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ソーシャルメディアの普及を受けて、ソーシャルメディアが影響を与える業界の裾野が広がり始めている。もしソーシャルメディアの普及が今後も拡大していくのであれば、各業界はどのように変貌を遂げるのだろうか。最終的にそれぞれの業界は、どのような形に落ち着くのだろうか。それが知りたいがために、これまで数多くの業界のオピニオンリーダーたちと議論を重ねてきた。
オピニオンリーダーたちの考えは意外にも、ほとんどすべての業界で共通していた。それは、ほぼすべての業界がコミュニティを核に再編されるというものだった。
各業界のオピニオンリーダーたちとの議論を通じて僕が僕なりに思い描いた未来予想図を、3回に分けてお話したいと思う。
O2Oのキモはビッグデータからコミュニティへ
O2Oというキーワードが流行っている。オンライン・ツー・オフライン、つまりオンラインの施策を通じてどのようにリアルの店舗に送客するのか、というのがもともとO2Oが意味するところだ。もう何年も前にもよく似た概念のブームがあり、そのときその概念は「クリック・アンド・モルタル」と呼ばれたものだ。「クリック・アンド・モルタル」と「O2O」の最大の違いは、O2Oが主にモバイルの施策を指しているということだろう。スマートフォンの急速な普及を受け、これまでのPCウェブからの送客とは異なる形の施策が可能になっている。今回こそ、レストランや街の店舗のビジネスのあり方が大きく変貌するのではないか。そう考える業界関係者が多いことから、O2Oがちょっとしたブームになっているわけだ。
今のところO2Oの施策の中心は、クーポンだろう。位置情報などを利用してタイムリーにクーポンを表示させることができないだろうか。そういったことが議論の中心になっている。
少し先の展望としては、ビッグデータがある。スマートフォンを通じて、これまでに入手不可能だったようなデータが獲得できるようになる。スマートフォンに搭載されている加速度センサー、マイク、カメラ、GPS機能などを通じて、ユーザーがどこにいるのか、どんな状況なのかを把握できるようになってきた。ユーザーが電車から降りて歩き出したという事実を把握することも可能だし、ソファーに寝転がってリラックスしながら友達とメッセージ交換をしているという状況を把握することも可能だ。ありとあらゆるデータを統合し、ユーザーの状況や気持ちをより正確に把握することができれば、ユーザーが今必要としている店舗の情報、より喜ばれるような店舗の状況を提供できるようになるはず。そうした期待がO2Oには寄せられている。
恐らくこうしたビッグデータを利用したO2Oは今後ますます発展するのだろうが、一部業界関係者はさらにその先の可能性を読もうとしている。
それは人間関係を通じて流れる情報をベースにしたO2Oだ。
ビッグデータを使ってユーザーの状況を詳しく把握し的確な広告・マーケティングが可能なのかもしれないが、それ以上に友達からの口コミのほうが影響力を持つようになるのではないか。ユーザーが会社帰りであることを把握し店舗の300メートル圏内に入ったので「ほろ酔いセット」のクーポンを表示する、といったビッグデータO2Oよりも、「昨日行ったレストランがすごくよくてさ、今度一緒に行かない」という口コミO2Oのほうが効果が高いのではないか、という議論だ。特にスマートフォンがさらに普及し、ソーシャルメディアの利用者がさらに増加すれば、口コミO2Oの効果はビッグデータO2Oのそれを大きく上回るようになるのではないか。一部業界のオピニオンリーダーたちはそう考え始めている。
それでは、口コミO2Oはどのようなものが有効なのだろうか。一時流行ったブロガーマーケティングのような要領でインフルエンサーにアプローチする、というやり方もあるかもしれない。しかし僕と一部業界関係者は、常連客、ファンとの絆を強めていくことこそがより重要だと考えている。お店のファンコミュニティを運営していくという手法や施策が、あらゆるレストラン、店舗にとって重要になっていくのではないだろうか。それができるところと、できないところで業績に大きな差がでるのではないだろうか。
先日取材し記事にしたiqonの金山さんも、「クーポンに頼りたくはないんです」と強調していた。愛されるファッションブランド、アパレルショップになることこそが長期的な成功の秘訣だし、そのためにアプリやウェブサービスは何をできるのか、ということを真剣に考えているようだった。(関連記事:僕がファッションアプリ「iqon(アイコン)」に期待する理由【湯川】#appex)
恐らくファッション業界のO2O、ECは、他のリアル店舗よりも早く、口コミO2Oの世界を切り開いていくのだと思う。そしてその中での成功事例が、今後のO2O、EC業界に大きな影響を与えていくことになるのだろう。
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