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「どの国の政府も各種統計を公開する方向にある。あらゆるデータが公開され始めている。生活者に解析ツールを無料で開放すれば権力者が情報操作できなくなる」ー。インドのビッグデータ解析ベンチャーのintellicus社のCTO、Pankaj Mittal氏は熱く語った。
インド人は数学が得意と言われる。それが理由かどうか分からないが、インドのIT企業にはデータ解析が得意な企業が多いという話を今回のインドツアーの事前国内取材で聞いていたので、ツアーをオーガナイズしてくれたムーンライトウェイヴ株式会社の望月奈津子さんに紹介してもらったのが、ビッグデータの解析で急成長しているベンチャー企業intellicus社だ。
ヘルスケア業界のビッグデータ解析受託で高い評価を得た結果、欧米のテクノロジー企業に対してビッグデータ解析技術をOEM提供するようになったベンチャー企業だ。最近では、ビッグデータ解析関連のベンチャーに対しての投資活動も始めているという。
そうしたBtoB事業でつちかった技術を、ブロガーや消費者など一般ユーザー向けにオンライン上で無料で提供する準備を進めているのだという。とは言うものの、国勢調査などの生データから傾向を読み取ったり、意義付けするのは簡単なことではない。技術に詳しくない人でも使えるようになるのだろうか?同氏は「ツールをオンライン上で公開することでその上で動作するテンプレートを開発し、公開する人が出てくるはず。そうなればだれもが政府の現状を理解できるようになる。権力者が情報操作しにくくなるし、社会はよくなるはずだ」と言う。
なぜ無料でそのようなことをしようというのか。「intellicusはBtoB企業だし、OEM企業なので、知名度が低い。BtoC向けサービスを無料で提供することが、BtoB事業にとってプラスになるから」(同氏)ということらしい。
予想以上にインド企業の技術力は向上しているようだ。特にビッグデータ解析という最も技術力を必要とする領域でもめきめきと力をつけているもよう。
最近では、世界中のスタートアップに対してベンチャーキャピタル的な動きをしているようだ。といっても資金を提供するのではく、技術とエンジニアリングリソースを提供することを条件に、株式を取得するという方式のようだ。
確かに政府がありとあらゆる統計の生データを公開するようになり、生活者が自らの手でそのデータを解析するようになれば権力者による情報操作は困難になる。Pankaj Mittal氏の言うように、人々がより力を持つようになるだろう。Power to the People。あと半年以内にツールを無料公開する計画だというが、簡単なテンプレートが豊富に開発され、僕なんかでもビッグデータを解析し、ソーシャルメディアを通じて共有できるようになればおもしろそう。
intellicusでhadoopやらRubyやらの話をしたあと、一歩外に出れば極貧のインドの世界が広がっていた。道路をゆっくりと歩く牛もいた(デリー市内は牛の一人歩きは禁じられているみないなんだけど、郊外では見かけることができた)。この世界最先端の世界と、時間がゆっくり進む世界とが、併存するのがインドの不思議なところかもしれない。
intellicusでは「Welcome! Japan Delegation(歓迎!日本訪問団)」と玄関のモニターに表示されるなど、ものすごい歓待を受けた。ムーンライトウェイヴ株式会社の望月奈津子さんのインド国内での人的ネットワークって本当にすごい。