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ザワットと鉄人化計画が「カラオケのソーシャル化」で共同展開、3月に新サービス「ohaco(オハコ)」を展開へ 【増田 @maskin】


[読了時間: 2分]

 ザワットは2013年1月23日、「カラオケの鉄人」を展開する鉄人化計画とソーシャルメディア連動型マッチングサービス「ohaco(オハコ)」を共同開発すると発表した。

 鉄人化計画は、首都圏に60店舗以上展開する「カラオケの鉄人」ブランドをはじめとしたアミューズメント施設を運営する上場企業 (東証マザーズ)。

 複数機種を集中管理することで楽曲数最大化を図るなど、社内技術開発陣の強みを活かした事業展開が特徴で、首都圏100店舗を目ざしている。

 しかしながら、カラオケは一時期のブーム時代と比較すれば、低迷の一途を辿っており、かつ、趣味嗜好の細分化により、集客への訴求についても課題が多かった。

 そこでスタートするのが今回の「ohaco (オハコ)」である。

 「ohaco (オハコ)」は、趣味嗜好のマッチする人をつなぎ、カラオケにいく機会を創出する「ソーシャルマッチング」サービス。ザワットが運営するサービス「WishScope」のノウハウを活かし進化させたもので、鉄人化計画側のシステムとの連携も果たすことで、カラオケ新時代を切り拓く計画だ。

 なお、利用は18歳以上で、Facebookアカウント所有など諸条件があるものの無料。

タグで仲間募集、コアなテーマもOK


 最近のカラオケは実に混沌としている。かつてのように、音楽ヒットチャートのトップランキングを知っていればいいかというとそうではなく、「○○年代」や「アニメ」といった細かいカテゴリだけを歌いに行く人もいれば、「ボーカロイド系楽曲」なる定番カテゴを歌にカラオケに行くグループもいるという。

 ただ、コアなテーマになればなるほど、カラオケ仲間を集めるのは難しい。そんな中、ザワット CEO 原田大作氏はクラシファイド(募集)サービス「WishScope」における、ある動きに注目したという。

 「現在、WishScopeは、さまざまなお願いが投稿されているのですが、カラオケに行く人の募集が目立ったのです。しかも、どれも普通の人が行くとは思えないディープなテーマばかりで、ちゃんとイベントとして成立するんです。

 そこで、実験的でWishScope上でカラオケにターゲッティングしたテストをしてみたんです。好きなカテゴリやアーティストなどをタグとして登録してもらいイベントを立てると、非常に良い形でマッチングが成立しました。店舗に誘導できる促進剤になると、今回の企画を考えたというわけなんです」。

 ザワットが考えたのは、“取りあえずオンラインから店舗に誘導すればいいんでしょ?” といった、いわゆる、ありていなO2Oのようなものではなく「オンラインのサービスが実店舗の売上に貢献できるような、ちゃんと入口から出口までをケアできるような形」だった。

 「顧客管理や販促など店舗と連携できるシステム連携を最低限の条件としたんです。そうでないと、単に送客して終わりになってしまい、ユーザー体験をよりリッチなものにできないし、メリットも薄いままになってしまう」(原田氏)。

スタートアップ x 上場企業 奇跡のコラボ

 ザワットの企画は、複数の事業者に断られたものの、社内システム開発力がある鉄人化計画だけは違った。

 鉄人化計画は、モバイル向けのオンラインサービスも提供しているものの、スマホ&ソーシャルメディア普及期に向け、次の手を考えなくてはならない状態。

 そこにずばり趣向の細分化という課題を解決するソーシャル系サービス企画の提案。しかも、鉄人化計画が得意なシステムとの連携により、差別化を計ることもできる強みもある。

 そんな流れ、1ヶ月たらずというスピード感でこの企画が実現することになる。

 ザワットは創業間もないスタートアップ。リソース面では不安もあるということで、鉄人化計画は開発費の一部を負担し、送客確定後の売上の一部もシェアする約束でGOサインを出した。

 まさに、スタートアップと上場企業の理想的なコラボは、鉄人化計画側の英断により実現することになった。

 このような流れで開発が進む「ohaco (オハコ)」のサービスインは2013年3月下旬を予定。既存のWishScopeとは別サービスとなるが、相互連携はする予定。1年で4万会員獲得という控え目な目標値であるが「これぞ、WishScopeが考えていた、ITxリアルの連携。良い形で成果を出したい」とザワットCEO原田氏は冷静に立ち向かおうとしている。

【関連URL】
・ソーシャルカラオケ ohaco(オハコ) – 現在、人数限定の先行体験ユーザーを募集中!
http://ohaco.in
・【株式会社 鉄人化計画】
http://www.tetsujin.ne.jp/
・願いよ届け! WishScopeがスマホアプリ展開、iPhoneでは無料DL No.1目前 【増田 @maskin】
http://techwave.jp/archives/51745401.html
・WishScope はご近所同士の「助けあい」を支援するか?【増田(@maskin)真樹】
http://techwave.jp/archives/51716100.html

蛇足:僕はこう思ったッス
O2O、ゲーミフィケーション、GEOなど新興技術を筆頭に、ITイノベーションを活用したスタートアップ企画において欠けていると感じるのは「現場力」だ。その分野での経験がない、バイトの経験すらない、しかも調査してないという全くリアリティがない企画であふれているのが現状。原田氏は、某企業でIT/ウェブと現場の関係を痛いほど実感してきた人物。カラオケ業界の経験こそはないものの、現場と顧客の関係を充分に理解した上での本提携となった。
僕は昨年11月の「PentaTechMeeting」を筆頭に、ネオオープンイノベーションとして、スタートアップによる市場活性化策こそが、近年日本の起爆剤になると考えている。ザワットと鉄人化計画は、その流れでいえば最高の先行事例だと思う。

著者プロフィール:TechWave 編集長・イマジニア 増田(maskin)真樹
変化し続ける高エネルギー生命体。8才でプログラマ、12才で起業。18才でライター。道具としてのIT/ネットを追求し、日米のIT/ネットをあれこれ見つつ、生み伝えることを生業として今ここに。変化し続ける高エネルギー生命体。1990年代はソフト/ハード開発&マーケティング→週刊アスキーなど多数のIT関連媒体で雑誌ライターとして疾走後、シリコンバレーで証券情報サービスベンチャーの起業に参画。帰国後、ネットエイジ等で複数のスタートアップに関与。関心空間、@cosme、ニフティやソニーなどのブログ&SNS国内展開に広く関与。坂本龍一氏などが参加するプロジェクトのブログ立ち上げなどを主導。 Rick Smolanの24hours in CyberSpaceの数少ない日本人被写体として現MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏らと出演。活動タグは創出・スタートアップマーケティング・音楽・子ども・グローカル・共感 (現在、書籍「共感資本主義」「リーンスタートアップ」執筆中)。@宇都宮ー地方から全国、世界へを体現中。

メール maskin(at)metamix.com | 書籍情報・ 詳しいプロフィールはこちら


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