは楽なのだと思う。googleの人はこの点を特に問題視していて、モバイルの領域でもいずれすべてのサービスはブラウザベースで提供されるようになる、と考えているようだ。
Googleってやっぱり戦いの場を、ハードやソフトではなく、広告やマーケティングの領域に持っていこうとしているように思えるなあ。
米誌BusinessWeekによると、ソフトバンク、米ベライゾン、中国のチャイナモバイル、欧州ボーダフォンで形成するJoint Innovation Labが秋にもスタートさせるケータイアプリのマーケットプレースのプレビューが、28日にシリコンバレーのサンノゼで開催されるカンファレンスで行われるという。
いよいよ動き出したな、ソフトバンク。
iPhoneの何がすごいって、その操作性、デザインもそうだけど、やはりApp Storeがすごい。最近の日本のケータイのCMで、楽器になります、電子ブックリーダーになりますってのを見かけるけど、App Storeで100円くらいでアプリを買えばiPhoneが楽器にも電子ブックリーダーにもなる。つまりApp Storeの6万5000個ともいわれるアプリのおかげで、携帯端末メーカーの開発スピードと比較にならないくらいのスピードでiPhoneは進化を続けるわけだ。
App Storeの成功で、App Storeのようなアプリのマーケットプレースを押さえた企業が世界のモバイル業界の覇者になる、という認識が広がっていて、googleもMicrosoftもモバイル機器用のアプリマーケットプレースに力を入れている。このままではモバイルの市場も米国のIT企業に牛耳られてしまうのは間違いない。
そうはさせじとソフトバンクが、中国、米国、欧州の大手キャリアに働きかけて作ったのが、Joint Innovation Lab。JILではアプリのプラットフォームが開発されているというだけで詳細は明かにされていなかったが、ようやく28日に詳細が明かになりそうだ。
BusinessWeekによると、JILのアプリマーケットプレースはアップルなどのマーケットプレースに比べて、レベニューシェアの契約が開発者に有利になっているという。また審査もスピーディーで、アプリの申請からマーケットプレースに並ぶまで、これまでのように何週間もかかることはなく、数日で発売できるという。
さて先行するアップルが逃げ切るのか。マイクロソフト、グーグル、ソフトバンク連合が追いつき、追い越すのか。
パソコンの世界と違って、ケータイの世界は通信キャリアが影響力を持つケースが多い。後発とはいえ世界の大手キャリアが連合を組んだJILだけに、まだまだ勝敗は分からないと思う。
追記 アプリ市場の現状
more than 65,000 apps and more than 100,000 developers in the iPhone™ Developer Program.
“The App Store is like nothing the industry has ever seen before in
both scale and quality,” said Steve Jobs, Apple’s CEO. “With 1.5
billion apps downloaded, it is going to be very hard for others to
catch up.”
The revolutionary App Store has more than 65,000 apps available to consumers in 77 countries
アプリ数6万5000円。77カ国。15億ダウンロード。「追いつくのはかなり難しいね」とジョブズは言う。
They’ve managed to hit the 1,000,000 app download mark on June 24th
Windows Market Place for Mobileには既に2万件のアプリが登録されている。最大規模級のケータイアプリの市場だと思う。
競合社と比べてわれわれのアプリ市場は次の3つの点で異なるし、優位に立っていると思う。1つ目は、アプリの開発者にとって審査基準が分かりやすく透明性が高い。その一方で、OS(基本ソフト)の技術仕様が統一されているのでユーザーが安心して利用できる、ということ。これは最大の相違点だと思う。
iPhoneのアプリに関する技術仕様は1つだけなので、App Storeで購入したアプリは当然ながらiPhoneで問題なく動く。またアップルが承認したアプリだけが販売されているので、サードパーティーのアプリでもユーザーは安心して購入できる。
ただアプリをAppStoreに乗せるかどうかの判断はアップルが独断で決めて、しかもどういう審査基準なのかは実は不透明。サードパーティーの開発者
