日本のウェブはこれまで「バーチャル」「オープン」というキーワードで形容することができるサービスが主流だった。リアルな社会での友人との交流に対して、実際にはどこのだれだか分からないユーザー同士の交流という意味での「バーチャル」。だれでも参加できるという意味での「オープン」。2ちゃんねるにしろ、ニコニコ動画にしろ、「バーチャル」で「オープン」な空間だ。mixiでさえも、例えば「猫好きコミュニティ」というような猫が好きな人なら知らない人でも自由に参加できる「バーチャル」「オープン」な空間での交流が、もともとは主流な使い方だった。
ところが携帯電話でmixiにアクセスするユーザーが多くなった2、3年ほど前から、どこのだれだか分からない人との交流よりも、実際の友人との交流にmixiを使う人が急増した。
また実際の友人とのやり取りは「友人以外には非公開」という設定で行われることが多く、友人以外のユーザーはその交流の輪に参加することはもちろん、何が話し合われているのか見ることもできない。そういう意味での「クローズド」な空間が無数に登場し始めたわけだ。
そんな中、日本でもアーリーアダプターと呼ばれる情報感度の高いユーザーの間でFacebookが急速に普及し始めた。Facebookは実名登録にこだわるSNSで、ある意味mixi以上に「リアル」な空間と言える。
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ここでも友人同士の交流を「友達だけに公開」という設定にしているユーザーが多く、そういう意味で「クローズド」な交流が主流になっている。
2ちゃんねる、ニコニコ動画といった「バーチャル」「オープン」なウェブの使い方を凌駕するまでには至っていないかもしれないが、「リアル」「クローズド」なウェブの使い方が急速に拡大しており、日本のウェブの1つの大きな潮流になりつつあることは確かだ。
Facebookもmixiも、ユーザーの友人関係は極めてリアルな人間関係に近い。もともとの知り合いがオンラインでつながったケースもあるだろう。反対に最初はオンラインで知り合ったのだけど、実際に会うことになったケースもあると思う。どういう経緯で知り合って仲が良くなったにしろ、本当に友人と呼べるような仲のいい人がSNS上の友人としてつながっているケースが多いというのがFacebook、mixiの特徴だ。両SNSともリアルな人間関係が軸になるように設計してあるからだ。ゲームを通じて知り合ってゲーム以外での付き合いがほとんどない友人関係とは違った、よりきずなの深い人間関係が存在する空間になっている。
さてそれではこの「リアル」「クローズド」なウェブは、何をどのように変えようとしているのだろうか。この潮流は日本のウェブにどのような変化をもたらすのだろうか。
株式会社メンバーズさんのサイトに寄稿した記事です。メンバーズさんのご厚意でここに一部掲載させていただきました。続きはメンバーズさんのサイトでどうぞ。
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