メディア不況、広告不況と言われるが、情報化社会なのだから情報を取り扱うメディア企業が儲からないわけはない。
ずっとそう考えていた。
メディア企業といっても、新聞、テレビなんかの従来型メディア企業を必ずしも意味するわけではないので悪しからず。
人と人の間に情報を流通させる、人と人を結びつける。そんなメディア企業の役割がこれからますます重要になることはあっても、不必要になるわけはない。なので時代に合った役割を提供できる、価値を生み出すことのできるメディア企業は、過去にもまして収益性の高い事業になると思う。
儲からないメディア企業があるとすれば、それは時代が求めている役割を提供できていないから。それだけのことだ。
では時代はどう変化していっているのか、どのようなメディアの機能が求められるようになってきているのか、ということは時事ドットコムのコラムに書いた通り。従来型メディアから、デジタルメディアへ移行し、最後はソーシャルメディアに移行する、という道筋だ。
【関連記事】すべてのメディアはソーシャルに向かう 大変革期を迎えたマスメディア企業への提言
ここ何年かで起こっていたことは、従来型メディア企業が時代の要請に応えることができないため、それにいらだった一般企業が自分たちでメディアを持ち始めたということだったのだと思う。だれもがメディアになれる時代。広告主企業が求めるような価値をメディア企業が提供できないのなら、広告主企業が自分たちでメディアを持つという流れになった。事実、一般企業の中には、メディア企業のサイト以上にユーザーを集めることができるサイトを作ったところが幾つもある。
ところがメディアパブの「ソーシャルWebの台頭により企業サイトが目的地でなくなる」
という記事によると、
企業サイト,メディアサイトそれにポータルサイトも,ユニークビジター数が減る傾向にある。ネット調査会社のデータでは,必ずしもこれほどまでユニークビジター数が下降していないが,伸び悩んでいるのは確かである。一方で有力なソーシャル系サイトは,たとえばFacebookや Twitter,Tumblrなどの勝ち組サイトは,もの凄い勢いでユニークビジター数を増やしてきている。
という。
再び流れが変わり始めたのかもしれない。
広告主企業が自らメディアを持つ時代から、餅屋は餅屋、情報流通はメディア企業に任せる、という時代に回帰しようとしているのかもしれない。しかもこの傾向はますます加速していくような気がする。
というのは、一般企業は、何も自分たちがメディアになりたくてメディアサイトを立ち上げたわけではないだろう。できれば自分たちの本業に専念したい、コアコンピタンスに集中したい、と考えているのだと思う。ただ従来型企業があまりにふがいないので、自分たちでメディアを立ち上げた。そういうことなのだと思う。
もし人と人との情報の流通と、人と人との結びつけを、自分たち以上に効率よくやってくれるメディアサイトが登場し、その上での情報配信が有効であることが判明すれば、一般企業は自分たちでメディアを作るための予算を、こうした新興のメディアサイトに回すのではないだろうか。
そうなればメディアビジネスなるものが再び成立するようになると思う。いや、これまでになかったくらい収益性の高いビジネスになるのではないだろうか。
農耕社会は農業が栄える。工業社会は製造業が栄える。情報化社会は、情報を効率よく扱う企業が儲かる。当たり前の話だと思う。