がアプリを開発しても、アップルの審査を受けなければならない。せっかく開発したアプリが審査に落ちることだってある。一方で、グーグルのアプリ市場は、審査基準が明確。開発者は安心してアプリを開発できる。
ところがグーグルの携帯電話向けOS「アンドロイド」は、オープンソース(自由に改良を加えられる契約になっている)OS。それはそれで素晴らしいのだ
が、オープンソースなので電話機メーカーが独自に改良を加えるだろう。細部でいろいろ異なる携帯電話が出てくるわけで、その上で動作するアプリだから、1
つのメーカーの電話機上で動くアプリが別のメーカーの電話機上では動かない、というケースも出てくるのではないだろうか。
BlackBerryもBlackBerry App Worldというアプリ市場でがんばってます。
He also unabashedly tallied the number of apps at 2,000, up from 1,000 at launch
米経済誌ビジネスウィークのオンライン版は7月13日付で「Apple’s Rumored Tablet Makes Sense, But Faces Challenges(アッ
プルのうわさのタブレットはよさそうだが、課題もある)」(注:時間がたつと元の記事が削除され、リンク切れになるかもしれません)というコラムを掲載し
ている。アップルが、iPhoneやiPod
Touchのようなモバイル機器と、パソコンとの中間に位置するような機器を開発しているといううわさについて言及した内容だ。
ケータイより大きく、PCより小さい「ミッド」
このうわさについては、わたしも何度か耳にしたことがある。モバイル機器とパソコンの中間に位置する機器というのが何になるのかは議論が分かれるところだ
が、シリコンバ
レーの知人で某ネット企業のトップは「来年中にアップルはネットブックを出す。賭けてもいい」と言う。まあこの知人は具体的なことは何も知らないようなん
だけど、大きさでモバイルとパソコンの中間という新しいデジタル機器のジャンルが「ミッド(中間)」と呼ばれ、次は「ミッド」がホットな領域になるという
のが業界の一致した見解になる中で、「アップルが何ら手を打ってこないわけはない」ということらしい。
ビジネスウィークのコラムによると、今回アップルが「ミッド」を開発中であるといううわさの根拠になっているのは、台湾のメーカーがアップルからタブレット機器を受注したというChina Timesの記事。
タブレット機器はiPod Touchを大きくしたような機器と考えてもいいだろう。コラムを書いたArik
Hesseldahl氏は、実際にiPod Touchを枕元に置いて愛用しているのだという。iPod
Touchがシリコンバレーで人気だという話は、シリコンバレー在住の別の友人からも聞いたことがある。その友人によると、家でも会社や学校でも無線
LAN があるし、基本的に車で移動するので移動中はモバイル機器に触れることができない。iPhoneじゃなくてもiPod
Touchで十分だとして、iPod Touchを使っている人が圧倒的に多いというのだ。
このiPod Touchの画面をもう少し大きくし、カメラをつけてskypeなどのビデオ電話として使えるような機器ならほしい、とHesseldahl氏は言う。それが同氏にとっての理想的な「ミッド」ということになる。
GoogleのStreet Viewってプライバシーの侵害とかネガティブな面が強調されることが多いけど、それはStreet Viewという素材を使った画期的なアプリケーションがまだそう多く出ていないから。Street Viewのポジティブな利用方法が広まってくれば、Street Viewの評価も変わってくるはずだと考えていた。iPhoneアプリのTouch de ComoComoはそうした活気的アプリケーションの最初の形の1つだろう。
Touch de ComoComoはぐるナビのデータを使ったグルメ情報サービスなんだけど、コンテンツよりもUIで勝負しているだけあって、確かに使いやすい。使いやすい工夫の中でも、うなったのがStreet Viewとの連携。
特定のレストランのページの地図のボタンを押すとgoogleの地図が表示される。アプリ内でgoogle mapを表示させるのではなく、ComoComoのアプリを出てgoogleの地図アプリが開く形だ。自分のサービスの外へユーザーが逃げる形になるので、サービス運営者としては自分のアプリ内でgoogle mapを表示させたいところだろう。しかしgoogleの地図アプリに移動することで、street viewが使える。このstreet viewがグルメ情報サービスのユーザーにとって非常に価値のある情報の1つになっている。店の雰囲気やクラスといったものが、店構えである程度、推測できるからだ。
