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米Bloomberg通信は、今年の音楽アルバムの売上枚数が前年比で3%増加したと報じた。インターネットの登場で音楽の配信方法が劇的に変化し「音楽業界冬の時代」と言われる中で、前年比がプラスに転じたのは2004年以来初めて。一方、英ロイター通信は、今年のオンライン音楽市場は前年度比7%増になる見通しと報じた。ただCDなどの売上の大幅な減少傾向は続いているようだ。
Bloomberg通信によると、米調査会社Nielsen SoundScanの調査で、CDやレコード、カセット、デジタル配信を含む音楽アルバムの米国内での今日までの総売上枚数が前年同期比3%増の2億5500万枚だったことが分かった。またシングルを10回ダウンロードしたものをアルバムと同等とする計算方法を加算すると前年同期比で5.2%の増加になるという。この調査を受け、Universal Music Groupを傘下に持つフランスのVivendi社のCEO、Jean-Bernard Levy氏は同通信の取材に対し「まだ勝利宣言はしたくないが、音楽業界はターニングポイントに達したのかもしれない」と語ったという。
AppleのiTunesやAmozon、ストリーミングサービスのSpotify、Rdioなどの利用の普及や、アルバムの値下げが、売上枚数増につながっているもよう。米レコード業者協会(NARM)のJames Donio会長は同通信に対し、2000年以来の下降傾向が底を打った可能性があると語ったという。
一方で、ロイター通信は調査会社Garnerの市場予測として、2011年の世界のオンライン音楽市場は前年度比7%増の63億ドルに達する見通しと報じた。2010年は59億ドルだった。また同予測によると、2015年には77億ドル市場に拡大するという。
ただCDやレコード、テープなどの売上は2010年の150億ドルから100億ドルに低下するという。売上枚数が伸びても、業界全体としての縮小傾向は止まらず、これからも広告や関連商品販売、コンサート収入などに頼る必要がありそうだ。
一方で7月から米国でサービスが始まったSpotifyはこれまでに、月額5ドルから10ドルを支払う有料会員200万人を獲得。定額で聴き放題のサービスが音楽の違法コピーの減少に一役買っているもよう。
Gartnerによると、Spotifyのような定額制サービスは2015年にはオンライン音楽市場全体の29%に当たる22億ドル市場に成長する見通しという。
インターネットは「中抜き」もしくは「新たな仲介業者を生む」効果があるので、レコード会社を中心とした業界の現状が縮小していくのは仕方がないことだと思う。
ただ音楽アルバムの売上枚数が上昇していることは、確かに明るいニュース。Spotifyのような定額サービスのおかげで違法コピーが減少するとともに、新しい楽曲に接する機会が増えたことで、音楽アルバムの購入意欲が刺激されているのだろう。やっぱり多くの人は音楽が好きだし、新しい音楽視聴の形はより多くの音楽ファンを幸せにするのだと思う。
でも業界を襲う変化はまだまだ続くのだろう。
僕は、「すべてのメディアはコミュニティーに進化する」、「最終的にはメディアの作り手(アーチスト、作家、クリエイター)と受け手とが直接つながる」と信じている。その最終形に向かって最初に動き出したのが音楽業界で、そのあとを他のメディア業界も追いかけていくことになるのだと思う。