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スタッフライター1号機の増田真樹こと@maskinでございます。いつもみなさんありがとうございます。
192ページの内訳は、1テーマ2ページのテクニック集という話を前回させて頂きました。83ネタです。しかもページあたりの情報量は雑誌並み。どうやってこれだけの情報を整理して執筆をしたのかを説明したいと思います。(多分、驚く人も多いでしょう…)
アウトライン作成はemacs
みなさん、emacsというエディターを知っていますでしょうか?
説明すると長くなってしまいますが、1970年代あたりから開発がスタートして、現在もバージョンアップが繰り返されているものなんです。
主にプログラマーなどが使用するようですが、私は拡張性の高さとテキスト主体という柔軟性の高さから原稿執筆はもとより、タスク管理からアイディアノートまでこのemacsだけで運用しています。
何がいいかというと、MacOSXでもLinuxでも、どこでもemacsなら動作するということと、テキストだけでいろいろなことをやるので、ファイル破損時の対応や差分チェックなど、自分の思うようにカスタマイズができるということです。必要な機能は、自由に追加できるし、自分で機能をつくることもできるんです。
さて、話を元に戻しましょう。本書ではemacsに組みこまれている「org-mode」というアウントラインエディターを使って原案のアイディアを組立てています。
画面はこんな感じ。青がレベル1、茶色がレベル2、紫がレベル3になっていて、テキストだけでサクサク内容を入れ替えたり、順番や入れ子の位置を修正することができます。
テキストだけですが、ファイルへのリンクが可能なので、保存場所さえ統一ルールにしておけば、Evernoteみたいな多様な情報管理も可能になります。
実は原稿執筆&管理もemacs
そう、実はこのorg-modeという機能(メジャーモードといいます)をつかって、そのまま原稿も執筆しちゃっています。アウトラインの中に、原稿をそのまま含めることで、管理時はアウトラインで、執筆したい時はすぐに原稿が書けるんです。目次と原稿が別だと、チェックが二度手間になってしまいますから、統一環境で作業が進められるのはとても便利です。
しかも、アウトラインにはTODO機能を追加することができますので、原稿が書きかけなのか終了しているのか一目瞭然なのもポイントが高いです。
ただ、192ページに登る書籍のアウトラインを一つのテキストファイルで管理するのは無理がありますね。そこで、howmというメモをファイル単位で管理するシステムも併用しています。これで章単位であるとか、作業日単位に分割して作業を進めました。先程のorg-modeとも同時に機能するので、つまりhowmの中でorg-modeを使っています。
バックアップ&バージョン管理はDropbox
emacs(org-mode/howm)で作成されるのは、多数のテキストファイルです。howmによって月ごとにディレクトリに分割保存されます。ファイルはhowmで作成した項目ごとに分かれています。原稿で使用する画像ファイルなどは別に保存して管理します。
これらのファイルはDropboxでバックアップ履歴管理します。もちろん、複数のPCから使用できるようにすることで、いつでも原稿作業に取りかかれるようにしました。Dropboxのいいところは、もし原稿を削除したり、修正前の原稿に戻したい時にも対応できる点です。
日本語入力はSKK
最後になりますが日本語入力はSKKに統一しています。SKKというのはAI変換みたいな処理を一切しないという日本語入力システムです。「この言葉にはあの漢字でよかったっけ?」みたいな疑問に、自分で辞書をひいて対応していかないといけませんが、逆に自分で一つ一つの言葉を考えて入力するため、誤入力誤変換を削減することが可能です。
SKKを利用するようになった理由は、やはり誤変換でした。一般の日本語入力システムは頭が良過ぎて、カチャカチャ長文を入力しても一発で変換してくれます。しかし、それが文筆業には不向きだと感じました。変換ミスに気付かないし、なんか文章をちゃんと執筆している感覚がうしなわれたりするからです。個人的感覚かもしれませんが、手書き感というか、一つ一つの言葉を考えながら入力したいと思いSKKにしています。
辞書は自分で育てていくのですが、最近その辞書の間違い対策が自分の中のトピックです。捨ててしまっても別にいい、という判断が濃厚ですが。
以上長くなりましたが、この本の執筆環境について説明させて頂きました。ここまでemacsを使いこなしている専業ライターはいるのでしょうか? 今のところ日本人ではであったことがありません。
かなり稀有な環境だとは思いますが、軽快だし、作業効率は格段に良いと思います。だからといって、皆さんにお勧めできないのが、このノウハウの痛いところです。なぜかというと、emacsそのものの使い方が現代のGUI主義とは程遠いからです。多分、使ってみても、何日も慣れないと思います。それでもよかったら是非挑戦してみてください。
それで、このような環境でこの本を執筆したことで、どんな効果があったのか?というところですが、実はこの本、最後の最後まで目次案が変更され続けました。執筆しては全体を見直し、また執筆する。そういった行為を繰り返すことで、本としての深みが出たのではないかなとふりかえります。
あと、この本の執筆中、家族が体調を崩したり、自分も肺炎をおこすなど大変だったのですが、作業が度々分断されても、この環境なら復帰時に直ぐに作業継続することができました。本の構造を鳥瞰しつつ、TODO、執筆が統合されていたからだと思います。
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(増田(maskin)真樹)
1990年より執筆およびネットメディアクリエイターとして活動を開始。
週刊アスキーを初め、日経BP、インプレス、毎日コミュニケーション、ソフトバンク、日経新聞など多数のIT関連雑誌で活躍。
独立系R&D企業のマーケティング部責任者の後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの立ち上げに参画。
ネットエイジでコンテンツディレクターとして複数のスタートアップに関与。ニフティやソニーなどブログ&SNS国内展開に広く関与。
現在、複数のメディア系ベンチャー企業にアドバイザー・開発ディレクターとして関与。大手携帯キャリア公式ニュースポータルサイト編集デスク。書き手として、また実業家として長年IT業界に関わる希有な存在。
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