どれだけ商品の写真を並べられても、店の雰囲気やクラスはなかなか分かりづらい。street viewでレストランの外観を見れば、その店の大きさや雰囲気、周りの街の様子が分かるので、その店のクラスがだいたい分かる。特にstreet viewは、「ストリートから単純に写真を撮る」という「1つの基準」で撮影されたものなので、光の状態などに気をつかってプロがキレイに撮った写真と違って、他の店も比較しやすい。
こう考えるとstreet viewってまだまだこれから地図系の新サービスに多く使われていくようになるのではないか、と思う。そうした新サービスがわれわれの生活にあふれるようになると、street viewに対するネガティブな反応も少なくなっていくのではないだろうか。生活地域は別としても商業地域では広く歓迎されるようになるように思える。
ただTouch de ComoComoは技術面でいろいろ問題があるようで、なかなか立ち上がらなかったりするし、ユーザーレビューを見ても細部に不満を持つユーザーが多いようだ。
DGrRaderというアプリもgoogle mapアプリが立ち上がるのでstreet viewが使える。
iPhoneの功績の1つはapp storeというアプリ市場を成功させたことであると、米マイクロソフトのWindows Mobileの開発担当者も認識しているようだ。でもまだまだ先行勝ち逃げはさせない、という思いが米マイクロソフトのモバイル・コミュニケーション・マーケティング部門シニアディレクターのトッド・ブリックス氏のインタビューの端々に現れている。Windows Mobileが有望であるという主張の根拠として、同氏はWindwos Mobileのアプリ市場の透明性と、通信キャリアとレベニューシェア契約を挙げている。
アプリの開発者にとって審査基準が分かりやすく透明性が高い。その一方で、OS(基本ソフト)の技術仕様が統一されているのでユーザーが安心して利用できる
移動体通信事業者にレベニューシェアのビジネスモデルを提案していることだ。アップルのApp
Storeでのアプリの売り上げはすべてアップルの収益になる。われわれはMarket
Placeでの売り上げを、通信事業者と分けようという提案を行っている。通信料が伸び悩んでいる事業者は、アプリ市場での売り上げ分配を見込んで
Windows Mobileの機種をプッシュしてくれるのではないかと思っている。
iPhoneのAppStoreは、アップルがどのアプリをAppStoreに乗せるかを独断で決める。せっかく開発したアプリでも、アップルの審査を通らないこともある。一方で、アンドロイドはオープンソースゆえに、細部でいろいろ異なる携帯電話が出てくるわけで、1つのメーカーの電話機上で動くアプリが別のメーカーの電話機上では動かない、というケースが出てくる可能性がある。その点、Windows Mobileのアプリ市場は、透明性もあるし、ユーザーも安心できる。iPhoneとアンドロイドの両方のいいところをミックスしている、という主張だ。
また世界のモバイル市場では、通信キャリアが影響力を持つところが少なくないので、アプリ市場の売り上げをシェアできるWindows Mobileに力を入れようというキャリアが多いのではないか、という。
やはり立場が異なる人の話を聞くというのは、いろいろなことが見えてきて、いいなあ。記事は時事通信のサイトのほうに掲載されています。「iPhone追い越せ、Windows Mobile戦略」。
昨年ぐらいだったか、自分自身、会社を辞めて「webアナリスト」になろうかと真剣に考えていた時期がある。従来型メディア業界の先行きは絶望的だし、一方で昨年書いた「次世代マーケティングプラットフォーム」の取材を通じ、この分野が米国では急成長しているし、日本でも非常に有望であろうことは容易に予測できたからだ。
それで英語のブログなどをいろいろ調べていて見つけたのが、「Web Analytics:An Hour a Day」という本。いろんなブロガーが絶賛しているので、どうしても欲しくなり、アマゾンで英語版を購入した。
でも非常に分厚い本だし超専門的なんで、20ページほど読んで自分には無理だとあきらめた。情けないなあ>自分。
でもデータを取り扱うのが好きな人や、キャリアプランを決めかねている人に対しては、迷わずWebアナリストを目指せ!と勧めてきた。
そういう人たちから「何か参考書ないですか」と聞かれたので、Web Analytics: An Hour a Dayを勧めたりしたのだが、当然だけどほとんどの人が「日本語でないですかね」と聞き返してくる。
それでこの本をだれか訳してくれないかなとずっと待ってたんだけど、衣袋宏美さんの監修で出ました!やっと出たって感じ。待ってました!
Webアナリスト養成講座
。早速、何人かの後輩や知り合いに勧めたいと思います。
がんばれ!若者!このダメなおじさんの分まで(ごめんね)。