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国や大学、研究機関には、ITに関わる社会問題としてデジタルデバイド(情報格差)の話を議論するのが好きな人が多いように思う。わたし自身は実はそれほどこの問題を真剣に考えたことがない。なぜならいろいろ議論している間にも、技術が次々と問題を解決してくれることが多いからだ。500ドルパソコンを後進国に寄付する仕組みを議論している間に、パソコンは最安値で200ドルぐらいにまでなったし、アフリカの狩猟民族がGPS付きスマートフォンで仲間と連絡を取りながら狩りをするようになった。
なので地域格差による情報格差も、年齢による情報格差も、実はそれほど気にはかけていない。それよりもわたしが問題だと思うのは、日本の大企業の企業風土を原因とした情報格差だ。
わたしが前に所属していた企業などでもそうだった。デジタル部門であってもデジタル関連の情報を知らない人が多かった。ほかの部署は推して知るべし、である。
2年ほど前の話である。席の後ろのほうに座っている同僚同士の会話が聞こえてきた。一人(多分40代前半)が「パワーポイントって何?」と聞いていた。パワーポイントって何?って、どういう意味なんだろう。しばらく質問の意味がつかめなかった。パワーポイントの特定のファイルの話をしているのだろうかと思って聞いていると、どうやら違った。パワーポイントというソフトの存在自体を知らないようだった。
もう一人が、「講演のときとかにスクリーンに表示するやつだよ」と説明すると、「OHPのようなものか」と聞き直していた。OHP(オーバーヘットプロジェクター)を知っている人のほうが、今では珍しいんじゃないだろうか。
そのときは、この人物のことをバカにするとかという感情ではまったくなく、ただただ驚いたのを覚えている。パワーポイントを知らない現役のホワイトカラーがいたことに驚いた。ものすごい情報格差が存在することに驚愕したのだ。
わたしの前の会社が特殊なのかもしれないが、しかし東京でわたしがお会いする非常に多くの社会人のうち、一般的に言って大企業の方ほど情報量が少ないような気がする。ある大手ベンチャーキャピタルの方に、どのようにして情報収集しているのかを訪ねたところ「主に新聞を読んで」という答えが返ってきてびっくりしたことがある。
一方でTwitterなどのソーシャルメディアを使っている人たちは、自分たちの情報摂取の形が変化し始めたことに気づき始めた。最新ニュースはTwitter経由で知ることが増え、Twitterを通じた人とのつながりが意外なところで仕事に役立つということに、多くの人が気づき始めたのだ。
この状況がさらに進むと、ソーシャルメディアを利用する人と、その利用を禁止されている大手企業の人たちとの間の情報格差は広がる一方ではないだろうか。
大企業の組織の中にいる多様な人材だけで成長できた20世紀後半にはソーシャルメディアは不要だったかもしれない。しかしこれからは自社の内外との人間関係を通じた情報交換が、企業戦略にとって不可欠な時代になろうとしている。このことに大企業は早く気づくべきだ。
読者のみなさんはどう思いますか?わたしの中に確固たる主張があるわけではなく、ただみなさんの意見を聞きたくて、曖昧な思考のままをエントリーにしてみました。