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米TechCrunchはLive TV Is For Old People: Time Shifting And Online Make Up Nearly Half Of All Viewingという記事を掲載した。ここで言うLive TVとは、放送中のテレビ番組の視聴のことを指している。デジタル・ビデオ・レコーダーなどで一度録画したものを後で見るという視聴ではない、という意味でのLive TVである。日本の状況に当てはめて言えば、この記事の見出しは「テレビを見るのは年寄り」というようなニュアンスになる。結構刺激的な見出しだ。
この記事のベースになっているのは、米調査会社Morpaceが発表した調査レポートOnline and time-shifted viewing rises significantly among American consumers。7月に米国の消費者を対象に行ったアンケート調査の結果をまとめたもので、必ずしもテレビが見られなくなったという結論ではない。
実際には映像を見るデバイスとしては、テレビが圧倒的に強い。
ただデバイスとしてはテレビを使うのだけど、一度録画したものを見たり、ペイ・パー・ビューで見たい映画を見たいときに見るという形が結構普及している。そしてデジタル・ビデオ・レコーダーなどで録画した番組を後で見る人のほとんどはコマーシャルを飛ばして視聴しているであろうことは、想像に難くない。テレビ局や広告会社にとっては重要な問題だ。
そして米TechCrunchが指摘する通り、最も興味深いのが年齢別に見るLiveTV、つまり番組放送時間内視聴者の割合である。
年齢が下がるに従って、テレビ番組を放送時間内に見る人が少なくなってきているのが分かる。
この調査結果からMorpace社は次のように結論づけている。
Television viewing and media consumption habits are changing rapidly. Time-shifting of live TV programming is becoming the norm. The desire for entertainment of choice anytime and anywhere is also driving consumers, especially savvy younger viewers, to online programming sources. And both technological innovation and the increasing availability of online content are driving this change.
Amidst all these changes and technological advancements with digital media, we still haven’t seen what devices and applications that deliver this content will gain widespread acceptance with consumers. There is no “killer app” taking the industry by storm. More importantly, the business model to make television and movie content available online is still evolving.
簡単に意訳すると「テレビ視聴、メディア消費の形は急速に変化している。好きなときに好きな映像を見たいという欲求は、特に若い世代で盛ん。ただキラーと呼べそうなデバイスやアプリはまだ登場していない。テレビや映像に関するビジネスモデルはまだ変化の過渡期にある」というようなことだ。
お知らせ:
・TechWaveの理念、目標である「世界との架け橋になって変革を起こす」に沿って、電子書籍、紙の書籍の両方で英語の勉強法に関する本を出しました。電子書籍のほうは「TechWave英語学習法」、紙の書籍のほうは「iPad英語学習法」というタイトルになりました。
「アメリカ人はテレビをあまり見なくなった」という話をすると、よく「それはアメリカの話でしょ。日本はちょっと違うよ。文化的に特殊だから」という反論をもらう。確かに日米間に文化の違いはある。あるけれど、多くの日本人が言うほど日本って特殊じゃないと思う。それが人生の半分近くを米国で過ごした僕の実感だ。
特にわれわれが今、経験しているメディアの変革期においては、国家間の文化の差異よりも、年齢による習慣の差異のほうが大きいのではないかと思う。
今回の調査結果を見ても米国でも年齢による違いは明白で、年齢の高い人は、番組放送時間中にその番組を視聴していることが分かる。
残念ながら日本では今回のレポートのような年齢別のテレビ視聴の統計結果があるのかどうかしらないけど、実感としては米国同様に日本でも年齢の高い人はテレビ番組を放送時間中に見る傾向が強いと思う。
多くの日本人は自分が平均的な日本人だと思っていて、自分のメディア視聴の形が日本人の一般的なメディア視聴の形だと思っている。でも実際には年齢によって大きく異なっているのだと思う。
そして若い人になればなるほど、放送時間中に番組を見ないで一度録画したものを見る傾向があるのであれば、あと10年もすればもっともっと多くの人がそうなる。20年後には、放送時間中に見るテレビ番組って、ニュースかスポーツの試合だけになるんじゃないだろうか。
じゃあ、テレビってどんな形になるのか。映像メディア視聴の形はどうなるのか。
その最初の原型のようなものを、われわれはもう間もなく目にすることができるのだと思う。GoogleのGoogleTV、AppleのiTVというデバイスが、新しいテレビのあり方の原型を見せてくれるのだと思う。
ひょっとすると今週中にも・・・。
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