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12月1日、ライフハッカーさん主催の『SHARE』本(『シェア〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』)のイベントに参加してきました。
イベントの参加者は、本書の監修者の小林弘人さんに、ブランド品のリサイクル事業「PASS THE BATON」を運営する株式会社スマイルズの遠山正道さん、DPZの林雄司さん。
まず小林さんから本書の説明がありました。簡単にまとめると、Shareの分類として、大きく3つが挙げられています。
- プロダクト:サービス・システム(PSS)
私的所有に代わって、利用することに対価を支払う。個人の余剰・遊休物を貸し出す(Share)することで、その所有者にも利用者にもメリットを出せる。 - 再分配市場
特に個人間の中古品流通。それを仲立ちするwebサービス。 - コラボ的ライフスタイル
物ではなく、同じような目的を持った人たちが時間や空間、技術など目に見えにくい資産を共有する。
『FREE』の次に『SHARE』が出版されましたが、『FREE』が終わって『SHARE』が来たのではなく、交換の発生場所の変化という意味では、同一の流れに沿った主張でしょう。
意志ある実業家としての遠山さんの話も、林さんの抱腹話もありましたが、既にいくつものエントリが上がっていますので、ここからはイベントを受けて感じたこと半分、書評半分で日本に住む自分に引き寄せて考えたいと思います。
Shareの冷静さ
Shareの概念は、本書でたびたび指摘されるように、一種の先祖帰りだ。ただし、リナックスなどに代表される、ITの開放的で共創的な流儀(オープンでコラボレイティブなカルチャー)や技術が支えている点で現代的である。
かつて日本には、お裾分け文化があった。1980年代を東京近郊の集合住宅で育った私にもその記憶はある。単に、余ったからという以上に、自慢のものを共有し喜ばれたらイイね!という思い。そこで実際共有されていたのは、物以上の何かだった。勿論これも、相互扶助という経済活動の一つと言うことが出来る。
それに対し本書で言うShareは、よりビジネス的な視点を強調している。必ずしも善意に満ちた社会貢献に限らず、純粋にビジネスとして取り組めるということだ。そこでは、「人との繋がり」、「共有」という言葉で想起される、ある種の甘美さに酔う必要もない。地球環境の保全という言い訳さえ不要である。
Shareビジネスの鍵を思い描く
Shareビジネスの事例を聞いて当然思い浮かぶのは、レンタルやリサイクルショップ、フリマで十分では?ということ。
これらは大抵の場合、実店舗というハブがあって成立している(ハブという意味では、フリマは若干異なる)。そうではなく、もしP2P(Person to Person)の商売が成功するとすれば、個人が繋がる中継点としてどのようなビジネス(webサービス)が作れるか。
そこで重要なのは、ヤフーオークションが取引の安全性に気を配ってきたように、赤の他人に対する信頼の担保だ。そこに、Facebookに代表される、顔見知りを軸にした人間関係が活かせるかもしれない。ある人の信頼性を、ECサイトでの評価や自らが書いたコメントに加え、ネットワーキングサービスの友人関係で裏書きする。例えば、当人同士が匿名で取引したとしても、共通の友人が表示されることで、心理的保証人足りえるとか・・・
参考:個人データが通貨のような役割を果たす可能性については、湯川のこちらの記事を。
「ソーシャルの次の時代と通貨になる個人データ:TechWave」
あるいは地域通貨に見られるように、特定の地域での流通を促し人々を再接続する仕組みとして、Shareが活かせるのではないだろうか。
本書最大の魅力
ビジネスの視点を強調してしまったが、「こんなのあったらイイかも」と思いつきから始められそうなのもShareの特徴である。
自分なら身近なところで、まず何が思いつくか。
「世の中にいらないものなんてない。使えるものが、ただ間違った場所にあるだけ」という一節がある。(P162)
私は職業カメラマンでもあるが、TechWaveを初めてからは撮影機材の稼働率は下がった。それらを使ってもらってもいいし、私もたまにはスタジオを使いたいと思っている。利用し合うだけでなく、そこで何かが一緒に制作できたら面白いに違いない。
社会や世界を変えたい!という強い思いがなかった人でも、この本を読むと、自分も何か出来るのでは?とポジティブになれる本である。
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最後に、今回のプロモーションについて触れたいと思います。
初版本には1冊1冊にIDが付けられ、現在地を登録することによってGoogleMaps上で確認出来る仕組みになっています。http://www.share-biz.jp/share/
まさに、『SHARE』をシェアするという触れ込みです。
イベント参加者には2冊の本が配られました。私も早速、片方を佐賀の人に託しました。
しかし、本書には折りに触れ立ち返りたいので、残りの1冊は常に身の回りに置いておきます。物体としてはシェアしませんが、本について、この領域の可能性について皆さんとシェア出来たらと思います。
編集履歴:分類の1つ目を「プロダクト:サービス・システム(PSS)」に修正しました。